閑話 ご主人様は真っ白4
人によっては好ましくない表現があるかもしれません。
この場面は飛ばしても問題ありません。
私は気付いてしまった。
彼の事を。
彼は見た目は少女の様だった。
そして心も少女のそれに近い。
だが体は男の子だった。
この矛盾はいつか彼を苦しめる。
……それはそう遠くない。
「ねぇ、トート君。
少し話をしないかしら?」
私は彼を助けてあげる事にした。
自分の趣味のついでに。
「リーリエさん? お話ってなんでしょうか?」
彼は純粋無垢で真っ白な精神の持ち主だった。
だがそれがもう限界にきている事は分かっていた。
なら彼が耐えられるうちに……壊してあげれば良い。
「貴方は……キルシュをどう思っているのかしら?」
そんな事は分かり切っていたが、彼の口から聞きたかった。
「……尊敬しています。立派な方だと」
「それだけかしら?」
「……何が言いたいのでしょう?」
やはり彼は本当の事を言わなかった。
……言えなかったのか。
「貴方の彼を見る目は、まるで恋する乙女の様よ?
誰だってすぐ分かるくらいにね」
「えっ!? ……そんな事はありません」
ここで私は彼が引けなくする事にした。
「私はキルシュの本当の身分を知っているわ。
おかれたその状況もね。
……女性との話を聞かないのだけど、それはキルシュが男性を好きだからなのかしら?」
「そんな事はありません!」
そう、そんな事は無い。
だが今重要なのは周りがどう思うかだ。
「今は身分を隠せているわ。
だけどいずれ多くの人が知る事になる。
その時、キルシュの周りに貴方のような人が居たら普通はどう考えるかしら?」
普通はそこまで考えないかもしれない。
だが今はトートにその可能性があると思わせれば良い。
そしてそれは彼自身が望む事では無い。
そしてトート自身、それが良くない事だと分かっている。
分かっているがトートはそれを止められない。
その矛盾がトートを壊すのは遠くなかった。
「……リーリエさんはどうしたいのですか?」
トートは質問をしてきた。
私がどうしてそんな事を言うのか分からないのだろう。
「私はこの事を広めようなどとは考えていないわ。
でも広まっても良いとも考えている。
……トート君の対応次第と言っておくわ」
「……何が望みですか?」
そしてこれが私の趣味だった。
「……貴方自身が望みよ」
トートは承諾した。
ああ、これから貴方を助けてあげるわ……。
そして私も楽しめる……。
私は少し変わっている事を自分自身で自覚していた。
だがそれを悪いとは思っていない。
◇◇◇
「トート、その窮屈な物を外しなさい」
「……この事も知っているのですね」
私はそれを知っていた。
知っていたのは逆の物で女が男になれる物だったが。
トートはそれを外した。
人前でそんな事をするのは恥ずかしいのだろう。
顔は羞恥で赤く染まっていた。
「この後はどうすれば良いか分かるでしょう?」
私はあまり命令しない。
自ら行動させることが楽しいのだ。
「……ご、ご主人様の好きにして下さい」
トートは自らのスカートに手を掛け、中を私に見せる。
そこには可愛らしい物が見て取れた。
……どこで覚えたのだろう。
それはかなり良い答えだった。
だがまだ足りない。
「それも素晴らしい答えだけど少し違うの。
……トートは何をどうして欲しいの?」
私が好きにするのでは無い。
トートがどうして欲しいかを聞きたいのだ。
トートはこの場からすぐにでも立ち去りたいだろう。
だがそんな事は言えない。
私の望む事を考え、それがどんな羞恥的な事でも口に出さねばならないのだ。
「僕の、お、男の子の部分を、リーリエ様の手で、な、慰めて下さい!」
まだ足りないが今回はこれくらいで許してあげようかしら。
そしてトートはまだ分かっていないようだった。
トートは自分自身の全てが男の子だという事を。
それを自覚しない限りトートは何時か壊れるだろう。
私はトートが男だと自覚させる事が必要だと知っていた。
だが今は自分の趣味を楽しもうと思う。
◇◇◇
それからも毎日の様にトートを責めた。
初めて果てた時、トートは泣いていた。
きっと気持ちの許容範囲を超えたのだろう。
……最高の瞬間だった。
それは私の趣味なのだからどうでも良い事だったかしら。
そしてトートは今まで知らなかった男としての喜びを私から覚えていった。
……最高だった。
それは置いといて、トートはもう私無しではいられないだろう。
私は時が来た事を悟った。
トートを焦らし、直前で止め、懇願させる。
それでも私は続きをしなかった。
そしてそのまま暫くの間、何日も放置した。
トートが自覚してくれることを信じて。
「僕は分かりました。
キルシュさんに対する想いは憧れだった事を。
僕はどうしようもなく男で……リーリエさんを求めていると」
私の手に掛かればどんな男でも落せた。
でもトートは違った。
普通の男はそこに愛など無かった。
だがトートは私を愛していた。
どれだけ酷い行いをされても純粋に受け止めていた。
こんな酷い行いも自分を気付かせる為、だと信じて疑わなかった。
……半分以上は私の趣味だったのに。
私は初めからトートのその純粋な所に引かれていたのかもしれない。
それを壊した時、どんな風に行動し、立ち直っていくのかを知りたかった。
だが……トートは壊れなかった。
その上で壊れてしまっていた私を助けようとまでしているのかもしれない。
あの憧れの王子様の様に。
私は壊れていた。
私はトートを壊そうとした。
トートは壊れなかった。
トートは私を治そうとした。
……助けられたのは私だった。
◇◇◇
私とトートは今でも同じ様な事をしている。
それは両方とも望んでの事だ。
他者から見れば変わっていると思われるだろう。
だがそんな事は関係なかった。
たとえ間違っていても私達にはそれが正しい事なのだから。




