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Saturday Forecast

日本語訳。『土曜日の予測』


 八月十六日。古川宗次は佐倉フミと共に出かけた。二人はこれからサイクロンフレメアデパートで三日後に控えた二泊三日の旅に使う物を買った。

 その帰り道二人は駅前にある雑貨屋に立ち寄る。その店内は静かで閑古鳥が鳴いているかのようだった。


 二人が店内に入って三十秒後、新たなる客が店に来る。その客は佐倉フミを見かけると、彼女に声をかけた。

「あら。佐倉フミさん。また会いましたわね。八日ぶりかしら」

 その声は知事選に立候補した政治家、園山冬実のものだった。園山の近くには警備員の姿がない。園山の服装はスーツ姿ではなく、動きやすいジーンズに半袖のシャツというラフな姿だった。

「園山さん。なぜ私の名前を知っているの」

 佐倉フミは再び園山に問うが、彼女は首を横に振り答えようとしない。

「それはお答えできません。それを言えば、この世界が崩壊するから」

「これだけ教えて。あなたはこの時代の私を知っているのか」

「知っていますよ。世界崩壊を促すあれに関わっているとして、ある業界では有名ですから。えっと。佐倉フミさんの近くにいつもいる男性。名前は何だったかしら」

 園山冬実は古川宗次の顔を見る。

「古川宗次です」

「古川君。今後も佐倉フミさんと関わるのなら、私のお話を聞いてくれませんか。この場でお話することはできませんので、場所を変えます」

 

 その後二人は園山冬実に連れられ、近くの公園にあるベンチに座った。園山冬実は単刀直入に発言する。

「詳しいことは話すことができないけれど、この時代の佐倉フミは一年前から行方不明。あのことに関わったことで失踪したと考えられるの。ところであなたたちは今まで命を狙われたことがありますか」

 その園山冬実の質問を聞き二人は首を横に振る。その表情を見て園山冬実は安堵する。

「それはよかった。あのことが公になれば、この世界は崩壊します。未だに命を狙われていないということは、まだあのことが公になっていないということ。古川君。今後も佐倉フミさんと関わるのなら、約束してください。佐倉フミを守ること」

 園山冬実がベンチから立ち上がると、古川宗次が声を出す。

「園山さん。あなたは一体誰なんですか。あのことというのは何ですか」

「今は教えることができません」

 園山冬実はその言葉の後、古川の耳元で囁く。

「あなたの近くにテロリストがいる」

 園山冬実は一言古川に伝えると、公園の駐車場のある方向に向かい歩き出した。


次回『Seventeen Face』

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