表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

冬休みまであと一週間と少しの日曜日

 短いです。

 いつからだろうか。

 俺の隣にはいつも最中がいる。

 四六時中というわけではないが、気が付くと俺の隣に立っている。

 ある時、そんなことに気付いてしまった。



「というわけだ」

「四行!」


 ゴシャア! と斉田に殴られた壁に亀裂が入った。

 次いで、両の手をわしゃわしゃと動かしながら迫ってくる。


「何今の!? 相談って言うか、新しい恋が始まる瞬間じゃねえの羨ましい!」

「妹に恋するぐらいのアホなら、俺は法子ちゃんにだって恋するぞ」

「なに基準!? どっちも美少女じゃん!」


 ただし、二人とも残念系だがな、とポケットの中の腕時計を確認しながら、心の中で訂正を入れておく。


「それにしても」


 俺は顔を上げ、くるりと辺りを見渡す。


「男二人でカラオケか……」

「たまにはいいだろ?」


 久留米がどこからともなく現れそうだ。



「……にしても、にいさん、アニソンしか歌わないのな」

「おう。親が好きでな。俺も一緒に好きになった」


 二時間も歌って、お互いにそろそろ疲れてきたころだった。一瞬出来た妙な空白を埋めるようにして、斉田がそんな話を振ってきた。


「へー、にいさんの親、オタク?」

「父親がアニメオタクだな。母親は暇になるとリビングでエロゲをやり始める」

「おおう……」


 想像できてしまったのか、斉田は微妙な笑顔をしながら顔を逸らした。。

 しかし、次の瞬間目を輝かせてこちらを向き直るのが斉田だ。大方最中の事でも考えたのだろう。


「あー、じゃあ、最中さんもアニメオタクってことか!?」

「……いや、ゲーム(エロゲ)オタクだ」


 目を逸らさないで言えるだけの精神力は俺にはなかった。



 その後六時間歌い続けた。

 外は既に真っ暗で、季節はもう冬だという事を思い知らされる。

 白い息を吐きながら、そんなことを考えていると、隣で悲鳴が聞こえた。


「あ! 宿題!」

「はあ……。さっさと終わらせてやるから、お前の家行こうか?」

「マジで!? にいさん良いやつ! うちの妹紹介するから!」

「お、おう……」


 一瞬、視界の端に特徴的な色をしたアホ毛を捕らえた気がしたが、きっと気のせいだろう。

 変な妄想とかやめてほしいぜ、久留米さんよぉ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ