優しい地獄の世界(ただし人による)
まだ異世界へ行ってません。
だらだらになってしまいましたが
もう暫くお待ち下さい。
目下に広がるのは海だったり湖だったりと、
色々な水面を空から見つめた。幾つかの世界を
見て体感してみたが、矢張一番綺麗だったと思う
場所にしようかと考えている。どれも魅力的な
世界であったのでどうしようか、と悩み始めると
聞いたことのある人工音声が聞こえてきた。
『verticalexperienceプログラムを間もなく終了します。』
『終了過程を読み込んでいます。verticalexperienceプログラム終了まで残り、8、7、6…。』
開始の時と同じようにカウントが始まると
周りから空や海などが徐々に消えて行き
最初に見た真っ暗な場所へと変わって、次第に
現実へと戻る。まるで夢を見ていたような感覚だ。
しかし、さっきまで疑似体験をしていたのは
確かだったのでとても楽しい気分だった。
VR機器からヘッドギアなどを外されると
真っ先に長藤さんが心配そうに声をかけてきた。
『友井さん、お疲れ様でした。気分は大丈夫そうですか?』
幸い3D酔い等はまったくなく、とても
楽しかった旨を伝えるとほっと安心した様子だが、
心配なのか『疲れているかもしれない』、と
一先ず休憩を取ることになった。
VRルームから出るとちょっとした応接室のような部屋に通された。
『暫くこちらでお待ち下さいね。』
ふっかふかのソファーに座ると長藤さんが言っていた通りに疲れていたのか眠気が襲ってきてうとうととしてしまった。
夢見心地でうとうとしていると長藤さんが戻って来たようだ。お茶を淹れていたようで、一口飲んでみた。
「わあ、長藤さんこのお茶美味しいです」
『ありがとうございます。少しは気分が落ち着きましたか?』
言われる間もなく気分はすっかり
落ち着いていた。お礼を言いながら
大丈夫だと答えると、長藤さんは幾つかの
書類を取り出して机に広げ始めた。
何とはなしに聞いてみるとどうやら
転生先に関した書類のようだ。
入っていた茶封筒には大きく
『重要書類在中、持ち出し禁止』と
書かれていたが色んな意味で
大丈夫なのかと思うとどうも口に出していたようで。
『これは決して勝手に持ち出してはいけない、とありますが、
友井さんのように転生する方々には見せるものなのですよ。』
にっこりとした笑顔で長藤さんが
そう言ってくれたのでそういうものなのかな、
と思いながら机に広がった書類について
説明してもらった。先程体感した
転生先についてをまとめてあるらしく、
この中から選ぼうと言うことだ。
体感時間にして数時間ほどだったが、
どれも魅力的な場所ばかりだった。
手渡された資料を今後のためにも
目を通すと大まかな人口の数や世界の広さ、
国の名前などウィキペディアを見たら
載っていそうな情報が書かれていた。
流石にまだどの世界に行くのかは
決まっていないから細かい資料までは
ないが、こんな世界なら住んでみたいな、
と言う選択肢を選ぶのにはとても
参考になった。死ぬまでに一度は
行ってみたかった国とかを織り混ぜて
長藤さんに申し出た。驚きもせずに
笑顔で人の良い彼は異世界転生への手続きを
始めようと新しい書類を机に置いて
『さあ、始めましょうか。』
どこか真剣に長藤さんが笑顔で一言言うと少しだけ嫌な予感が。気のせいだと信じたい。
創作小説って難しいですね…。(二次創作ばかりの筆者)
次回も頑張ります。ご拝読ありがとうございました。




