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もふもふな守護精霊

何とか異世界に片足を突っ込む事が出来ました。まだ異世界についてから二日目ですからまだまだ続きます。

何だか不思議な夢を見ていたような気がするが、とにかく眠いので眠気に任せてすやすやと眠っていた。柔らかな布団と、ちょうど良い感触の枕は最高だ。そうして、朝になるまでぐっすりと眠ったので翌朝には体調はだいぶましになっていた。


誰かが名前を呼んでいる気がする、布団から(ベッドから)起き上がろうとして手を伸ばすと何かもふもふとしたものが手に当たった。柔らかくて暖かい。そのもふもふを抱き締めるともふもふは『にゃあ』と鳴いた。どうやら猫がいるらしい。



「まあ、ミレーナお嬢様、起きられたのですね。体調はいかがですか?」


「ん、大丈夫。ありがとう、ヘラルダ。」


「それはようございました。あら?その猫は…精霊ですね、もしや…。」



メイドのヘラルダさんが布団に入り込んでいた猫を観察していると突然驚いたような顔をして慌てて立ち上がる。



「これは、間違いなく女神様の刻印…!女神様から遣わされた守護精霊に間違いございません。お嬢様、何か夢を見られたりなどは…?」


「夢…そう言えば夢で女神様に会ったよ。」


「ああ、やはりお嬢様は女神様のご加護がおありになるのですね。いいえ、これはもう女神様の寵愛と言っても過言ではありません、奥方様にお伝えして参ります!」



メイドのヘラルダさんはマシンガントークのように一人で盛り上がり、母親に知らせに行くようだ。ベッドには起き上がってぼんやりしたままのミレーナと、まだすやすやと眠る猫だけが残されていた。取り敢えず、母親が来るのを猫をもふもふしながら待つことにした。猫は手足の先だけが白いのでスノーシューと言う柄の猫だが、品種までは判らない。体の部分は綺麗な黒色なのは確かだが…よく見ると尻尾が九尾もある。普通の猫ではないようだ。



「可愛いなあ、どこから来たの?」


『私は女神様より遣わされた守護精霊、ジュリエッタと申します。猫の妖精、まあ要するは貴方をお守りするようにとフォルトニア様から仰せ付けられております。よろしくお願い致します。』



深々と頭を下げるジュリエッタ。さっき猫の妖精、と言っていたが、ケット・シーなのかな?と聞いてみると『そうです』と答えてくれた。女神様ににゃんこ欲しいみたいな事を言っていたので叶えてくれたらしい。やった!可愛いにゃんこゲットだぜ!と、ついつい何処かのモンスターを捕まえて戦わせるゲームっぽく言ってしまったけど、精霊なんだからモンスターではないような気がする。とにかく、可愛い猫が側にいるのでそれをもふりながらメイドさんが戻るのを待っていると慌ただしくヘラルダが母親と共に戻ってきた。



「見てください、奥様。この可愛らしい猫が精霊様でございますよ。」


「あらまあ、確かに女神様の刻印が額にあるわ。ミレーナは随分可愛らしい精霊に守られているのね。」



どうやら女神様の刻印とやらは猫の額にあるらしい。抱き締めた猫の額を確認してみると、桜の花みたいなピンクの刻印が浮かんでいた。あれ、この花桜に似てるな。また夢で会った時に女神様に聞いてみよう。



「ミレーナの体調はだいぶ良くなったみたいね。明日が楽しみだわ。」


「ええ、そうでございますね。明日にはお嬢様もベッドから出られると思いますので。」


「ふふ、ミレーナも明日が特別な日だから楽しみにしていたわよね?」


「?あの、お母さま、明日って何があるの?」



明日には何か特別な事があるらしいのだが、転生したばかりでミレーナに関する記憶が全部ある訳ではない。不思議に思って聞いてみたが大丈夫だろうか。女神様は不信がられる事はないと言っていたけれども。



「まあ、お痛わしい…アンソニー先生が記憶に障害が残ると仰られていたけれどこんな大切な日までお忘れになるなんて…。」


「ミレーナ、覚えていないのね…。でも大丈夫よ、明日お祝いすればもう忘れないわ。明日には貴方はもう5歳になるのだもの。」



明日には5歳になる。つまり明日はミレーナの誕生日だと言う事だ。この世界にも誕生日を祝う文化や習慣があるのは嬉しい事だね、ケーキくらいは出たら良いなあ。ヘラルダが明日は料理長と私達が腕を奮いますからね、と意気込んでいるので楽しみにしていよう。ちなみに、熱が下がってだいぶ体調も良いのだが念のために今日一日は安静にするように言われたので大人しくベッドで休む事にした。ヘラルダが退屈だろうからと、絵本みたいなものを読み聞かせてくれた。内容はシンデレラと眠り姫を足したような話だったけど、やはり国では女の子に人気のおとぎ話なのだそうな。ヘラルダは『みんなおとぎ話のお姫様に憧れるのですよ』との事だが、この公爵家の娘もある意味もう既にお姫様みたいなものじゃないかな。口には出さなかったけど。なかなか興味深いおとぎ話を聞いていい気分のまま、再びすやすやと眠りについた。


簡単な人物紹介


ユスティーネ:主人公の転生した先での母親。長男フェリクス、長女パトリシア、次女ミレーナを産んだ人だが、とても三人の子供がいるようには見えない若々しいお母さん。公爵夫人だが、高慢でも嫌味たらしくもない。ミレーナは数日前から熱病で寝込んでいたので物凄く心配していた。夫婦揃って家族思いなので転生先としてはかなり優良物件である。


まだ家族全員出てませんがそのうち揃います。(誕生日が控えているので)

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― 新着の感想 ―
[一言] 昏睡してたなら曜日感覚ないだろうに 記憶障害とかサラッと毒吐くな...
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