第四十六話:種
「御二人とも御無事ですか」
何故か翼の生えたティーエ達が上空から舞い降り、こちらに安否確認の声をかけてきた。
「ああ、無事だ。しかしなんだその翼は…衣替えか?」
「これティーエさんがかけてくれた飛行用の魔法なんですよ!かわいいでしょ!」
ティーエの魔法か…ティータはともかく、確かに可愛いともいえるな。
特に純白のドレスを着こんだフラムが降りて来た時は、天使が舞い降りたのかと思ったほどだ。
(今のフラムを見ればきっとたかしも見惚れてしまうだろうな…)
たかしは否定していたが、神様が言うぐらいだ、きっとたかしはフラムに惚れているのだろう。
「たかしさんが見当たりませんが、彼はいったい?」
「ああ、たかしなら何処かに飛んで行ったぞ?」
「ふん!自分一人で逃げたのか、あの卑怯者め!」
言葉足らずだったためか、ティータに誤解を与えてしまったようだ。
「違います!たかしさんは逃げたんじゃありません!」
ティータの失礼な発言にリンが怒って反論する。
人に説明をしたりするのは苦手なんだが、まだ子供のリンに丸投げするのもあれだと思い説明する。
「まあ、あれだ。ヴラドにダメージを与える為帰還魔法をかけたんだよ」
ティータが何を言ってるんだこの女は?という顔でこちらを見てくる。
うん、これは確実に伝わってないな。
「成程、帰還魔法でヴラドの封印に反応させて、ダメージを与えようとしたわけですね」
私の説明を理解してくれたのか、ティーエが分かり易く補足してくれる。
ナイスティーエ、それでこそ私の相棒だ。
「ああ、今頃どこかで気絶しているだろう」
「え?気絶してるんですか?」
「たかしが攻撃したとき、結構な衝撃が発生したからな」
そう言いな両腕を上げて火傷の跡を見せる。
「あ、ごめんなさい。私としたことが彩音さんの怪我に気づかないなんて。すぐに回復します」
「すまない、頼む」
ティーエが此方に駆け寄り回復魔法をかけてくれる。
回復魔法とは便利なもので、見る見るうちに火傷が治っていく。
(便利ではあるが、毎回頼る破目になるのは流石に情けないな)
いずれは回復に頼らずに済むぐらい強くなりたいものだ。
「でも彩音さんがそこまでダメージを受けるってことは、たかしさん大怪我してるんじゃ?」
「ひょっとしたら死んでるかもしれませんね」
ティータが不吉な事をさらりと言う。
「たかしさんは死んでなんかいません!私にはわかります!」
ティーエが叱りつけるよりも早く、ティータの不吉な言葉にリンが強く反論する。
「それは何故だ?」
「私、たかしさんと契約したから分かるんです。たかしさんは生きてるって。それは間違いありません!」
リンが言うなら間違いないだろう。
っと、そうそう忘れるところだった。
思い出し、ズボンのポケットから種を取り出す。
「これが落ちて来たんだが、何の種かわかるか?」
そう言ってフラムに種を投げる。
「あ、え!?これって神樹の種ですよ!間違いありません!この種から神樹の息吹を感じます!」
「え!?本当ですか!?」
やはりそうか。
神樹を吹き飛ばした後に上から落ちて来たから、多分そうだろうなと思ってはいたが…
「これなら神樹は甦ります!!」
(それはよかった)
正直神樹がどうなろうが個人的にはどうでもいいところだが、ハッピーエンドに越した事は無い。
これならたかしも囮にしたことに文句は言わないだろう。
そういえば、もうずいぶんと長い事たかしを蹴り飛ばしていないな。
ぐだぐだ言うようなら久しぶりに蹴り飛ばすのもいいか。
(楽しみだ)




