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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第二章 成体
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閑話 ご主人様は真っ青4

 人によっては好ましくない表現があるかもしれません。

 この場面は飛ばしても問題ありません。


 私は望んで(・・・)いない。


 私は周りから冷たい目で見られていた。

 誹謗ではないが、嘲笑か憐れみか。


 両親が私を大人達に紹介すると大抵は微妙な雰囲気になる。

 両親はそれを知ってか知らずか得意げだ。

 いや私の為を思っての事だ、あまり悪く言ってはいけない。


 私が本当に小さな子供の時は、友人達から羨ましがられる事もあった。

 だが年齢を重ねるにつれ、それがあまり一般的では無い事を私は知った。

 一般的な世界もあるようだが、私は馴染めないでいた。




 兄弟も望んでいなかった。


 兄弟も私と同じような境遇だった。

 いやより酷いかもしれない。

 両親はそうは感じていないが。

 私の上には兄が二人いる。

 二人ともが反対し、これでも多少マシ? になったそうだ。

 初めはどれだけ酷かったのだろうか?

 いや両親に言わせたらどれだけ良い事、と言いそうだ。




 両親が望んだ事だ。


 だが両親は私とは違っていた。

 だから余計にそうしたかったのか?


 出来れば両親と同じようにして欲しかった。

 だが両親は私が絶対に幸せになると信じている。

 それは自分達が苦労? したからだろうか。

 私は別の苦労をするとは考えないのだろうか。

 私は成長するにつれ、我慢出来なくなっていった。




「私は……自分の事は自分で決めます!」


 私は我慢の限界から両親についに言ってしまった。

 だがそれは認められなかった。

 それからはどれだけ良い事なのかを毎日聞かされた。

 私はあまり心が強くなかったようだ。

 ……耐えられなかった。


 周りに言わせたら少し変わっているだけらしい。

 自分の事では無いのだから何とでも言えるだろう。

 そして私の事を分かってくれる兄達は傍に居なかった。


 兄弟と言えどずっと一緒に居られる訳では無い。

 それぞれの生活と言う物もある。

 兄達が離れた時に我慢の限界が来たのだ。

 その状況を変えようと行動したが、それは失敗だったようだ。

 ……私は限界を超え、壊れてしまった。

 

 


「私は私じゃない。私は他人。私じゃない他人は……」


 他人事なら大丈夫。

 私は自分と言う者を演じる事にした。

 感じる事は全て他人の事。

 これは私じゃない。

 私は周りが望む理想の私を演じる事にした。

 ……本当の自分を壊して。


 そんな事が長く続く訳が無かった。

 自分という物を見失い、奇行な行動をとるようになった。

 私は狂ってしまったのだろうか。

 もうそれすらも分からない。


 両親はそれに気付いた。

 だが理由に気付いても理解できないらしい。

 根本的な解決はせずに、私を一時的に遠ざける事を選んだ。

 新しい恵まれた? 環境で生活すればきっと治ると。

 私をこの状況から逃がしたのかもしれない。

 いや私が逃げたのか。


 両親から離れたおかげか、新しい環境が私に合っていたのか分からない。

 私は少しだけ良くなった。

 理想の私を演じられるくらいには。

 でも私はいつかまた戻る時が来るのだろう。

 その時はまた狂ってしまうのだろうか。




◇◇◇




 偽りの平穏を過ごす。

 有限の平穏は何時か終わる。

 それは思ったよりも早く訪れた。

 平穏は終わりを告げたが、それは元に戻る物では無かった。

 私には全てをひっくり返すような希望の存在に思えた。

 

 それは希望と呼ぶにはあまりに黒く……小さかった。

 

 私は今だ理想の自分を演じている。

 何時か戻るその時に、私は理想の自分を演じているだろう。

 そして終わりが来た時、私はまた狂うのだろう。


 理想の自分自身に成れる可能性があった。

 それはまだ小さかったが。

 その黒さを見ていると、いっそ自分から狂ってしまおうと思えてくる。

 迷いは弱さを生んだ。


 可能性を見出した私は理想の自分を演じきる事が出来なくなっていた。

 本当の自分が希望を信じてしまっている。


 それは天使の悪戯か、悪魔の囁きか。

 もう平穏は望めない。


 だが私はそれを……望んだ(・・・)




◇◇◇




 最近狂おしく想い描いてしまう事がある。

 ……誰でも良いからめちゃくちゃにしたい。


「んっ、んっ、んっ」


 ストレスが溜まっているのだろうか?


「あっ、あん……」


 ひれ伏させ、虐げ、詰り、罵倒し、犯し、嬲る。


「んっ、んー、んあっ!」


 男も女も魔物(モンスター)さえも関係ない。


「ふぅ……何してんだろ……私……」


 自分で自分を慰める事もある。

 いつ覚えたのかいつ始めたのかさえも忘れた。

 ……いやある一匹の影響に決まっていた。


 私は最近一人きりになる事が少ない。

 いや一人は一人なのだが、もう一匹といる事が多い。

 だがこういう時は決まって傍には居なかった。

 ……私が気付いていないだけで、覗いているのかもしれないが。


 そう考えるとなぜか逆に興奮してくる。

 ……まだ駄目なようだった。


「んっ……」


 こんな事をするくらいならいっそ身を委ねた方が……と考える。

 だがそれすらも私を掻き立てた。


「あっ、あっ」


 先ほどとは逆に自分が嬲られ、犯される。


「んっ、あっ……、んんんっ!」 


 私が望むのはどちらだろう?

 答えは出ない。


 そして冷静に判断する事にした。


感覚共有(シンパシー)か……」


 なぜかふとその事を思い出した。

 私と同じ事を考えているのだろうか?

 シンパシーでも明確に何を考えているかまでは分からない。

 あくまで感覚だけだ。


 そしてその感覚が伝わってくる。

 隣の部屋にいるようだ。

 他に知り合いも何人かいる。

 声が聞こえる。


「壁薄い……声が、音まで聞こえてる……」

「そこは黙っとくのが友達なんだよー」

「敢えて物音を立てずに静かにしてたよね!

 確信犯だよね!

 絶対聞く気満々だったよね!?」


 ……死にたい。

 一度血の気が引いて、その後一気にこみ上げてくる様な感じだった。


 だが死ぬ前にあの一匹の魔物(モンスター)だけは殺しておこうか。

 でも一人は寂しいからね……道連れよ!!!




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