第三十五話 キューピッド
フラムの体から光が溢れ出る。
光は粒子となってフラムの周囲を漂い。
彼女が胸を抱える様に両手を交差させた瞬間、背中の肩甲骨の辺りに集約され白く輝く翼となる。
翼の生えた天使。
いつか見た光景を思い出す。
「なんだかティーエさんの聖なる翼みたいですね」
フラムは背中から生えた1対の翼をパタパタと羽搏かせた。
聖なる翼みたいと言ってはいるが、聖なる翼は只の白い翼だったのに比べ、フラムの背中の翼は白く優しい光りを翼に湛えている。明かに別物だ。神々しさが違う。
「翼以外はあんまり変わらないみたいですね」
「お、おお」
本人は気づいていない様だが俺は気づいてしまった。
フラムの身に着けているウエディングドレスの裾等が地味に皮膚と一体化している事に。正直ちょっと気持ち悪いが言うのはやめておこう。
一応相手は女性だし。
しかし翼か。
てっきりウエディングドレスその物になるとばかり思っていた。
ていうかウェディングドレスと地味に一体化して翼が生えるクラスってなんだ?
その疑問を解消すべく俺は覗き見で確認する。
フラム・リーア
クラス:恋の天使
恋の天使……か……
フラムの余計な気遣いで彩音にひどい目にあわされた事を思い出す。
……恋の天使?
レインへのアドバイスも全然あてに出来ない内容だった事も思い出す。
……まあ、いっか。
別にどうでも。
俺は深く考えるのを止める。
「どうかしましたか? 」
俺が渋い顔をしていた為か、フラムは心配そうに俺の顔を覗き込む。
その距離が余りに近く、思わずドキッとする。
「な、ななな、なんでもない!」
格好や言動に難があるが、なんだかんだフラムも顔だけは綺麗だ。
そのせいでドギマギしてどもってしまった。
「そうですか?じゃあ私、皆さんのお手伝いをしてきますね!」
そういうとフラムの両手に光の粒子が集まり、弓と矢の形へと姿を変える。
左手には両端に翼の付いたピンクの弓に、右手には矢じりがピンク色で丸っこいハートマークの矢が握られ、フラムは空高く舞い上がる。
そんなアホみたいな形の矢で戦かえるのか?
そう疑問に思ったが、その考えは杞憂に終わる。
「ラブ!トルネードアロー!!」
フラムが矢を番えるとハート形の矢じりがピンクの光を放ち。
弓から放たれると同時にピンクの嵐となって大量の触手を巻き込み、削り千切る。
「ラブ!サンシャインアロー!!」
再び矢を番え、解き放つ。
今度は光の矢が降り注ぎ、触手を地面に縫い付けた。
おお、魔法みたいに飛ばすのか。
やるなぁ。
でも絶対最初のラブは技名じゃないよな?
フラムが勝手に付けて叫んでいるに違いない。
何となくだが俺はそう確信する。




