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Same Find

日本語訳。『同じ物を見つける』

 八月四日の夕暮れ時。佐倉フミは古川宗次と共にテレビを見ていた。現在テレビでは刑事ドラマが放送されている。

 その刑事ドラマが終盤に差し掛かった頃佐倉フミが呟いた。

「この時代の刑事ドラマに登場する刑事には通り名がないね」

「通り名とは」

「赤シャツ。青ネクタイ。というように刑事の特徴を通り名として呼ぶ」

「月光への咆哮だな。その刑事ドラマのタイトルは」

「それだよ」

「そのドラマは聞いたことはあるけど、見たことないな。再放送もやらないし」

「月光への咆哮。見たいな。タイムスリップした時に、月光への咆哮二時間スペシャルが放送されたんだけどね」

「分かった。そのドラマを見せてやる。それでいいだろう」


 それから三十分後、二人はレンタルビデオ店にやってきた。

 その店にある棚の一角にはレンタルDVD化された月光への咆哮シリーズが並べられている。

「これは何。ビデオは」

「DVD。ビデオよりは画質が良い。この時代ではビデオが絶滅しかけている。もう一つブルーレイという最高に画質が良い奴もあるけど、月光への咆哮シリーズはブルーレイ化されていないらしい。というかブルーレイ対応のDVDレコーダーを所持していない」

 古川の説明を聞き佐倉は納得する。一方古川はスマートフォンを取り出し、調べながら、目的のDVDを探す。

「昭和五十年八月一日に放送された月光への咆哮二時間スペシャルのタイトルは首都崩壊。不可能犯罪二十四時」

 DVDケースを一本ずつ凝視すること五分間。古川はやっと目的のDVDを見つける。

「あった。これだろう」

 古川が振り返った先に佐倉フミの姿はなかった。


 それから古川は見つけたDVDを手にして店内にいるはずの佐倉フミを探す。

 捜索から五分後、古川は佐倉フミを見つける。彼女はアニメのDVDが並べられた棚の近くで目を輝かせている。

「佐倉」

「古川さん。少し探検をしたくなって、そしたらアニメを見つけたんだよね。夏休みスペシャルとして再放送されていた、補給男健二。このDVDも借りてもいいかな」

「補給男健二。去年ネット上で突っ込みどころ満載と話題になった作品か。それも借りる」

「ありがとう」

 こうして二人は『月光への咆哮二時間スペシャル首都崩壊。深淵なる二十四時間』と補給男健二シリーズ合計三作品のDVDを借りて自宅に帰った。これから二人は月光への咆哮上映会を楽しむ。


次回『Slow Fighter』


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