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龍と世界と召喚勇者

疑問の声を頂いたので、軽く世界設定の一部を解説します。

以後も返答の必要がありそうな質問があった場合は随時更新される可能性がありますので、ご注意下さい。

・世界と龍


 ドネット達のいる世界にはすべからく龍が存在し、またそれぞれの世界ごとに成長方針が存在します。

 例えば、『大変遷』の時に繋がった上位世界。魔術(マギ)の存在するあの世界の成長方針は当然「魔術(マギ)の発展」です。大地や海は魔物が押さえ、そのうえで最も重要な空を強大な龍という存在が押さえることで、技術文明の発展に不可欠な大量の物資輸送が極めて困難な調整になっており、その結果として技術(テクニカ)の発達は必要最低限であり、代わりに魔術(マギ)が世界の主軸を担う根幹技術として成立しています。

 そのためこの世界では魔術(マギ)を使えない存在は極めて地位が低くなり、所有する魔力量に応じた厳格な身分制度が存在します。そして魔術(マギ)の才能は血筋が大きく影響するため、結果として王様や貴族といった良くある封建制度に極めて近い形の政治形態を取っています。


 もっとも、魔術(マギ)の才能は国家の運営や人類の存続に直接関わる重要なものなので、無能が幅をきかせるということはほとんどありません。偉い人は偉そうに振る舞っていますが、そうするだけの成果もきちんと出している感じです。


 ちなみに、この世界の人達がドネット達の世界と繋がった時に攻め入って来なかったのは、「魔術(マギ)も使えない下等な存在に関わるなど汚らわしい」という歪みきった思想と阿呆ほど高いプライドの合わせ技によるもので、莫大な利益を生む宝が目の前にあるのに先陣を切って馬鹿にされるのが我慢出来ない、とお互いを牽制しあった結果、何もしないうちに穴が閉じてしまったというオチになります。もしこの時外聞を気にせず実を取るような人が一人でもいたら、ドネット達の世界は彼らによって侵略戦争を持ちかけられたことでしょう。その場合今より元の文明の存続率は高くなりますが、魔術(マギ)を使えない人間は総じて奴隷に落とされる未来となったはずです。




 では、逆にジェラルドが穴を開けた下位世界はどうかというと、あの穴から這い出てきた奴がまさにあの世界の龍です。あの世界の成長方針は「個体の強化」で、あの龍がちょっと大きなエネルギーを生み出すと片っ端から食べてしまうため、あの世界では文明がほとんど発達していません。最低限の自給自足ができる100人程度の小規模集落が無数に存在し、その間を行商人が歩き回るくらいです。


 ただ、そんな過酷な環境にずっと置かれているため、そこに生息する生命は総じて身体能力が高いです。魔術(マギ)技術(テクニカ)などの外的要因に頼れないぶん素の肉体の性能が長い時間をかけて上がり続けており、武装したマリィちゃんと素手で戦えるくらい強いです。また知識こそありませんが知能が低いわけではないので、もし彼らがドネットの世界にやってきたら、『大変遷』前なら未開の部族という触れ込みから超一流スポーツ選手などに、『大変遷』後なら普通に新しい種族として受け入れられたことでしょう。ただし魔術(マギ)技術(テクニカ)で楽をすることを覚えれば当然身体能力は落ちていくので、その場合は1000年後には普通の人間と見分けがつかなくなっているでしょうが。




 では、ドネット達のいる世界はどうかと言えば、それは当然「技術(テクニカ)の発達」こそがこの世界の成長方針です。ではこの世界のオリジナルの龍は何処にいるかというと……実は宇宙にいます。

 『大変遷』直前、この世界の技術(テクニカ)の発達は停滞期に入っており、惑星の資源もほとんどが掘り尽くされていました。いつか無くなりそう、ではなく本気であと100年も持たない程に切羽詰まっており、その打開策として宇宙へ進出するというのが本来のシナリオでした。惑星を飛び出すことで豊富な資源と無限の空間を手に入れ、でもそれによって再び文明の発達が停滞しようとするときに姿を現すのが、この世界の龍です。予期せぬ強大な存在によって再び生存圏を規制され、それを打ち砕くべく発展するであろう軍事技術を筆頭としたブレイクスルーによって人類はさらなる技術(テクニカ)を手に入れ、それはやがて世界を渡る程の物に……というのが全部の世界を創った凄く偉い神様の方針でした。もし『大変遷』が起こらなければ、ウザイAIの搭載された小型宇宙船「セカンド・シルバー」に乗ったドネットが星の海を旅するSFものになっていたことでしょう。


 でも、そうはなりませんでした。宇宙に行く方がよっぽど簡単なのに、何故か頭のおかしい天才が「別の世界と繋いでそこからエネルギーとか持ってきちゃおう!」と馬鹿みたいなことを考え、しかも実行してしまいました。そのせいでこの世界には魔術(マギ)が溢れ、本来の目的である技術(テクニカ)は相当量が喪失してしまいました。そんな風に歪んだ世界を正すための機構が、召喚勇者です。





・召喚勇者


 前述の通り、ドネット達のいる世界は魔術(マギ)によって汚染され、当初の目標とは大きくかけ離れた方向へ進んでしまいました。当然このままでは良くないので、この世界の管理者たる中間管理神は世界から魔術(マギ)を駆逐する方法を考えます。それが「召喚勇者」です。


 まず最初に、魔術(マギ)の存在しない近似世界から適当な魂を見繕います。で、この世界における肉体を神の力で新たに創り、そこに召喚した魂を入れることで勇者とします。勇者の肉体はこの世界の魔術(マギ)を吸収することで身体能力に変換する能力(敵を倒すだけで経験値が増えてレベルアップする)があり、それを用いることで最終的にはこの世界の存在とは一線を画す圧倒的な力を手にすることができます。

 そうやって強くなった勇者でこの世界における魔王(この世界の存在でありながら、体内に大量の魔力を溜め込んで馬鹿みたいに強くなった奴)を倒させ、魔王の溜め込んだ魔力をも勇者の体に封印します。で、勇者が元の世界に帰ればこの世界での肉体は不要になるので、神の手によって回収され「世界の外」で破壊することで内部に蓄えられた魔力が世界の中に循環するのを防ぐ。これを繰り返すことによって徐々に世界から魔術(マギ)を無くしていこうというのが「召喚勇者システム」なわけです。

 タカシの言っていた「勇者は死なない」というのはこの辺も影響しており、本来の肉体ではないので替えがきき、魂もこの世界のものではないので輪廻に乗らずにそのまま留まるので復活が容易、というのがあります。とはいえドネットが使っていた魂魄弾ソウルバレットのように、魂に直接ダメージを与えるような攻撃を食らうと普通に死にます。


 この召喚勇者は別に日本人しか選ばれないなんてものではなく、普通に他世界の獣人やら亜人やらも招かれており、そう言う人達には「神の試練」という説明が成されるのが普通です。ただ日本人は「特定の神を信仰していない」、「何故かこういうことに高い理解力を示す」、「基本的に根が善良で扱いやすい人が多い」などの理由から「使いやすい存在」と思われているため呼ばれる比率は高めです。とはいえタカシの例からも解るように絶対に従わなければいけない、というものでもないので、たまに無視されて普通に生活して障害を全うする「勇者?」な人もいますが、神の視点から数千、数万年かけてゆっくりと魔術(マギ)を駆逐していく方が世界への影響が少ないと判断されているのでそれでも問題視されたりはしません。


 ちなみに、神様が直接干渉しないのは創造神では力の規模が大きすぎて魔術(マギ)だけ抜くなんて細かいことはできず、下位の神では一気にそれをやれるほど万能ではないからです。そして作中で出てきた女神様は中間管理神です。いつだって上と下に板挟みにされる辛い立場なのです。是非労ってあげたいです。

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