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第十三話:プライバシーって大事だよね!

光を感じない黒い空間、そして目の前の毛玉…

2つの符号が一致し、思い出す。


「か、神様!」


突然の事に驚き、思わず変な大声が出る。


「久しぶりだね」

「お久しぶりです」


彩音は特に驚いた様子もなく神様に挨拶を返す。


(少しは驚けよ!俺だけ馬鹿みてぇじゃねぇか。)


ほんとうに図太い女だ。


「神様、お久しぶりです」

「君達の活躍はいつも見ているよ。竜退治お疲れ様。彩音君は二体目だったね、いや大したものだ」

「いえ、油断して仲間に不要な苦労を掛けてしまいました。私などまだまだです」

「彩音君はほんとストイックだねぇ」


(なにか違和感があると思ったら、彩音のやつ敬語使ってやがる)


流石の彩音も神様相手には敬語を使うようだ。


「神様、母は息災でしょうか?」

「もちろん元気にしているよ。元気すぎて、竜討伐祝いだってシャンパン一気飲みするぐらいだよ。」

「母は相変わらずみたいですね」


彩音が嬉しそうに笑う。


(流石彩音のお母んだけあって豪快だな。ってあれ?なんで彩音の母親が竜の事知ってんだ?)


異世界で娘が竜を討伐してる事など知りようがないはず?

疑問に思い、素直に口にする。


「何で彩音の母親が竜の事知ってるんですか?」

「私が報告しているからだよ」

「え?そうなんですか?」

「もちろん、君の事も御両親に報告している」


(え?まじで?っていうかそんな話聞いてないんだけど)


「この世界の為とはいえ、家族を奪うような真似をするわけだからね。それぐらいはするさ」


(そういえば彩音の家は母子家庭で母一人子一人だもんな、一応残された人間の事も考えてくれてるのか)


「君の家族も報告を聞いて喜んでくれているよ。引き篭もりだった息子が異世界で頑張ってる。しかも恋までしたと大喜びだ。」

「えっと…ちょっと待ってください。今聞き捨てならない言葉が聞こえたんですけども。聞き間違えかもしれませんが、今“恋って”おっしゃりました?」

「そう、君の初恋話。喜んでたよ。特にお兄さんなんかはニヤニヤしながら嬉しそうに聞いてたね」


(は?え?初恋?嘘だろ?こいつ両親や兄貴に話しやがったのか!ふっざけんな!)


「ちょっ!なに人のプライベートな事話してんですか!」

「む?不味かったかね。良かれと思ってしたんだが?」

「良くねぇ!っていうかなんで俺の初恋知ってんだ!」

「はっはっは、神は何でもお見通しだよ」


(何でもお見通しなら、俺が嫌がることもお見通せよ)


興奮したせいかはぁはぁと息が上がる。


「と、とにかく。今後そういう話は家族にはしないでください」

「むう、そうなると殆んど伝えることが無くなってしまうな。どこそこで何を倒したとか、レベルがいくつになったとか、そういう殺伐とした話をされても家族も困るだろう」


確かに、自分の家族が死にかけながら魔物を倒した等の報告を受けても、気分のいいものではないだろう。

だからと言って、人に聞かれたくないような話をペラペラしゃべられても敵わん。


「とにかく、俺の事は元気に生きてるって伝えてくれるだけで十分です」

「そうか、残念だ。君の家族もフラム君との恋の行方を楽しみにしてくれていたんだが」

「ちょっと待ってくれ。フラムってあのフラム・リーア?ミス・ウェディングの事か!?」

「その彼女だ」


頭がくらくらして眩暈がしてきた。


「何せ一週間も仲睦まじく行動してたんだ。恋に落ちても不思議じゃないからね」


(逆にあんなのと恋に落ちる方が不思議だろうが!)


「たかし、そうなのか?」


彩音が興味深そうに聞いてくる。



「んなわけあるか!!!!!」

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