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第九話:気分はヒロイン?

(………あれ?)


もうとっくに死んでてもおかしくないはずなのに、痛み一つ感じない。


(どうなってるんだ?)


恐る恐る目を開ける。

すると、何故かドラゴンの大きく開いた口が俺の眼前で停止していた。


だがその理由はすぐに分かった。

彩音が左手と左足で、ドラゴンの死角となる左側から口の根元を押し開いていたからだ。

その状態から彩音はドラゴンの口を押し広げ、顎を外す。

そしてドラゴンの上顎を口の中から蹴り飛ばし、くるりと一回転して俺の横に着地した。


「たかし、待たせた」


(彩音。いや、彩音様!)


彩音が自分のピンチを救ってくれたことに、感動し胸が熱くなる。

今直ぐに跪いて、靴のつま先にキスしたいぐらいだ。


(ん?でも待てよ。そもそも彩音が油断したからこうなったわけだよな)


そう考えると今度は逆にだんだん腹が立ってきた。

一言文句を言ってやろうと彩音を睨み、はっと気づく。

彩音の右手と右足が折れたままだという事に。


「たかし、少し下がっていろ」

「彩音、そんな体で大丈夫なのか?」

「問題ないさ」

「わかった」


彩音を信じ後ろに下がる。

どちらにせよ、もう俺にできることは何もない。

後は彩音を信じるだけだ。


圧倒的力(ジャガーノート)


俺が下がったのを確認した彩音はスキルを発動させる。

スキルの影響か、彩音の肉体が深紅のオーラに包まれ、続いて握った左拳に、眩いばかりの青い輝きが収束する。


全てを貫く一撃(グングニル)


彩音が拳を前に突き出した瞬間、青い輝きが視界を覆う。

凄まじい轟音と衝撃。

それらが過ぎ去った後には、ドラゴンは影も形も残さず消滅していた。


そして我が目を疑う、彩音の拳を向けた先、そこには先ほどまでなかった大きな空洞が穿かれており、夜目付与魔法(リンクスアイ)を受けているにもかかわらず、その最奥を見通すことが出来なかった。


(滅茶苦茶だな…)


周りを見渡すと、フラムさんは言うに及ばず、ティーエさんまでその光景をぼーぜんと眺めている始末だ。


「姉上、御怪我はありませんか?」


豪快に吹き飛ばされていたが、どうやらティータは無事だったようだ。

こちらへ向かいながら、ティーエさんに気遣いの声をかける。


「わ、私は大丈夫よ…」


ティーエさんの声は震えていた。

ティーエさんも、彩音がここまでの力を持っているとは思っていなかったのだろう。


「っ!これは…彼女がやったのですか…」


大きな空洞に気づき驚いたように尋ねる。

どうやら彩音の全てを貫く一撃(グングニル)を気絶していて見ていなかったようだ。


「…ええ…」


「あの。彩音さん、さっきからピクリとも動いてないんですけど…」

「え!?おい!彩音大丈夫か!」


声をかけながら近寄り顔を除く。

手をパタパタと顔の前で振るが反応なし。


「立ったまま気絶してやがる」

「えぇ…」


(全く大した奴だよ、お前は)


その時微かな振動を感じる。


(ん?何だ?何か振動の様な物を感じるぞ。)


振動は次第に大きくなってくる。


「不味いですわ!先ほどの一撃で洞窟が崩落しかかってます!たかしさん帰還魔法(テレポート)を!」

「分かった!みんな集まってくれ!」


俺はハーピーを召喚し、皆が集まったところで帰還魔法(テレポート)を使い脱出した。


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他にも投稿してますんで、良かったら見に来ていただけると嬉しいです。 おっさんだけど、夢の中でぐらい夢想していいよね!?~異世界へ日帰り転移~
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