10話 1-A伝説 (下)
アタシは美園を半殺しにした後に、スカジャンのポケットからセッタ(セブンスター)を取り出して、ガスの切れかけの100円ライターでカチカチカチカチっと火をつけ、一服、
「ふう~~ あれ? アタシらって何してたんだっけ?」
ボウガンを持った赤銅がアタシを見て、
「京極! 基地外教頭に! 生存者1人のバトルロイヤルさせられてんだよ!」
「バトルロイヤル? そんなのしなけりゃいいじゃねえか?」
「でもさ、通路にヤバい3年の生活指導部がうじゃうじゃ」
アタシは鉄警棒の先を、通路のキャメル色のベレー帽被った上級生達に向けて、
「アタシらの生き残り1人だけなら、アレ等を全部殺した方が遥かにエコロジーだろ?」
「え? まあ確かに……そうかな?」
黒板の近くの、3人ともサバイバルナイフ持ってる三色団子は、
青髪⦿⦿☆{京極! 名案だな!
白髪⦿⦿☆{3年の馬鹿共 高みの見物から地獄に突き落としてやろうぜ!
緑髪⦿⦿☆{どうせ生存者1人なら 私ら3人も誰か死ななきゃなんねえしな!
今まで、片隅でビビっていた教室の1年たちも、
「あんたら、どうするよ?」
「京極がいたら勝てるかもよ? 3年は京極にビビってるし」
「北中の三色団子もいるしね……」
「京極と赤髪ボウガン女と三色団子含めて33人と、3年は約50人か?」
「いっちょ殺るか…… 下剋上すっぞ」
カッター、バタフライナイフ、チェーン、バット、鉄パイプ、ブラスナックルを持って構えだした。
その時!!!
「死ねええええええ!!!」
通路の割れた窓から!!
殺意の塊が、アタシに飛んできた!!
瞬時に!! タバコをプっと捨てて!!
ガチン!!
重なる!! ポン刀と、アタシの鉄警棒!!
着地した全裸に白装束女は、グイ――――――と、デカいポン刀を両手で押しながら、すっげえガンを飛ばしてくる…… くっ、真剣の刃がアタシの両手で押さえる鉄警棒を下げさせ、目の前に来やがった……
「きょうごくううう!! ぶっころすぅぅ!!」
「うっぜええなぁ? 狂犬病かよおまえ! おまえのせいでタバコ1本捨てちまったじゃねえかよ? もったいねえ!」
躊躇なくポン刀で特攻とはな…… コイツ殺しは初めてじゃねえな? コイツ3年か?
コイツはポン刀に、全力を押し付けてくる……
普通に鉄警棒を離したらお陀仏……
また、サバイバルナイフ持った三色団子が、手助けに来ようとしたから、
「三色団子! 手を出すな!!! ごら!!!」
青髪⦿⦿{またかよ!
白髪⦿⦿{ばかか? 一対一のタイマンばっかしやがって!
緑髪⦿⦿{やるなら! ぜってえ、朝子もカタにはめろよ!
赤銅もボウガンを、ポン刀白装束女に向けていたから。
「赤銅もだ!!」
「京極! 本当に大丈夫かよ!?」
アタシは、目の前の女に、ニタ~~っと笑み、
「コイツも正当防衛だから、ぜってえにぶっ殺してやる」
鉄警棒の先を45度下げる……
力いれまくっていたポン刀は逸れて、
スパン!!
床にぶっ刺さる!!
アタシは、ポン刀女の頭をたたき割るために鉄警棒を振り上げる!!
なに!?
この女!!
床に刺さったポン刀を捨てて、自分の頭を、振り上げた鉄警棒にカチ上げる!!
ドン!
遠心力が無い鉄警棒だからダメージはほとんど無い!
すぐに、
ポン刀女は、アタシの髪を左手で掴んでまま、足を外刈りして、
バコ!!
床に! アタシは後頭部から叩きつけれる!!
ぐわ~~~ん
う! ひるんだスキに、アタシのノドに、体重乗った右の前腕がギロチンに乗る!!
髪は左手で掴まれたまま……
「うっううう……ぅぅ」
「京極ぅぅ? やっぱアタイよりは弱えなぁ? さっさと死ね」
ぐぐっぅうぅ…くっうう……まだだ…
≪ガガッガ…… どうしました? 後藤朝子さん? もしかして殺しは処女なのですか? さっさと京極茜さんで処女を捨てて ヤリマンになりなさい≫
「ちげええし! コイツ! 両手でアタイの右手押さえているし、首下ろして喉に力入れてるから! 喉が硬ええんだよ!」
≪目喉睾丸は素手喧嘩の基本中の基本ですが こんなところで体格差が表れるとは…… とても残念ですね ぶっは~≫
ううぅ……
め… めのどこうがん?
目喉キンタマか? 女にはキンタマは無いな……
窒息上等でコイツのgギロチンの右手を離し……
窒息死にかけで、ポン刀女の顔を両手でつかむ……
この状況……もう狙うのは目だ、目しかない……
頭を下ろしやがったから顔は見えねえけど、
やわらかさを右の親指の爪が感じた……
瞬時にスッと、首の押し付けが無くなる……
ポン刀女……
片目を失う覚悟があれば、アタシを殺せたもな!
ポン刀女はすぐに立ち上がると、片手で顔押さえながら、てめえのポン刀に走っている!
こいつ? まだあまいな?
ポン刀は床に刺さってんだぞ?
アタシは鉄警棒を拾い!!
ポン刀を抜こうとしているポン刀女の後ろ姿!!
ガチ―――ン!!!
後ろから脳天をかち割ってやった…
もっとボコってスイカ割りにしてやろうと思ったけど……
ポン刀女はフラフラ~っと割れた窓に、
あ? 白装束の背中?
全国制覇 ~?
小学からほとんど学校行ったことないアタシでも……
セカイセイハ?は…… なんとなく読める… まじかコイツ?
夢熱いじゃん……
フラフラのセカイセイハ女は…… 振り返ってアタシにすげえガンを飛ばし、
「京極ぅぅぅ…次は…ぜってええええ‥ころす…」
血だらけの顔でイキった後に……
「4階上等だァァ! おらァァ!!」
両手を広げて、マッパの上に着た白装束をなびかせケツ見せて飛び降りた。
ちょっと気になったから窓の下を見たら……
落ちて片足を折ったか? 右足を引きつりながら学校の外へ歩いている。
アタシは、
「おい!! セカイセイハ!!」
アタシは、こっちを見上げガンを飛ばすセカイセイハ女に、
「忘れもんだ!!」
ポン刀を投げる。
アタシは、それを拾ったセカイセイハ女に、
「いつでも相手になってやんぞ!」
セカイセイハ女はアタシに中指を立てた後に、向こうへ歩いて行った……
美園にセカイセイハを半殺しにしたし……
さあて……
通路の上級生にガンを飛ばし……
「オマエラもアタシとケンカを殺るか?」
ボウガン持った赤銅、サバイバルナイフ持った三色団子、ドーグ持ったクラスメート達、上級生にガンを飛ばす、
通路のざわつく上級生達の向こうで。
四天王Ω{1年ども夢見てんじゃねえぞ? あ? そういえば私、そろそろ歯医者の時間だわ
四天王Ω{デスゴスロリの私と殺り合う? あ? ミルダム配信の時間ですことよ
四天王Ω{ちっ全部、私が殺ってやんよ しまった弁当忘れた 取りに帰ってくる
アタシら1年にガンを飛ばしながら、上級生は全て去った……
うお!
頭部りんご飴の美園がぬ~っと起き、立ち上がる……
「美園? まだタイマン続ける気か?」
美園は半分飛び出た片目を指さし、
「目がコレだ…… ズガイコツもクダケまくって脳挫傷もある…うううぐぐ」
デカい体がガクッと折れてるであろう右膝をつこうとしたが……
「ヅゥっっ……ヨコヅナゴロシの美園礼子ぉぉ…地にヒザはつけぬぅ…ぅぅ」
さっき正座で両膝ついてたけどな。
「なら、さっさと病院行けよ」
「キョウゴクアカネ…… ツギはカナラズコロス……」
「いつでもアタシが相手になってやるから、さっさと病院行けって」
美園の花柄の浴衣の背中を押して、1ーAから出す。
あ? 左手首に黒のミサンガ? このデカい体でおしゃれしてんのか?