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111話 黒河内の回想➌ 東京連合 第5代総長 浦岡


 ワタシの後ろから、


≪ かあさん(シャーロット)、その人がいい ≫


 女の声がしたから振り返ると、黒い長い髪の黒のミニのワンピースを着た同い年くらいの女が立っていた。 黒ワンピースの女はアイコスを吸いながらワタシを見つめ、


「黒河内がブラックチェリー役だ」


 ワタシは勝手に話を進められているから聞き返した。


「さっきからブラックチェリーてなんだよ?」


 知らぬ間にイスに座りワインを飲むバケモノ(シャーロット)が、


≪19世紀半ば、アメリカには黒人奴隷制度に反発する奴隷解放運動がありました。 その結果、『黒い(ブラックチェリー)』と呼ばれた女が陰で戦い抜いた末に、黒人達に自由を与えられたのです≫


 バケモノは黒ワンピース女を見つめながら、


≪ワタシの娘の直美は東京連合の総長になり、陰から日本を変えるブラックチェリーになる女……≫


 ワタシは東京連合と聞き、バケモノを見つめながら、


「東京連合って、あの浦岡が総長してるじゃねえか? 東京連合の総長になるにはタイマンで浦岡に勝たねえとダメだろ? アンタならともかく、アンタの娘の直美はタイマンで浦岡に勝てんのか? ……てか直美はタイマンで浦岡を前にしたらビビっちまうんじゃねえのか?」


≪鋭いですね? 絶対に死なす訳にはいかない立場の直美は実戦をした事がないのでソコが不安なのです。 ワタシが浦岡をスカウトして5代目総長にさせたのですが…… 彼は想定以上に凶暴でした。 おそらく総長になった、この3年で32名を消しています≫


「32……」


≪彼は東京連合の畏怖いふを再び浮上させた事には役に立ちました…… ですが、これからは直美が総長にならなくてはならないので、彼はもう用無しなのです≫


 ワタシは連れて来られた車の運転していたタトウが話していた事と、バケモノに実戦テストと言われた事を思い出して……


「オメエら……まさか? ワタシが直美に変装して、直美の代わりに浦岡をタイマンで殺せと言うのか?」


≪その通りです。 ですが、黒河内さんの力では浦岡と正面タイマンで戦っても勝てるかどうかワタシにも分かりません。 だから、どんな手を使ってでも殺しなさい≫


「後ろから刺してもいいんだな?」


≪ダメです。 直美のドーグ鉄警棒で殺すのが条件です≫


「あの浦岡を鉄警棒で必ず殺せだと? そんなんタダじゃ誰もやらねえぞ……」


 ヒョウ柄の長袖のパンチパーマがワタシにビニール袋を差し出してきた。


≪袋の中の500万差し上げます≫


 ワタシはビニール袋を奪い取り中身を確認した。


「マジで500万ある…」


≪浦岡を殺せば、更に1000万お出しします。 それから先もブラックチェリー役を務めて頂ければ相応の対価もお渡しし続けます≫





 その日の夜……

 シャーロットの娘直美が二人で話がしたいという事で、

 シャーロットの家の近くのドトールコーヒーに二人で来た。


 テーブル席に二人並んでアイス・ラテをそれぞれ置き……

 ワタシは、横に座った何故か三つ編み眼鏡に地味な白のトレーナー服の姿になった直美を見てると、


「黒河内さん…… 浦岡は常にドス持ってるし地下格闘技も仕切ってます…… 体格も190センチ130キロはあります。 相撲のバックボーンもある」


「そんな不安になるだけの情報いらんわ。 ……てか、なんでオメエはそんな弱そうな格好に変わったんだよ?」


「さっきの姿はブラックチェリーだから……」


「意味不明」


「分かりませんか? 黒河内さんがブラックチェリー役なんですから、明日から黒河内さんが黒ワンピースの姿になるんです。 明日から、かあさんの推薦で東京連合の副総長にもなるんです」


「カネは貰ったけど、唐突な話すぎてよ~」


「でも…… これから、あなたとワタシは一心同体ですよ」


 三つ編み眼鏡の直美は、ワタシを向いて嬉しそうに微笑んで来た…

 その顔を見たらなんか恥ずかしいから、向こうに顔を逸らして、


「バカ…… なにが一心同体だよ… オメエとワタシじゃ生きてる世界が違うんだよ…… ワタシは、過保護のオメエの身代わりで浦岡を襲う立場なんだぞ……」


「かわいいね、その赤いリボン」


 その言葉に「は!」となり、思わず直美を向く……


 名前は「なおみ」? 間違いない…… 

 この人は、ワタシの最初の記憶の、あの人だ。


 ワタシが今までずっと赤いリボンをつけて来た理由は……

 この人に褒められたから…… 


 この時、ワタシは運命を信じた……




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