98話 放課後 聖クリ4階トイレ
5月29日木曜、東京連合が渋谷のゲームセンター『スペクター』襲撃から、愚連隊ダンテと東京連合の抗争は激化した。
死傷者が発覚した衝突はニュースに取り上げられる。
抗争の指揮をとるダンテ総長ブラックチェリーと副総長の鬼頭妹はもちろん、対する東京連合総長後藤朝子と副総長美園礼子も聖クリに登校する事も無い。
6月2日月曜日 午後3時10分
聖クリスチーヌ女子学園4階の1ーA
キ――ン コ―――ン カ――――ン コ――――ン ガガッガ
≪全校生徒のみなさん 我が校は3時25分が閉門時間ですからね? 只今から校内の電気は全て落とします 閉門後は我が校の番犬のドーベルマン20匹を檻から放ちますので 急いで下校してください≫
15分後にはドーベルマンが放たれるので…
青髪⦿⦿{京極、赤銅、また明日な?
白髪⦿⦿{早くパチンコ『ナイアガラ』行こうぜ
緑髪⦿⦿{モアイも行くだろ?
| ̄ 旦  ̄|≪行く行く
クラスメートの皆は足早に下校する最中、眠っていた京極は背筋を伸ばし、
「ふわ~~ やっと学校終わったか~~」
横に座る赤銅は、
「京極、最近、学校で眠ってばっかじゃねえか?」
京極は思い出すように、
「あ? アッブなっ…忘れるトコロだった…」
すぐにスパっと立ち上がり、
「今日は校長から月3万の生活費を貰いに行かねえと!」
横の赤銅は鼻から下を隠すバンダナを外しセッタ(セブンスター)を咥えて火をつけて、
「昨日の6月1日は日曜だったからな? ワタシはトイレ行った後に駐輪場で単車乗ってから、駐車場の校長のBMWへ京極を向かいに行くな?」
「ああ」
京極は駐車場へ向かう…
赤銅は一年生の全てが階段を下りている最中にトイレに…
5分後…
京極は校長のBMWに歩いて来たが…
校長の姿は見えず、車にはキーがかかっている。
「校長どこだよ? あと10分でドーベルマンが放たれんだぞ?」
周りを見渡しても姿が無く、
「もしかして……まだ校長室か?」
生徒の大半が校門を越え下校する時間に、京極は校長室に走って行く。
2分後… (ドーベルマン放出タイムまで後8分)
京極は1階の校長室の前に着いた…
顔認証システムに京極が顔を近づけると、
ピ―――― バスン…
校長室の扉が開く…
中には忙しそうに事務作業をするクリスチーヌの姿が、
初めてクリスチーヌが仕事をしている姿に京極は驚いて、
「おい? 校長? どうした?」
クリスチーヌは不機嫌そうに、
「今日も先週の木曜日も教頭が体調不良で休みだから朝から事務仕事してんのよ! シャーロットならすぐ終わるんだけど!<`ヘ´>」
「でもよ、教頭の声は教室のスピーカーから聞こえてたぞ?」
「アレは、ワタクシがケイタイで録音していたシャーロットの声をマイクで再生して流していたのよ! 朝一の授業開始からね! <`ヘ´>」
「なんでシャーロットの声をマイクの前で再生するんだ?」
「アンタ…(;゜Д゜) 分からないの?(;゜Д゜) ワタクシがマイクで喋っても生徒が言う事を聞かないからに決まってるでしょ…('Д')」
アタシはセッタを咥えてカチカチカチカチと100円ライターで火をつけて、一服吸って、
「じゃあ今日はドーベルマンの檻のカギを開けるのも校長の仕事か?」
「アホか!('Д') あんなもん解き放ったらワタクシが真っ先に喰われるに決まってるから出すか!(;゜Д゜)」
「ところで生活費の3万くれよ? 駐車場で赤銅を待たせてんだよ?」
「やだ! ワタクシの仕事が終わるまで渡さないもん!('Д')」
京極は呆れた顔で、
「仕方ねえな…… ドーベルマンが出て来ねえなら駐車場で待ってる赤銅も、ココに連れて来て一緒に待つわ」
京極は赤銅を呼ぶために校長室を出た。
その頃、下校する聖クリ四天王の後ろ姿が、
Ω≪最近、東京連合とダンテってのが激しい抗争してるらしいじゃねえか?
Ω≪両方ともトップは聖クリの生徒らしいですことよ?
Ω≪聖クリのワルのレベルは日本一だからな?
その時、四天王…
前方でケイタイで話す、ヤンキースの黒パーカーを着た鬼頭妹の姿を見た。
四天王は小声で、
Ω≪うっ……あれ鬼頭じゃねえか…
Ω≪誰かと中国語?で話し中みたいだから、さっさと会釈して通り過ぎるですことよ
Ω≪賛成
四天王は歩速を上げて、鬼頭の前を会釈して通過した直後、
鬼頭はケイタイから耳を離し、
鬼頭妹「オメエら待てって、オメエらに用があっから帰り道を待ってたんだ」
四天王は足を止めて鬼頭妹へ振り返り、
Ω≪鬼頭さん? なんの用っすか? 中国語喋れるんですね? 凄いですね?
Ω≪ダンテの副総長らしいですね? ダンテ応援してますことよ
Ω≪鬼頭さん居たら楽勝っすよ
鬼頭妹は右手の人差し指でカモンカモンしながら、
鬼頭妹「ちょっと付いて来い」
四天王はビルの狭い間に連れて来られた。
鬼頭妹「オメエらの聖クリの生活指導部って何人位いたっけ?」
ΩΩΩ≪50っすね
鬼頭妹「そいつら、全部ダンテに入らせろ」
ΩΩΩ≪全部っすか?
鬼頭妹「拒否するヤツは焼きを入れろ」
ΩΩΩ≪分かりました
鬼頭妹「言っとくけど、もちろんオメエらもダンテ入りに含まれてんだぞ?」
ΩΩΩ≪そうですよね
鬼頭妹「それと……はいこれ」
鬼頭はたっぷり詰まったビニール袋を渡した。
鬼頭妹「そん中はチェリー(ドラッグ)、学校で全部売れ、3日でな?」
Ω≪こっ…こんなに?
Ω≪3日で、こんなにですことよ?
Ω≪無理っすよ…ぜったい…
鬼頭妹「値段は半額まで下げていいから聖クリにバラ撒け、とにかく金がいんだよ」
ΩΩΩ≪半額なら行けます
時は少し戻り、京極が駐車場へ行った後。
トイレを済ませズボンを上げた赤銅がボウガンを手に持ち、トイレのドアを開けると、
「おお!! ビビった~!」
目の前に、
赤銅が初めて出会う女が立っていた。
黒のツインテールとキャミソールのミニの三年生の伊崎カナエ。
頭部を巻いていた包帯は外されている。
顔は無表情…
赤銅聖羅は瞬時にボウガンの照準を伊崎カナエに合わせようとしたが矢を掴まれた、赤銅は伊崎にガンを飛ばし、
「オメエ!! ドアの前に立ってたらビビんだろ!? 基地外かよオメエ!?」
「あたり」
伊崎は右手に持っていた注射器で赤銅のクビを刺した。
赤銅は白目になり崩れた。