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第四十話:一緒に戦います!

「くっ!」


全身に衝撃が走り弾き飛ばされる。

何とか転倒は免れたが、腕や胸が焼け付く様に痛む。

見てみると痛む部分がぶすぶすと焼け焦げていた。


(ブラドに触れていた部分だな…)


視線を上げると、ブラドが蹲りながらうめき声を上げている。

一瞬攻撃のチャンスかとも思ったが、その眼は真っすぐ此方をとらえていた。


(目が死んでいない…慎重に動くべきか)


攻めるべきかどうか判断するため心眼(マインズアイ)で相手のHPを確認する。

ドラゴン戦では心眼(マインズアイ)を怠ったため、酷い目に遭ってしまった。

その経験から、今回は敵のHPをこまめにチェックするようにしている。


心眼(マインズアイ)


スキルを発動させると、ブラドのステータスや特徴が瞳に次々と映し出されていき、最後に本命のHPバーが表示される。

ブラドの残りHPは7割。


(致命傷には程遠いか…)


一瞬で生命力の3割も奪われれば相当な痛みだろう。

だが戦闘不能には程遠い。

恐らく動きにも殆ど支障は出ないはず。

つまり、未だ不利な状況のままだ。


(あのオーラを何とかしなければ…)


「彩音さん!今のうちに逃げましょう!!」


リンが叫ぶ。

リンから見れば、ブラドが痛みで動けないように見えるのだろう。

だが、此方が逃げようとすれば素早く対応してくるのは目に見えている。


走って二人で逃げきるのは不可能だ。

せめてブラドの行動範囲がこの広い空間だけなら、逃げ切ることも可能だったろう。


奴がどの程度の範囲で動けるのか正確には把握していないが、推測は出来る。

エルフは神樹に決して近寄らなかった。そして奴の余裕の態度。

さらに、神樹の枝を生活拠点にしているワイバーンが奴に操られていた事から、この神樹全体が奴のテリトリーである可能性は高い。

例えそうでなくとも、ここに至るまでの長いスロープは敵の行動範囲と考えるべきだ。


たかしもそう思ったからこそ、先程私に触れて 帰還魔法(テレポート)をしなかったのだろう。

私とたかしが逃げていれば、残されたリンがどうなった事か…



「無理だな。私一人ならそれも可能かもしれないが、お前を連れて逃げ出すのは不可能だ」

「わ…わたしの事は見捨ててくれて構いません!」

「たかしはお前の事を守ろうとしていた。そのお前を見捨てるような真似は出来ん」


自分で言っておいて少し鳥肌が立つ。


(たかしを囮にしておいて、今更にも程があるな…)


ふふっと自嘲気味に笑う。

勿論たかしなら何とかするという信頼があればこそだが、危険が無かったと言えば嘘になる。


「お前は先に脱出しておけ。私はこいつを倒してから行く」

「そ…そんな事出来ません!私も一緒に戦います!!」


想定していなかった返事を聞き、驚く。


(戦う?戦えるのか?この娘は…)


疑問が素直に顔に出てしまったのか、リンが答える。


「エルフの頃だったらとても戦えませんでした。でもヴァンパイアになって…以前とは比べ物にならない位強くなりました。それに、契約したときにたかしさんから凄く力が流れ込んできたんです。彩音さんみたいにはいかないけど、今なら少しは戦えると思うんです!」


どうやら彼女は本気のようだ。個人的には下がっていて貰いたい。

だが本気で命を賭けて戦おうとするものに、無粋な言葉をかけるのは自らの信条に反する。


「身の保証は出来ないぞ?人質に取られるようなら、お前事奴をぶちのめす」

「お願いします!!」

「やれやれ、無茶だけはするなよ」

「無茶します!!だってそうじゃないと、二人に顔向けできませんから!!」


(リンを庇いながら戦う事になるな)


不利な状況で、誰かを庇いながら戦う。

リンを切り捨てる気が無い以上、負担は大きくなったともいえるだろう。

だが先程からわくわくしてしょうがない。


今までも仲間と共に戦っては来た。

しかしそれらは全て、自分が前に出て仲間が後方からサポートする。

そういう流れだった。


(誰かと肩を並べて戦うか…悪くないな…)


思わず綻びそうになる顔を引き締め叫ぶ。


「リン!行くぞ!!」

「はい!!!」

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他にも投稿してますんで、良かったら見に来ていただけると嬉しいです。 おっさんだけど、夢の中でぐらい夢想していいよね!?~異世界へ日帰り転移~
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