閑話 ご主人様は真っ赤
人によっては好ましくない表現があるかもしれません。
この場面は飛ばしても問題ありません。
私はファーストを残し部屋を出ていた。
行かないと言ったがどうしてもケーゼに一言言いたかった。
外は真っ暗だ。
星の光すら雲に遮られ何も見えない。
今の自分の気持ちを表しているようで嫌な感じだ。
魔道具のわずかばかりの光だけが頼りだ。
魔石の費用をケーゼに請求してやると固く誓う。
「コンコン。シャルだけど言われた通り来てやったわよ」
私はドアをノックし投げやりな感じで言い放った。
「入れ」
ケーゼが偉そうにそう言ったので遠慮なく入る。
「私は公爵の言い付けを守る為にここに来たのでは無いわ。
約束と違う事は守る気は無いと言いに来ただけよ」
「まだそんな甘い事を言っているのか。
いい加減自分の立場を理解した方が良い」
「何を言われようが私は変わらないわ。
借金は期限までに必ず返すからそれまで私にかかわらないで。
それを言いに来ただけだから」
そう言って私はケーゼを無視して部屋をでようとする。
私がドアを開く前に外から二人の屈強そうな男が入ってくる。
そして私は有無を言わさず押さえつけられてしまった。
「最近少しばかり魔術を使えるようになって調子に乗っていたようだな。
……だがこれで動けまい。
そいつをベッドに運べ!」
私は碌に抵抗も出来ずにベッドに押し倒され動きを封じられてしまった。
「いや、やめて! こんな事をして許されると思っているの!」
私はこんな非道な事がまかり通るとは思っていなかった。
「許されるよ。
両親ともに認めている。
これは合意のもとに行われている事だからな」
「な、私は認めていない! その汚らわしい手を放して!」
考えが甘かった。
周りに味方は居ない。
あんな約束は建前でもう私は売られていたのだと今更気が付いた。
「ふーむ、これはきつめのお仕置きが必要かもしれんな。
初めてだろうし優しくしてやろうと思ったが気が変わった。
俺の後には……こいつらの相手もしてもらおう。
自分の置かれた立場という物を徹底的に教えてやろう。
なぁに無駄に抵抗しなければ気持ち良くなれるさ」
ケーゼは不敵に笑う。
私を押さえつけている男達は下卑た笑いをしていた。
私は恐怖でどうにかなってしまいそうだった。
ここに来るべきでは無かったと後悔するがもう遅い。
「お、お願いやめて……」
もう私は虚勢すら張れなかった。
目には涙が貯まっていた。
「可愛い事を言うじゃないか……今更遅いがな」
ケーゼは私の服に手をかけ強引に脱がそうと……。
「面白そうなものを書いているのね、エロドラゴン……」
私は目の前で何やら如何わしい内容のしかも私が登場しているそれをエロドラゴンから取り上げていた。
「いや、あのですね……。
もしあそこで私奴が止めなかったらこういう事態が起こっていたかもしれないというのをですね……」
「へー……そ、それを私に教えてくれようとしてこんなものを?」
私は顔を真っ赤にしながらファーストに詰め寄る。
まったくもって不愉快だ。
わ、私がけ、穢されるところを書くなんて!
「い、いえ。
私奴が今後こういう事が起こる前に対処できるように、
今回の事を記録に残して置こうかと思いまして……」
「空想の出来事まで残さなくて良いのでは無いでしょうか?」
私は冷静になり、なぜか敬語になっていた。
「そうね、ここにある通りにしましょう。
貴方にはお仕置きが必要なようですね」
ファーストは後ろに逃げるように一歩一歩後退していた。
それを私はシッポだけを持ち掴み上げる。
「……血を抜きましょう。
貴方が真っ赤に染まるまで大量にね……」
私は完璧に感情を押し殺した冷静な顔をしていたはずだ。
ファーストの顔は物語にあるような目に涙を浮かべ恐怖で引きつっていた。
ドラゴンの表情なんて分からないはずなのに、なぜか私にはそういう風に見えた。
「ギャゥウウー!」
人の言葉を覚えたはずだったが……ドラゴンの時のような声を上げている。
あまりに恐怖に我を忘れているのかもしれない。
だがこれから行われる事は変わらない、変わらないのよ。
「ふふふ」
物語にあるような下卑た笑いではないが、それは恐怖を感じるものだったろう。
最後までやられてレイプ目な所をさらに手下にやられるっていう所まで書いたらダメなのでしょうか?
その前に私の心がダメになりそうですが。
本編をこのルートにしようかと思いましたが、
どうやっても立ち直れそうに無かった(主人公達も作者も!)のでやめました。
ハッピーエンド目指して頑張ります(誰がだ!)。