11話 東京医療セントラルの病室3人部屋
アタシは、セカイセイハ女のポン刀での特攻の時に口から捨てた、まだちょっと吸えるセッタ(セブンスター)を拾い、ガスきれかけの100円ライターでカチカチカカチチカチっと火をつけて、吸う。
「ふう~ 三年も去ったし、これでやっと普通に授業できるな?」
アタシは持ってきていたコンビニのビニール袋を拾い、散乱していた机を前に置き、イスに座り袋を逆さまにして、全ての教科書を出した。
三色団子が、アタシに寄ってきて机の上の教科書を見て、
青髪⦿⦿{京極、おまえ? 学校で勉強なんかするのかよ?
白髪⦿⦿{ジョークだろ?
緑髪⦿⦿{ケンカで頭打ったか? そういえば朝子に床に後頭部を叩きつけられたな?
アタシは三色団子にガンを飛ばし、
「勉強なんて生まれて一度もしたことねえけどよ。 ネンショ―から出してくれた校長と学園生活する約束してんだよ?」
横の赤銅が、アタシの教科書を目をかっぴらいて見下ろしながら、
「きょ京極が勉強…? マジかよ?」
「赤銅? おまえは教科書持ってきてねえのか?」
「あっ? ああ…… もちろん教科書なんて持ってきてねえよ」
「ち、アタシの教科書を見せてやるから、ここに座れ」
アタシの横に、イス持ってきて座った赤銅は、
「てか京極、マジな話、高校の勉強なんて今更ハイレベル過ぎっぞ? ワタシは中学レベルでも微妙だしな?」
それぞれが腕を組んだ三色団子も、
青髪⦿⦿{たしかに高校はな……
白髪⦿⦿{てか京極、この学校は勉強しなくて卒業できるんだぞ?
緑髪⦿⦿{出席さえしてたらな。 だから京極あきらめろって
アタシは三色団子を見て、
「おめえらいちいちうっせえな? 今から勉強すんだから消えろよ?」
青髪⦿⦿☆{おもしろそうだから 私らもこの1-Aに引っ越すわ
白髪⦿⦿☆{そうだな? 私らの1-Gはつまらんメンツだしな?
緑髪⦿⦿☆{1-Aの朝子にリベンジもあるしな?
うっせえ三色団子だな……まっいっか…
アタシは三色団子を見上げて、
「一時間目の授業は何だったんだ?」
青髪⦿⦿{一時間目? 社会だよ
白髪⦿⦿{クソ教頭が2ページから12ページを眺めろって言ってたな?
緑髪⦿⦿{京極 まじで勉強すんのかよ?
アタシは机の上の、教科書共を見る……
どれだ? しゃかい
アタシは緑色の教科書を持って、赤銅に見せる。
「赤銅? しゃかいはコレか?」
「ちがう、それ地理って書いてる」
違うのか? アタシは赤色の教科書を持って、赤銅に見せる。
「これか? 赤銅?」
「ちがう、それは音楽」
青髪⦿⦿{まじか? こいつ?
白髪⦿⦿{でもよ…… 髪金色だし、瞳は青だし、日本語終わってても、もしかして英語が喋れんじゃね?
緑髪⦿⦿{ミス京極さんよ、『学校』は英語でなんて言うか知ってるか?
あ? 学校を英語だって? 知るわけないだろ……
三色団子は、もう無視して、
「赤銅どれが社会だ?」
赤銅は黒色の教科書を、アタシの前に置いて、他の教科書を手の平でどかし、
「京極、この黒が社会だよ」
「これが社会ね?」
赤銅は、社会のページを開く、
「ワタシが読んでやるよ。 ムズイ漢字は読めないけどな」
「頼むわ」
キ――ン コ―――ン カ――――ン コ――――ン
一時間目おわりか。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
聖クリスチーヌ女子学園の近く。
後藤朝子(163センチ)は右足を引きずりながら歩道を歩く。
その全裸に白装束を羽織った姿と、血だらけの顔と右手に持つ日本刀のせいで、対向の歩行者は足早に距離を離していく。
「病院どこにあんだよ? はぁはぁ……」
病院を探す右目は京極に指を入れられ真っ赤になっている。
目の前のアスファルトに、大きな影を見た後藤朝子はすぐさま振り返る。
後ろには、頭部がリンゴ飴状態の巨体が、
「美園礼子ぉぉぉ!! ぶっっ殺すぅぅ!!」
日本刀を振り上げた時、
美園(222センチ190キロ)は花柄の浴衣の左手首の裾をまくった……
後藤朝子は振り落としていた日本刀をピタっと止め、
「黒のミサンガ? もしかして?」
美園は裾を元に戻し、後藤朝子の右手首のミサンガを見つめ、
「ナカマ…… チカクニアル良いビョウインをオシエテヤル……」
後藤朝子の歩いていた通りのすぐ裏に、5階建ての病院があった。
名前は『東京医療セントラル』
入り口の自動ドアを開けて2人が入ると、
すぐに短いパーマヘアの中年女性の看護師が、小走りで寄って来て、
「2人とも制服は着てないけど、その怪我は聖クリチーヌ女子学園?」
「ソウダ……」
「名前と治したい症状を言う事ができますか?」
「美園礼子…… コノ飛び出たミギの眼球と脳挫傷のチリョウをタノム、ズガイコツもクダケテイル。 右足もヒビがハイッテイル」
美園礼子は、後藤朝子を見下ろし、
「オマエハ?」
後藤朝子は、中年女性看護師にガンを飛ばしながら、
「後藤朝子…… 頭部の裂傷を縫ってくれ、変な音を感じるから頭蓋骨にヒビが入っているかもしれねえ。 あと右足が完全に折れてる。 右目も親指入れられて痛えし、サンネンにボコられてあちこち痛え……」
中年女性看護師は、
「美園さんはすぐに手術が必要ですね。 吉沢さん患者を手術室へ」
もう1人の看護師が来て、
「どうぞこちらです」
美園は看護師についていった。
中年女性看護師は後藤朝子を見て、
「あなたは検査が必要ですね、すぐに診察室へ」
「ちっ、すぐ治るからさっさと治療しろよ」
「では、その日本刀は預かりますね。 退院時にお返しします」
「ババア! アタイのポン刀! ぜってえ返せよ!」
後藤朝子は抜き身の日本刀を差し出した。
診断結果…
後藤朝子 入院1カ月。
美園礼子 入院1カ月。
翌日……
東京医療セントラルの3階の3人部屋の病室のベッドでは、
新婚夫婦の姿が…
♀{万寿男さん、だいじょうぶですか?
♂{いや~まさかに東京でマダニに噛まれてショック症状なんてね~ まいったよ~
♀{神宮の森もマダニが危ないんですね? はやく帰ってきてね? はいこれ……
♂♡{赤マムシ? うん、溜めとく……はやく1人目を作らなきゃな…
♀♡{退院したら…ね♡ いっぱいしよ♡
♂♡{ね♡
≪ うるせええごらあああ!! ぶっ殺すぞぉぉお!!! ≫
≪ アサコ オチツケ ゴルフゲームツヅケルゾ オマエノバンダ ≫
≪ ぜんこ~~く~~せいっっっは!! ≫
≪ OB ≫