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そのいち

 コーヒー飲んでたらビビッと来たので投稿しました。

 この話では妹はただの妹です。

「兄さん、おはよう」

「おう、おはよう」


 俺は食卓に着くと、妹に朝の挨拶をされた。俺は欠伸を噛み殺しながら返事する。


「ふわぁ……」


 どうやら、噛み殺し方が甘かったようで、もぞもぞとしたくすぐったさに負けて、俺は本日三度目の欠伸をする。

 未だ覚めていない頭を振りながら前を見ると、妹の最中もなかは既に朝食を食べ始めていた。

 最中は俺の視線に気が付いたようで、レタスとベーコンと目玉焼きをのせたトースターで焼いたパンを口に運ぶのをやめ、こちらに向かって軽く微笑んだ。


「どうかした?」

「……わかってるだろ、お前なら」

「つまんないなぁ……」

「何が」

「なんでもないでーす」


 最中はぷいとそっぽをむくと、朝食を再会した。朝食は少しずつ口に含んでいくのが最中の食べ方だ。

 俺は欠伸の代わりに溜め息を吐きながら立ち上がる。

 ぺたぺたとスリッパの音を響かせながらキッチンに向かう。そこでちゃちゃっとコーヒーを二人分淹れて食卓に戻る。


「ほら」

「ありがと」


 俺は食卓の端に置いてある角砂糖を一掴みし、ぽとぽととマグカップに落とす。

 かき混ぜる前に一口。


「…………」


 苦さで少し目が覚めたところで、俺はスプーンで軽くコーヒーをかき混ぜた。

 そして、そのスプーンをそのままにし、手掴みでレタスを一枚口に突っ込む。

 レタスを咀嚼しながらトースターで軽く焦げるぐらいまで焼かれたパンにレタスとベーコンを乗せ、フォークを使ってその上に目玉焼きを置く。

 朝食は、俺が食べ始めるころには既に冷めかけていたので少し味気ないものだった。



 基本、朝食の用意は最中がする。

 で、後片付けは俺。


「兄さん、早く学校行こう」

「まだコーヒーを飲んでる」

「はーい」


 最中はだらだらとコーヒーを飲む俺の隣に座り、何をするでもなくただぼーっと宙を眺めていた。

 俺はそんな妹のことを意識の端に留めながら、吐き気がするぐらい甘ったるいコーヒーを飲み終えた。

 俺は無言で立ち上がり、キッチンでマグカップを洗う。


「兄さん早くー」

「おう、今すぐ行く」


 俺はポケットの中の家の鍵を取り出し、玄関へ向かう。

 玄関へ行くと、最中に俺の通学鞄を投げ渡された。俺はそれを危なげなく受け取る。


「行ってきまーす!」

「行ってきます」


 俺達は家の中に向かって口々にそう言うと、家の玄関の鍵を閉め、それぞれ自転車に跨って登校を始めた。

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