異世界ウェディング
異世界での主人公の兄が式を挙げる話です。
割と解説回にほぼなっているので
台詞は少なめかと思います。
今回の為だけに結婚式に関する情報を
かなり調べまくったのは良い思い出。
リンゴーン、リンゴーン、と鐘の音が青い空に鳴り渡る。キルシュブリューテの花が満開になる季節、ちょうどディアモンドの月の中頃。そう、日本で言うところの四月にあたる季節、晴れ渡る青空の元で結婚式が行われようとしていた。
とは言っても私ではなくフェリクス兄様とデルフィーナさんの式だ。生前では友人の結婚式などに出席していた事はあるから初めてと言う訳ではない。しかし、この世界の結婚式なんて初めてだから、判らないしきたりやルールなんかがあるかもしれないと思ってヘラルダとお母様に色々と聞きながら勉強してみた。
このティシュヴァンフォーレに宗派による違いとかそう言うのはないらしいが、内容を聞いてみると大体やる事は地球で言う所のカトリックの方に似せてあるみたいだった。
ティシュヴァンフォーレでは神様と言うのは創造神がフォルトニア様なので女神教またはフォルトニア教と呼ばれ、敬虔な信徒から何となく女神様を尊敬している人まで様々なので、一概に信徒と言ってもピンキリのようだ。後は挙式に関してだけれど、一部形式に従って二人、あるいは一方が信者でなければ挙式することは出来ないそう。本来、教会は信徒が礼拝を行う公的な祈りの場らしく、そのため挙式できるのは信者だけ、もしくは信者でなくても前もって式に関する講座を受ける必要があるのだとか。進行に関してもカトリックと同じで司式者は神父と言うらしく、バージンロードの色も赤または緑と決められている。まあ、そうだよね、フォルトニア様と賢者様が地球の事を模したならそうなるよね。
そして違いと言うか片方が信徒なので神様を拝する場所は御堂と呼び、司会も神父様と呼ぶし、十字架…は流石にないけどフォルトニア様の像が式を見守る感じになるそうだ。
式が始まる前は大体関係者とか身内は控え室とかにいるけど、ぶっつけ本番は事故が怖いからリハーサルみたいなものがちゃんとあるようだ。ちょっと安心した。私とパトリシア姉様、お母様は来るべき挙式に合わせてドレスも新調した。お母様は上品な淡いブルー、パトリシア姉様は勝ち気な雰囲気を少し抑えた感じのカメリア、と呼ばれる色で花嫁さんより目立たない色味にされていた。カメリアと言うのは確か椿の事だよね。でもピンクっぽさはそこまでない気もする。そして私のは濃いめのオレンジ色をした愛らしいドレスだ。まあ、オレンジと言っても派手な色ではないけれどね。
挙式に関しての流れの続きと言うか一部本からの抜粋になるけど、結婚指輪の交換や証明書へのサインといった式の流れは司式者の神父様が進行してくれるので、その指示に従って行う。大抵の場合は事前にリハーサルやレクチャーがあるので、全て事前に覚えていなくても大丈夫ではあるけれど覚えておいて損はないだろう。
リハーサルを何度かやってから挙式当日、となるのだが大体は地球と変わらないけど、兄の挙式に参列とかは初めてなので流れをお復習がてら解説的な話に移ろう。
あ、異世界の挙式についてのお勉強はもう済ませたのでこの後記してあるのは挙式当日についてになる、と言うのも忘れないように言っておかないとね。
まず列席者入場では祭壇に向かって右に新郎側、左に新婦側の列席者が入場する。前から父、母、兄弟姉妹、親族、友人の順に着席をする。私はティシュヴァンフォーレでは初めての列席なので多少緊張しながらも着席した。
開式の辞は司式者である神父様が結婚式の開式を宣言すると、列席者一同は起立、最初に新郎が入場し、祭壇前で新婦を待つと言うのが最初の流れだ。白を基調にした礼服を着たフェリクス兄様が入場して来ると、親族、友人、共に『おおー』とか言う声を上げながら拍手で出迎えた。そりゃあ我が兄ながらかなりカッコいいからちょっとした歓声が上がるのは判る気もするけどね。
そしていよいよ本日のもう一人の主役とも言える新婦、デルフィーナさんの入場だ。デルフィーナさんは純白のウェディングドレスに身を包み、イヤリングやネックレスには差し色で赤い宝石が散りばめられており、ベールで表情は窺えないが幸せな表情をしているのだろう。列席者の中にはウェディングドレスの美しさに溜息をついてしまう女性も多かった。そして新婦であるデルフィーナさんは父親と入場し、新郎であるフェリクス兄様の横に進む。新郎は新婦の父に代わり新婦の手を受け取り、新婦と共に祭壇前へと移動する。讃美歌の斉唱は流石に別の曲に変わっていたけれど、参列者が起立して斉唱した。司式者である神父様が聖書の中から婚姻にふさわしい愛の教えを朗読し、神に祈りを捧げるのだが多少地球と違うのはご愛嬌と言う事だろう。
「ではまず私から二人に相応しい言葉を送りましょう。結婚した男女はもはや二人ではなく、一人なのです。こう言う訳で、人は神が結び合わせたものを引き離してはなりません。」
その言葉を受け止めて聞いた二人は『はい』と返事を返してから頷いた。そして結婚式の最も重要な場面が来る。司式者の問い掛けに最初に新郎、次に新婦が答えて結婚の誓約をする時が来たのだ。ついに挙式も佳境に差し掛かろうとしていた。神父様の声が教会に響く。
「新郎フェリクス。貴方はデルフィーナを妻とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います。」
「新婦デルフィーナ。貴女はフェリクスを夫とし、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
「はい、誓います…。」
フェリクス兄様は真剣な表情で誓いの言葉を返し、デルフィーナさんは少し照れたような表情をしながら誓いの言葉を口にした。誓いの言葉が終わると二人の誓約の目に見える印として指輪を交換する。ここも地球と同じみたいだ。新郎、新婦の順に相手の指に指輪をはめてお互い微笑み合う。それを神父様が頷きながら確認すると次は待ちに待ったと言うか、挙式で一番ドキドキするのではないだろうか?誓いのキスだ。花嫁のベールを捲りデルフィーナさんに優しいキスをするフェリクス兄様を見ながら幼いながらに私もちょっとドキドキしていた。
神父様がフォルトニア様と列席者の前で二人が夫婦であることを宣言する。そして新郎と新婦、続いて神父様が結婚証明書に署名をして、司式者が結婚が成立したことを列席者へ報告すると閉式を伝えるので、後は二人が腕を組んでバージンロードを退場するのを私たちは拍手で見送った。
何だか後半は怒涛のように解説した気もするけど、大体異世界での挙式も地球と変わりない事が判った気がする。そりゃああまりに違いすぎても困るからフォルトニア様も頑張ってくれたのだろうか。
挙式が終わった後にブーケトスなども行われたがそれを受け取ったのがフェリクス兄様の友人だったらしく、ブーケトスっていうと女性が受け取りそうなイメージだけど、まあその人にも婚約者はいるらしいし良いんじゃないかな。パトリシア姉様が受け取っていたら何か大騒ぎになりそうだしこれで良かったのかもしれない。
披露宴、みたいなものはあった事はあったけど、身内だけで行う二次会みたいな感じだったので、気楽に私やパトリシア姉様は美味しい料理やデザートを楽しめた事も記しておこう。その日の夜、はしゃぎ過ぎたのかお布団に入った途端直ぐに寝てしまった事も蛇足にはなるけど言っておこう。フォルトニア様も気を利かせたのか夢も見なかった。挙式が終わって、数日後にはデルフィーナさんはお姉様になるので練習もしないとな、と次の日寝ぼけた頭で考えながら私は異世界における何時もの日常へと戻ったのだった。
ほぼ挙式の流れを解説回です。
カトリック式を参照に書いています。
参考サイト様はたくさんあり過ぎて
頭が上がりません。
次回はのんびりまったり日常回か
季節のイベント回になるかと思います。




