表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/189

11話 東京医療セントラルの病室3人部屋


 アタシは、セカイセイハ女のポン刀での特攻の時に口から捨てた、まだちょっと吸えるセッタ(セブンスター)を拾い、ガスきれかけの100円ライターでカチカチカカチチカチっと火をつけて、吸う。


「ふう~ 三年も去ったし、これでやっと普通に授業できるな?」


 アタシは持ってきていたコンビニのビニール袋を拾い、散乱していた机を前に置き、イスに座り袋を逆さまにして、全ての教科書を出した。


 三色団子が、アタシに寄ってきて机の上の教科書を見て、


青髪⦿⦿{京極、おまえ? 学校で勉強なんかするのかよ?

白髪⦿⦿{ジョークだろ? 

緑髪⦿⦿{ケンカで頭打ったか? そういえば朝子に床に後頭部を叩きつけられたな?


 アタシは三色団子にガンを飛ばし、


「勉強なんて生まれて一度もしたことねえけどよ。 ネンショ―から出してくれた校長クリスチーヌと学園生活する約束してんだよ?」


 横の赤銅しゃくどうが、アタシの教科書を目をかっぴらいて見下ろしながら、


「きょ京極が勉強…? マジかよ?」


「赤銅? おまえは教科書持ってきてねえのか?」


「あっ? ああ…… もちろん教科書なんて持ってきてねえよ」


「ち、アタシの教科書を見せてやるから、ここに座れ」


 アタシの横に、イス持ってきて座った赤銅は、

「てか京極、マジな話、高校の勉強なんて今更ハイレベル過ぎっぞ? ワタシは中学レベルでも微妙だしな?」


 それぞれが腕を組んだ三色団子も、

青髪⦿⦿{たしかに高校はな……

白髪⦿⦿{てか京極、この学校は勉強しなくて卒業できるんだぞ?

緑髪⦿⦿{出席さえしてたらな。 だから京極あきらめろって


 アタシは三色団子を見て、


「おめえらいちいちうっせえな? 今から勉強すんだから消えろよ?」


青髪⦿⦿☆{おもしろそうだから 私らもこの1-Aに引っ越すわ

白髪⦿⦿☆{そうだな? 私らの1-Gはつまらんメンツだしな?

緑髪⦿⦿☆{1-Aの朝子にリベンジもあるしな?


 うっせえ三色団子だな……まっいっか…

 アタシは三色団子を見上げて、


「一時間目の授業は何だったんだ?」


青髪⦿⦿{一時間目? 社会しゃかいだよ

白髪⦿⦿{クソ教頭シャーロットが2ページから12ページを眺めろって言ってたな?

緑髪⦿⦿{京極 まじで勉強すんのかよ?


 アタシは机の上の、教科書共を見る……


 どれだ? しゃかい


 アタシは緑色の教科書を持って、赤銅に見せる。


「赤銅? しゃかいはコレか?」


「ちがう、それ地理って書いてる」


 違うのか? アタシは赤色の教科書を持って、赤銅に見せる。


「これか? 赤銅?」


「ちがう、それは音楽」


青髪⦿⦿{まじか? こいつ? 

白髪⦿⦿{でもよ…… 髪金色だし、瞳は青だし、日本語終わってても、もしかして英語が喋れんじゃね?

緑髪⦿⦿{ミス京極さんよ、『学校』は英語でなんて言うか知ってるか?


 あ? 学校を英語だって? 知るわけないだろ……


 三色団子は、もう無視して、


「赤銅どれが社会だ?」


 赤銅は黒色の教科書を、アタシの前に置いて、他の教科書を手の平でどかし、


「京極、この黒が社会だよ」


「これが社会ね?」


 赤銅は、社会のページを開く、


「ワタシが読んでやるよ。 ムズイ漢字は読めないけどな」


「頼むわ」


 キ――ン コ―――ン カ――――ン コ――――ン


 一時間目おわりか。


 

 



   ~~~~~~~~~~~~~~~~~


 聖クリスチーヌ女子学園の近く。

 後藤朝子(163センチ)は右足を引きずりながら歩道を歩く。

 その全裸に白装束を羽織った姿と、血だらけの顔と右手に持つ日本刀のせいで、対向の歩行者は足早に距離を離していく。


「病院どこにあんだよ? はぁはぁ……」


 病院を探す右目は京極に指を入れられ真っ赤になっている。


 目の前のアスファルトに、大きな影を見た後藤朝子はすぐさま振り返る。

 後ろには、頭部がリンゴ飴状態の巨体が、


「美園礼子ぉぉぉ!! ぶっっ殺すぅぅ!!」


 日本刀を振り上げた時、

 美園(222センチ190キロ)は花柄の浴衣の左手首の裾をまくった……

 後藤朝子は振り落としていた日本刀をピタっと止め、


「黒のミサンガ? もしかして?」


 美園は裾を元に戻し、後藤朝子の右手首のミサンガを見つめ、


「ナカマ…… チカクニアル良いビョウインをオシエテヤル……」




 後藤朝子の歩いていた通りのすぐ裏に、5階建ての病院があった。


 名前は『東京医療セントラル』


 入り口の自動ドアを開けて2人が入ると、

 すぐに短いパーマヘアの中年女性の看護師が、小走りで寄って来て、


「2人とも制服は着てないけど、その怪我は聖クリチーヌ女子学園?」


「ソウダ……」


「名前と治したい症状を言う事ができますか?」


「美園礼子…… コノ飛び出たミギの眼球と脳挫傷のチリョウをタノム、ズガイコツもクダケテイル。 右足もヒビがハイッテイル」


 美園礼子は、後藤朝子を見下ろし、

「オマエハ?」


 後藤朝子は、中年女性看護師にガンを飛ばしながら、


「後藤朝子…… 頭部の裂傷を縫ってくれ、変な音を感じるから頭蓋骨にヒビが入っているかもしれねえ。 あと右足が完全に折れてる。 右目も親指入れられていてえし、サンネンにボコられてあちこち痛え……」


 中年女性看護師は、


「美園さんはすぐに手術が必要ですね。 吉沢さん患者を手術室へ」


 もう1人の看護師が来て、

「どうぞこちらです」


 美園は看護師についていった。


 中年女性看護師は後藤朝子を見て、

「あなたは検査が必要ですね、すぐに診察室へ」


「ちっ、すぐ治るからさっさと治療しろよ」


「では、その日本刀は預かりますね。 退院時にお返しします」


「ババア! アタイのポン刀! ぜってえ返せよ!」


 後藤朝子は抜き身の日本刀を差し出した。

 


 診断結果…


 後藤朝子 入院1カ月。

 美園礼子 入院1カ月。




 翌日……


 東京医療セントラルの3階の3人部屋の病室のベッドでは、

 新婚夫婦の姿が…


♀{万寿男マスオさん、だいじょうぶですか?

♂{いや~まさかに東京でマダニに噛まれてショック症状なんてね~ まいったよ~

♀{神宮の森もマダニが危ないんですね? はやく帰ってきてね? はいこれ……

♂♡{赤マムシ? うん、溜めとく……はやく1人目を作らなきゃな…

♀♡{退院したら…ね♡ いっぱいしよ♡

♂♡{ね♡



≪ うるせええごらあああ!! ぶっ殺すぞぉぉお!!! ≫


≪ アサコ オチツケ ゴルフゲームツヅケルゾ オマエノバンダ ≫


≪ ぜんこ~~く~~せいっっっは!! ≫


≪ OB ≫



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ