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Strange Friday

日本語訳。『奇妙な金曜日』

 八月八日の午後二時。佐倉フミと古川宗次は街を歩いていた。この日の気温は三十度を超えている。

 二人は現在サイクロンフレメアデパートに向かっている。その道中、知事選の選挙カーが選挙演説を大音量で流しながら通り過ぎる。

『富士宮聡。富士宮聡に清き一票を』

 選挙カーが通り過ぎ賑やかになった街。佐倉フミは古川の顔を見つめる。

「知事選があるんだね」

「八月三十一日に選挙が始まるらしい。知事候補はさっき通り過ぎた富士宮聡さんと、園山冬実さんの二人。まあ俺には選挙権がないから意味ないけどな」

 園山冬実。その名前を聞いた佐倉フミの脳裏に嫌な予感が浮かぶ。

「佐倉。どうした」

「うん。園山冬実さんという名前に心当たりがあってね。どこかで聞いた気がする」

 その予感は見事に的中することになる。サイクロンフレメアデパートへと続く路地で、短髪に黒色のスーツを着た政治家が選挙演説を行っていたのだった。

「このたび知事選に立候補した園山冬実です。私が知事になったあかつきには、福祉事業を精力的に進め、お年寄りや子供たちが住みやすくしたいと思います」

 その政治家。園山冬実は選挙演説に集まった人々と握手を交わす。

 園山冬実は、古川たちに気が付き、握手をするため手を差し出す。古川は思わず園山と握手を交わした。

「若いのに選挙演説を聞いてくださり、ありがとうございます。家族の方にお伝えください。園山冬実に清き一票を」

 園山は古川に伝えると、彼の隣にいた佐倉フミにも手を差し出した。

「久しぶりね。佐倉フミさん」

 その園山冬実の言葉を聞き、佐倉フミは驚く。

「どうして私の名前を知っているの」

「その答えは教えられませんね。ここで答えを教えれば、この世界が崩壊するから」

 そのコメントが周囲の野次馬たちにも聞こえ、その内の一人の男性が挙手する。

「園山さん。何ですか。あのコメントは」

「皆さん。気まぐれで最近流行している中二病のようなコメントを述べたけど、笑えましたか。選挙戦は若者受けしないといけませんから」

 園山冬実は笑いながら選挙カーの近くに駐車している自動車に乗り込んだ。

数分後選挙カーが動き出す。その後を追うように園山冬実が乗り込んだ自動車が動き出した。

その動き出した自動車を見ながら佐倉フミは不安に襲われた。佐倉フミの存在を知っている政治家園山冬実。その彼女が述べた奇妙な言葉。

奇妙な金曜日は謎が解けないまま終わりを迎える。


謎の政治家、園山冬実。

彼女は佐倉フミの正体を知っている⁉︎


次回『 Spot Firework』


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