女神様のパネルディスカッション(説明会)
サブタイトル通りに女神様によるパネルディスカッションです。パネルと言ってもパネル写真なんですけどね。今回は長めになったので後で分けようか考えておきます。
女神様からの説明を聞いた後は、布団に入って眠るかのようにすやすやと眠っていた。そう、とても柔らかな布団で眠っている。ふかふかの布団がとても寝心地が良くて、いつの間に布団に入ったのかは判らないが、心地のよい枕が頭にあるので快眠なのだろう。しかし、眠っている自分にさっきから幾度となく呼び掛けている声が聞こえる。女性のような声だが、先程の女神様だろうか…?
「めがみさま…?」
驚いたことに声がちゃんと出る。さっき眠る前までは声を出そうにも心の声みたいに出なかったのに、不思議だ。うっすらと目を開くと高い天井と何だか凄い泣きながら『おお、女神様、感謝致します』と祈る女性がいる。誰だろう、見覚えがない…と思っていたら、薄ぼんやりと家族だと言う思い出のようなものが頭を過る。つまり今直ぐ側にいる女性は…。
「良かった、もう目を覚まさないのかと思ったわ。本当に良かった、ミレーナ…。」
聞き慣れない名前だが、恐らくは転生後の名前なんだと思うけど、待って、ミレーナって女の子の名前な気がするんだけど。え、女の子になってんの?女神様何も言ってなかったよね?
「奥方様、あまり大きな声を出されると目を覚まされたお嬢様が驚きますので…。」
「そ、そうね、私ったらあまりにも嬉しくて少し取り乱してしまったわ。ミレーナ、ゆっくりお休みなさい。ヘラルダ、後でフェリクスとパトリシアにも伝えておいて頂戴ね。」
「畏まりました、奥方様。」
奥方様、と呼ばれた女性はメイドさんにそう言うとハンカチで涙を拭いながら部屋を出ていった。多分だが、ここは寝室なんだと思うけど詳しいことはまだ判らない。さっき名前が三人くらい出ていたが、ヘラルダと言うのがこのメイドさんのようだ。茶色い髪の落ち着いた感じの女性だ。しかし、メイドさんがいるって事はやっぱりここは公爵様のお屋敷になるんだろうか?
「ミレーナお嬢様、本当にようございました。ずっと熱が下がらないので私共も心配しておりましたから…。」
「峠は越えました、後はゆっくりお休みになられれば回復するでしょう。」
「アンソニー先生にも、感謝を。やはり腕利きのお医者様でございましたね。」
「いえいえ、私がしたことは限られていますからな。きっと女神様の思し召しでしょう。」
メイドさんが先生と呼んでいるので多分この男性はお医者さんなんだろうと思ったら腕利きのお医者様だった。貴族だからなんだろうか?まあ、母親にだいぶ心配されていたし愛されているんだろう。医者の先生は道具やらを鞄に片付けてメイドさんに挨拶をした後に『お大事になさって下さい』と声を掛けてから部屋を出ていった。部屋にはメイドさんと自分だけになったがきっと病気なので寝る以外する事はない。
「お嬢様、お加減はいかがですか?お水は飲めそうでしょうか?」
メイドさんが、いや、ヘラルダさんが心配そうに顔を見ながら聞いてくる。声は出るので『うん』と小さく頷くと吸い飲みを口元に持ってきてくれた。ちょっと冷たいお水が美味しかった。メイドさんが飲んだのを確認してから吸い飲みを下げて、布団をかけ直してゆっくり休んで下さいと優しく言ってくれたので目を閉じると眠気がやって来たので眠りに身を任せた。
夢の中なのか、眠った後に何となく一度来たことがあるような場所にふわふわと浮かんでいた。あれ、何だかデジャブを感じるぞ。
『ようこそ、異世界へ。あ、今はミレーナさんでしたね。いかがですか、この世界は?』
「いかがですかと言われても、まだ少ししか話せてないから判らないんですけど…。」
『あらまあ、でも回りの方々は優しい方ばかりですよ。』
優しい人々なのはさっきので何となく判るが、何故女の子に転生させたのかや公爵様の屋敷で何をすれば良いのかを聞く必要がありそうだ。母親は多分奥方様って呼ばれている人だとは思うけど何か他にも家族がいそうだし。
『そうですね、奥方様と呼ばれている女性が異世界での貴方のお母様になります。こんな感じの方ですね。よいしょっと。』
女神様がパネルみたいな感じの大きな写真を目の前に出してくれた。プラチナブロンドの髪で目の色はサファイアのような青色だ。なかなかの美人さんで、着ているものもシンプルながらに品のあるドレスだからお姫様と言われたらそうだなと納得しそうではある。名前はユスティーネ、確かアムルーシュ公国の后妃様だ。あれ、そんな凄い人が母親で良いのだろうか?
『大丈夫ですよ、あの女性は家族をそれはそれは大事にしていますからね。ユスティーネさんは三人の子供のお母様で、40代前半ですが見えませんよねぇ。』
「えっ、み、見えないですよ、まだ20代に見える…これが貴族の力…?」
『多分見た目が若く見える方なんでしょう。結婚する前は縁談や恋文が山のように来ていたそうですから、まあ判りやすいですよね。』
フォルトニアがちょっとした追加情報を付け加えてユスティーネの説明は終わった。後は追々教えてくれるのだそう。次に公爵様である父親のパネル写真が出てきた。うん、もう何も突っ込むまい。女神様のやることだし。
『ミハエル・ヨハネ・タールベルク、アムルーシュ公国を治める公爵様ですね。元は王様専属の騎士団の団長で、ミハエルさんのお兄さんが大臣の一人でどちらにせよ、ウィシュトヴァラ王国の王族と近しい人ではありますね。』
何だその華麗なる一族みたいな豪華な設定。結婚して、三人の子供が生まれたので騎士団を退団する際に後身は副団長に任せて今はアムルーシュで領主としての仕事に専念しているのだとか。元は騎士団長って事は武勲をたてる事で成功をおさめたのだろうか?そう聞いたみるとその通りだと答えが返ってきた。まあ、文勲だけの男性ってイメージは近代のような気がするし。可笑しくはないのかも。さて、父親の写真をちゃんと見てみよう。中々に渋い感じだが、明るめのブラウンの髪に目の色は翡翠のような綺麗な緑色をしている。若い頃はさぞかしもてたんだろうな、と思えるくらいにはイケメンだ。しかし、今の姿でも『おじ様素敵!』って若い女性がなりそうなイケおじではある。どうやらその予想は強ち間違いではないらしく、アムルーシュ公国内ではミハエルを見かけた女性は皆黄色い声を上げてははしゃいでいるのだとか。まるでアイドルのようだ…。性格はそこまで無骨ではなく、温厚な方ではあるそうだ。妻と娘には割りとでれると言う話なので、一般的な家庭のお父さんと変わらないような気もする。ここで女神様がタールベルク公爵家を少しだけ解説してくれた。公爵家当主、ミハエル、公爵夫人、ユスティーネ、長男フェリクス、長女パトリシア、次女ミレーナ、となっているそうだ。つまり転生先は末っ子のミレーナになる訳だが…。
「貴族のマナーとか色々よく知らないんですけど…。」
『その辺りは大丈夫、ちゃんと家庭教師がついていますから。それにミレーナさんはまだこれから5歳になるのでお勉強もこれからですよ。』
そう言われて、今度は女神様が姿見を出してくれた。背中まであるサラサラのプラチナブロンドに子供らしい大きな瞳に長い睫毛、目の色は父親と同じで綺麗な緑色をしていた。色白だしどこをどう見ても美少女だった。こんなテレビや写真でしか見たことない美少女がいるとは思わなかった。取り敢えずお約束として頬をつねってみる。痛い!
『あらまあ、夢とは言っても痛いものは痛いのですよ?』
「そこは夢だから痛くないってなるんじゃないんですかね…。」
『まあまあ、これで貴方が美少女に転生したのは判ってくれましたね?』
そこだよ、問題は何故女の子に転生させたのかだ。何故女の子になっているのか、と女神様に思い切って聞いてみた。返ってきた答えは…。
『何故女の子にしたのか、ですか?それはですね、貴方の魂と精神が一番安定して転生させる事が出来るのが、5歳から9歳くらいの女の子しかティシュヴァンフォーレでは居ませんでしたから。それにちょうど転生先として一番適合率が高いのもミレーナさんしかいませんでした。』
うむむ、そうはっきりとちゃんとした理由を言われると反論出来ない。女神様の趣味だけで転生させた訳ではないようだし、致し方ないのか…。まあ、女の子だから不自由なものでもないし。女神様は此方が納得したような感じの雰囲気なので続けて長男のフェリクスのパネル写真をこれまたどどんと出してきた。
『長男のフェリクスさんです。現在17歳、もうすぐ成人を迎える頼りになる貴方のお兄ちゃんですよ。』
これまた、公爵様とは違うタイプのイケメンだ。ハニーブラウンの髪が緩くウェーブをしているがそれが違和感なくシャープな顔立ちを少し押さえているように見える。ストレートだと少しきつい印象かもしれない。しかも、目元に泣きぼくろがある辺りが美男子を引き立てている。これはさぞかしもてるに違いない。
『貴族の子息、及び子女は8歳から10年間貴族としての学舎に通うことになっているのですが、そこで知識を得て、学友や学校の活動などで社交界への足掛かりとするそうですよ。』
よくあるお嬢様学校みたいなものだろうか?まあ、きっとこれから兄と姉がいるのだから土産話として色々聞けるだろうから大丈夫そうだ。ちなみに、兄はやっぱり学校でめちゃくちゃもてるそうな。かと言って女好きとか侍らしたりとかしない人なのでそこはちゃんとしている。男友達もそれなりに多いので心配はいらないようだ。いよいよラストは次女のパトリシアである。
『次女のパトリシアさんです。まあ、見た目で判るかは別としてお転婆な方ですね。』
活発そうな雰囲気だからもしやとは思ったけど姉はお転婆なお嬢様だった。柔らかそうなブロンドの髪をツーサイドアップにしていて、キリッとした眉と勝ち気そうな目をしている。目の色は翡翠だから父親と自分、姉が同じ瞳の色をしている事になる。兄は綺麗な青色の瞳をしていたので母親からの遺伝だろう。姉は現在10歳、まだ学校に通い始めて二年だが楽しそうに学校の土産話を母親や使用人にしているらしく、毎日馬に乗る練習や剣の訓練をしているのだが、確かに貴族の子女としてはお転婆だ。物心ついた頃からお人形遊びやおままごとには興味を示さず、ボール遊びや鬼ごっこ、かけっこがお気に入りで母親も苦労したそうな。ああ、テンプレートのようなお転婆な姉である。ちなみに、男女共に友達の数は結構多いらしいのは判るような気がする。取り敢えず転生先での家族の情報は一通り教えてもらったので後は何だろう、と考えていると再び物凄い眠気がやって来た。
『ご家族についてはこのくらいで良いでしょう。守護精霊については…ミレーナさんは猫と犬はどちらがお好きですか?』
眠気が強すぎて女神様の声が最後の方しか聞こえなかったが、猫と犬、どちらが好きかと聞かれたら勿論猫と答える。にゃんこ大好き!と、思った直後に眠気に勝てずにすやすやと眠っていた。空耳かもしれないが、可愛いにゃんこを貴方に送りますね、と言っていた気がする。
簡単な地名解説。
アムルーシュ公国。タールベルク伯爵が治めている少しちいさな公国。比較的気候は温暖で、果物と川魚が豊富に手に入るので公国の主産物として親しまれている。住人は皆気候と同じでとても温厚な人たちばかりである。タールベルク伯爵及びその家族のファンクラブが密かに存在する。
長くなりすぎました。次回は少しは話が進むと良いんですけどね…。




