ドラゴンって使い魔になるの?マジで?
サブタイトルは内容をそのまま
反映しているものになりました。
いやほんと、ドラゴンはまだ
出すつもりはなかったんですよ?
うん、勢いって怖いです。
ファンタジーの王道と言えば剣と魔法の世界だが、ドラゴンもまた、そう言った世界では場を盛り上げる主役であると言える。
古来からドラゴンと言えばどの世界でも力強い象徴の一つで、私が魔法の授業で魔方陣を用いて使い魔を召喚しようとして、うっかり呼び出してしまったのがドラゴンだ。今、目の前にいるのは何色って言えば良いかな、白にも見えるし銀色にも見える。大きくて、背中に翼を持ち、口からブレスを吐いたりするイメージだが、まだブレスは見ていない。と言うか、召喚魔法を行っていた場所はフィーリルトン学園の魔法の授業専用の校庭なので、敷地の一部にあたるから、ブレスなんてはかれたらあっという間に軍とかが駆け付けて大騒ぎになるので止めて欲しい。今のところ、私が指示を出すのを待っている状態だが、いつ私との契約を破って暴れたりするか判らないから、私だって正直怖いが、今行動出来るのも私だけだ。
腰を抜かしているトシュテン先生を立ち上がらせようと駆け寄るが、ドラゴンに驚きすぎて気絶している。待って、学校の先生って私たちを守る為にもいるんだから気絶してる場合じゃないと思うのでちゃんと起きてくれないと困る。
こんな時の為に覚えておいた魔法があるのでトシュテン先生にその魔法を使う。
目覚めの魔法と言って、薬や魔法で眠らされた味方を目覚めさせる為のものなので、気絶しているトシュテン先生も起こせるはずだ。
これで起こせなかったら魔法自体が間違いになるが、トシュテン先生に目覚めの魔法を使ってみる。5分も経たずにトシュテン先生は目を覚ましたが、ドラゴンが近くにいるので落ち着かせるのが大変だった。
先生は慌てて通信水晶を取り出してコンラード理事長に緊急事態である事を伝えると、召喚魔法で呼び出した生き物は、どんな生物であれ召喚した者以外の指示は受けないので、トシュテン先生と私がその場に残り、王国騎士団が来てくれるまではドラゴンをいかに大人しくさせるかを考えなくてはならない。
『いつまで我は待機しておらねばいかんのだ?』
「とりあえず、王国騎士団が来るまでかな。」
『まだるっこしいな、第一、貴様のような子供が我を召喚出来たのがおかしい。本当に貴様の実力か?』
「現にここに召喚されちゃったから仕方ないでしょう?もう少し待っててくれないと…。」
『ぐぬぅ、では召喚者のそこの子供よ、我を倒せたら大人しく従うが、そろそろ限界だから帰らせてもらうぞ。』
「あ、ちょっと、勝手にここから離れちゃ駄目だから…って話聞いてないし。」
ドラゴンと話がちゃんと出来たのはここまでで、ドラゴンは魔方陣から飛び立ち、帰ろうとした……所で私の『ストーンウォール』を改良した『ストーンクラッシュ』で校庭の土を使って壁ではなく拳みたいな土の塊が思い切りドラゴンのお腹のあたりに直撃する。『ストーンクラッシュ』で作った拳は鉄より硬く、ダイヤモンド並の固さと、魔力をそこに集中させたから、ドラゴンは後ろに仰向けに倒れ込んだ。続いて頭には『ウィンドシュート』の応用で土魔法を混ぜて使用する魔法を、『ストームクラック』として思い切りぶちこんだ。
大きさのばらばらな石がドラゴンの顔面に嵐のようにぶつかり、その勢いに負けたらしく、魔法が収まる頃には気絶していた。
途中で『いだだだ、ちょっと待っ、痛いっ、痛いから、もう止め…あいだだだだっ、悪かった、我が悪かったから、目はやめてー!』とか言っていたが、ここは私の通う学校だし、人間のテリトリーなのでそれに従わない方が悪いのだと思う。
呼び出した私にも原因があるかもしれないけれど、ドラゴンが暴れたりしたら危険なので責任を持って大人しくさせたのは、結構頑張ったんじゃないかなと思う。
それからどのくらい時間が経ったか判らないけど、ちゃんと王国騎士団が来てくれて、一応今回の事態は無事収まった。
流石にフィーリルトンの生徒が召喚魔法で使い魔を召喚しようとして、ドラゴンを呼んでしまった、なんて話が広がるのはまずいので、私とトシュテン先生以外の生徒には今回の一件を忘れさせる為に忘却の魔法で忘れてもらった。
忘却の魔法は宮廷魔導師くらいしか使えない希少価値の高い難しい魔法なのだが、緊急事態と言うことで許可が降りたらしい。
流布するカバーストーリーは、フィーリルトン学園の敷地内に野良ドラゴンが迷い混み、それを王国騎士団が追い返した、と言うことになっている。そりゃ子供がドラゴンを呼び出してしまうとか、まずないだろうからね。
レオハルト陛下からはドラゴンが襲来していたので近付かないように、と言う御触れを出したのでフィーリルトン学園は暫く安全のために封鎖されたが、一週間後には再開された。
その間に気絶したドラゴンと私はちゃんと正式に契約を結んで使い魔とした。
…ので、現在人の姿で私の側仕えをしている。
あれ?ドラゴンって使用人とか執事にもなれるもんなの?ドラゴンの考えは人間には判りにくいみたいだ。
簡単な人物紹介
トシュテン先生
フィーリルトン学園では
主に魔法の授業を教えている
教師の一人。
マティウス先生とは実は
同期で友人だが、トシュテン先生の方が
教えるのは少し上手い。
実力的にはマティウス先生の方が上。
ドラゴンなんて初めて見たので流石に
腰を抜かしてしまった。




