魔法使い君島健太
初めましておれは君島健太
今年の七夕でめでたく魔法使いになったエリートニートだぜ!
親の脛をかじる最低野郎とかよく言われるが、親も親の脛をかじってるから問題ないだろう!
まさにエリートニート一族だ。
お爺ちゃんなにやってるかって?
聞かないほうが身のためだよ?
やばいよ?
絶対に聞くなよ?
ダチョウさんじゃないんだよ?
ということで、おれは今女神の前にいる。
ことの始まりは、朝のこんなワンシーンからはじまった。
清々しい朝!
お気に入りの声優さんの声で起こしてくれる目覚ましが鳴る。
「お早うございます、ご主人様。
早く起きてくれないと、キスしちゃうんだからね!」
世も末である。
ボタンであるおっぱいに触れて、目覚ましを止める。
もぞもぞっっとしてベットから出てくるおれ。
「ふあぁあああ!
よく寝た・・・」
時刻は7月7日11時。
朝だと言えば朝なのである!
今日は親父が朝家にいるはずだ。
金が少なくなってきたから、せびりに行こう。
1階のリビングに降りる。
「親父ゲーム買いに行きたいから金をくれ」
朝食を作っていた父親に金を要求する。
父親は金髪で派手なグラサンをかけ、真っ赤なハイビスカスのアロハシャツを軽く着こなし、得意の目玉焼きを作っていた。
「金くれじゃねえよ。
せめて小遣いくれだろうバカ息子」
我が父ながら訳のわからないこだわりだ。
「わかったから、小遣いくれよ親父」
と、言い直すと後ろから、
「チガウデショ!
パパオコヅカイチョウダイデショ」
おれより若い20歳ぐらいのお姉ちゃんがツッコミを入れてきた。
親父の嫁のエリザベートだ。
フィリピン人だ。
ということは、おれのかーちゃんだ!
世も末だな。
ついでに、おれの本当の母親はしっかりと生きています。
おれが小さい頃に離婚したんだけど、理由は自立した人生を送りたいからという真面目なかーちゃんだった。
別におれのことも親父のことも嫌いじゃないのでよく飯を食べたり、顔を合わせている。
ただ、かーちゃんの再婚相手の間の子供が、一流企業に入社したと聞いたときは、世も末だと思った。
そういえば、来月結婚するらしい。
死ねばいいのに。
まぁ、そんなことはどうでもいい金がいる。
今日は大作RPGの発売日だ。
パッケージとハードセットの奴だから高いんだよなぁ。
なんとか仕様のハードもう10台ぐらいあるけどいるよね!
じゃあいうよ!
「パパぁ、お小遣いちょーだい(ハート)」
もちろんカッコハートカッコハート閉じって言ったよ!
それを聞いた親父は、
「わかったぜぇ、マイサン!
とりあえず10万でいい?」
と、柄々のシャ◯ルの財布からピン札10枚を取り出し渡してくれた。
チョロいもんだぜ。
ポケットに突っ込み、親父に告げる。
「じゃあ親父、おれちょっといってくるぜ!」
「おぅ!
行ってこいマイサン!
俺は今日明日いねえぞ、沖縄に行ってくる」
沖縄なのにアロハな踊りをしながら見送る親父。
なかなかファンキーだぜ・・・
ということで、家を出るおれ。
車で行くのもいいけど、めんどくさいのでタクシーを拾って穴場のゲームショップまで行く。
店内に入ると平日の昼間なのにおれ以外には客がいない。
というか、いつ来ても客なんていない。
「他人事だけどやっていけるのかね?」
そんなことを呟くと、店主が奥から出てきた。
20代後半のお姉ちゃんだ。
長い髪茶髪を年齢的にあれなツインテールにしている。
そして、何よりも気になるのはメイド服を着ていることだ。
世も末だ。
「余計なお世話だ、ご主人様ぁ。
蹴るぞ?
何の用だぁ?」
よく見ると綺麗系の顔をめちゃくちゃ不機嫌そうに歪めるメイドツインテール。
最初にこのゲームショップに来た時にはちょっと好きになったレベルだった。
イマハチガウヨ!
「予約してたゲーム買いに来たんじゃい!!」
喧嘩を売られたら買う、それが男だろ?
「ふん!!」
「痛い!」
本当に蹴られた。
短いスカートからピンクの何かが見えた気がするが、気のせいに違いない。
「そういや、あれ今日発売かぁ・・・・
まだ段ボールあけてねぇやぁ。
よし、ご主人様あけろぅ」
段ボールを蹴っ飛ばしてくるツインメイド店長。
商品を足蹴にするなんて!
何たる不良店長!
怖いから反論も何もしないよ?
ヘタレじゃないよ?
処世術だよ?
ちょっと不満げにしていると。
暴力メイドに睨まれた。
「はやくぅ、やれよぅ!!」
「アイアイマム!」
店に置いてあるマイカッターを取り出すと、段ボールを開封する。
そこには欲しかった大作RPGが入っていた。
「出しましたぜ、店長!」
「じゃあそのまま、持って帰れぇ」
アバウトな野郎だ。
いや、姉御か・・・・
会計を済ませると不良暴力ツインテールメイドは、
「そういえば、今日イベントやってるんだよぅ
七夕だから短冊に願い書いてくれたら、限定グッズプレゼント中だぜぃ?」
差し出してきた短冊とペン。
「別にいいや」
「そのゲームのDLCだぜ?」
すぐさま内容を確認する。
とんでも性能の武器みたいだ。
こんなの持ってたらチートじゃね?
男たるもの!
ニートたるもの!
チートは大好きだよね!
「やっぱり書きます!」
と短冊を奪い取るおれ。
ペンを片手に願いを考える。
世界平和!
つまらないよね?
店長やらせてくれ!
殺されるよね?
まぁ、ニートらしく、
『ハーレムをつくりてぇ! できるなら死んでもいい』
で、いいかな!
かきかき。
書き終わると声が聞こえた。
『じゃあ、その願い叶えます!』
気が付くと、俺は女神の前にいたのだった。
感想とか書いてくれるとやる気が出ます!