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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第二章 成体
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閑話 ご主人様は真っ青3

 本日二回目の投稿です。

 人によっては好ましくない表現があるかもしれません。

 この場面は飛ばしても問題ありません。


「外の世界に行きたい者はいますか?」


 この問いに「はい」と答える者はいない。

 ここでは……このエルフの国よりも良い場所は無い。

 ここしか知らない者達なのに必ずこう答えた。


 緑豊かな大地には木々が生い茂り深い森を作り上げていた。

 食べる物に困る事は無く、その為争い事も少ない。

 単一の民族、エルフしか住んでいないのも関係しているのだろう。


「外の世界に行ってくれる者はいますか?」


 外の世界に行きたい者はいない。

 だが外の世界から此方へやってくる者はいる。

 そういった者達は必ず争い事を持ち込んだ。

 だがそれを拒んでも、それ自体が争い事へと発展してしまった。

 ならば……外の世界と交流し、外の世界を此方と同じような世界へと変えるしかない。

 此方の世界を広げるという意味でもあるが、その場合は争い事になってしまう。

 誰かが外の世界へと行き、此方の世界の事を教えるしか無かった。


「外の世界に行きます」


 行きたいと思って行くのでは無い。

 此方の世界、エルフの国を守る為に行くのだ。


 その数は……多くは無かった。




◇◇◇




「帰りたい……」


 外の世界に来てすぐにそう思った。

 私は何かを教えに来た訳では無い。

 その逆で、外の世界を学びに来たのだ。

 教えるには教わる者達の事を知らなければ上手くは行かないという事だろうか。


「もううんざり……帰りたい……」


 私には学ぶ事ともう一つ、やらなければならない事があった。

 外の世界との交流。

 まぁぶっちゃけ……伴侶を見つける事だ。

 しかも外の世界の人間とだ……。


「良い男を選び放題よ!

 気に食わなかったらすぐに捨てちゃって!」


 これがエルフの国の重鎮に言われた言葉だった。

 ぶっちゃけすぎだろうと思うが、逆に好感が持てた。

 エルフと言うのは外の世界の人間から見たらとても美しく見えるそうだ。

 そしてエルフの国からの信頼も得られるとなると、私の存在は魅力的なのだろう。

 そして幾人もが私へ会いにくる。

 きっと良い男なのだろう。

 容姿端麗で家柄も良いとか頭脳明晰だとか。

 だがそれはエルフの私から見たら何の魅力も感じなかった。


「もう帰りたいです」

「そう……でも次で最後よ!

 次の男が気に食わなかったら帰るって先方の国にも伝えてあるから!」


 最近気づいたのだが、この人は面白半分で行動している。

 一応残りの半分は国を思っての事みたいだが。


 そしてその最後の一人を紹介された。




◇◇◇




「彼女は僕の一番の親友でね!

 是非、仲良くして欲しい!」


 紹介されたのは男性だった。

 だがその男性が最初にした事は、自分の一番の女性を紹介する事だった。

 そして自分の事は全く話さない。

 名前や年齢くらいは話したが今までのような家柄や能力などの事は一切話さなかった。

 そして話の内容はほとんどが同席していた女性の事だった。

 行動は少し変わっていたが、不思議と嫌では無かった。


 私が帰るのは少しだけ先になりそうだった。




◇◇◇




 その後はよく会うようになった。

 彼では無く、彼女と。

 私は外にはあまり出ない。

 部屋に引き籠る事が多い。

 だが、彼女は何度も訪ねて来てくれた。


「外は良い天気なんだよー」


 満面の笑みだった。

 そして外は雨だった。

 何を言っているか分からないが、きっと良い天気なんだろう。

 私は良い気分だったと思う。


 仲良くなるのにそう時間はかからなかった。


「仲良くなってくれて嬉しいよ」


 彼はたまにしか来ない。

 だがこれくらいが丁度良かった。


「君には友達が必要だと思った。

 そして彼女にも必要だった。

 勿論、僕にも必要だった。

 この後の事はゆっくり考えて行けば良いさ!」


 彼は初めから全てが分かっていたような感じだった。

 これからどうすれば良いかさえも。

 だが私はそんなにゆっくりとはしていられなかった。




◇◇◇




「貴方はどうして……ここへ来るの……」


 理由は分かっていたが聞かずにはいられなかった。

 彼に言われて来ているに違いなかった。


「興味があったんだよー」


 理由は違っていた。

 私に興味があったから来ていると。

 彼は何も言っていないと。

 だが理由はそう違わなかったかもしれない。


「彼が気に入ったのは貴方だけなんだよー」


 彼にも私と同じように何人も紹介された女性がいたそうだ。

 だが彼は碌に話もしなかったそうだ。

 私を除いてはと彼女は言った。


 何かがおかしかった。

 どうしてその中に「彼女」は入っていないのか。

 彼女は彼の親族では無い。

 付き合いはそれ程長くないそうだが一番仲は良いはずである。

 当然、私よりも。


「貴方は……彼が好きじゃないの……」


 聞いてしまった。

 もしそうなら私は彼女にとって好ましくない存在だろう。

 いやそれを受け入れているかもしれないがどうしてもはっきりさせたかった。

 私に彼にこだわりは無い。

 

 私は国へ帰っても良かった。

 しかし本当の所、それは望ましくない事だ。

 分かっている、分かっているがどうにかしなければならないのだ。

 それは彼女の答えでまだ変更する事は可能だった。


「好きだよー、でも彼は……断ったの、だよー」


 彼女は悲しげだった。

 これ以上は聞けなかった。

 泣き出してしまった彼女を私は優しく抱きしめてあげる事しか出来なかった。




◇◇◇




 パチン!

 私は彼を叩いていた。


「すまない」


 彼には何も言っていないが彼は謝った。

 私が何に対して怒っているのか分からないはずなのに。


「……彼女は少し特殊な環境で育ってね。

 主と言う者を求めている。

 多少変わった行動をするのはその主が居ない為だ」


 確かに少し変わった所はあるがそれは酷く特殊な事がある為らしい。


「その主に貴方がなれば良い!」

「それは出来ない。

 主など居なくても彼女は大丈夫だ。

 それを僕は教えたいんだ。

 出来れば君にも協力して欲しい。

 彼女が興味を持ったのは君が初めてなんだ」


 ああ、何かがおかしいのは彼のせいか。

 彼女が興味を持っているのは「彼」だけなのに。


「良いわ……協力する……」

「ありがとう。

 だが主だけにはならないでくれ!

 出来れば友人として接して挙げて欲しい」


 当たり前だ。

 それに……。


「なろうと思っても……なれない……」


 主は彼以外には無理だ。

 そんな事も分かっていないのか。


 だが分かっていないのは私だった。




◇◇◇




 気が付いたらベッドに横になっていた。


「何……どうしたの……」


 その横には彼女が居たが何か変だ。

 私はいつ横になったんだ。

 そもそも彼女はさっきまで居なかったはずだ。


「私に任せて……じっとしてて」


 そのままじっとしていたら、服を脱がされた。

 なんだろう?

 そんなに暑くは無いし、一緒に入浴でもしたいのだろうか?

 そういう文化がこの国にはあるのかと思った。


 そう思っていたら彼女は私の体を触り出した。

 筋肉の疲れを癒す何かだろうか?

 それはとてもくすぐったく声が漏れてしまう。


「あっあっ……あん……」


 彼女はなおもそれを続けた。


「やめて……くすぐったいわ……」

「すぐに気持ち良くなるはず」


 そして彼女の手は人に触らせる場所では無い所まで伸びて来た。

 そこまで来て初めて意味に気づいた。


 ……女の子同士で!?

 そして思った。

 彼は一体何を教えているのだろうと!

 更に意識してしまった今は体が反応してしまいそうだった。

 その……彼女は妙に手馴れているように感じた。

 経験の無い私には刺激が強すぎる。

 ……耐えれないってこんなの!


「やめなさい……こういう事は別の人とするべきね……」

「私にはもう誰もいない!」


 ああ、そう言う事か。

 彼が断わったのはこれかもしれない。

 そして主と言う物にならない理由も分かった。

 彼女は誰でも良いのだ。

 身近にいて優しくしてくれる人なら誰でも。


「大丈夫……必ず見つかる……」

「そんなの分からない!」


 彼女は不安なのだろう。

 何となく分かる、私も同じだったからだ。


「こんな事しなくても……傍に居る……」

「本当に? 私を必要としてくれる?」

「必要……私にも、彼にもね……」


 今度こそ本当に分かったと思う。

 私も彼女も。

 そして彼をまた叩かないといけない。




◇◇◇




 パチン!


「……すまない」


 彼はまたすぐに謝った。

 本当に腹が立つ。


「一体何を……教えている……」


 私は彼女がとった行動を説明した。


「ぼ、僕が教えた訳じゃ無いよ!

 それにまさか女性にも同じ事をするなんて……。

 それでその……本当に何も無かったんだね?」


 確認する事はそれか!

 それが主に直結するとは思えないのだが、ある意味それは一番重要な事かも知れない。


「な、何も……無い……。

 貴方こそ……本当に何も? してない……」

「と、当然だ!

 それに何度も教えれば彼女は分かってくれる」

「何度……も……」

「ああ、これから何度も同じ事があると思うが……その頑張って? くれ!」


 私は分かっていなかった。

 主が居ない為か一度では分かって貰えないようだ。

 これから先何度もあれが……。

 あの時は意識していなかった。

 だが今は意識してしまっている。

 彼は本当に何もしなかったのだろうか。

 それはそれで問題があると思ってしまう。


 いや今は自分の事だ。

 伴侶に女性を選ぶ訳にもいかない。

 それだけは避けなければいけなかった。


 まさかこんな事を真剣に悩む時が来るとは思わなかった。




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