第五話 日常
本日二回目の投稿です。
俺とシャルの朝は早い。
日が昇る少し前に起き、トレーニングの準備をする。
シャルは学園内をランニングする。
俺が来る前は学園外をランイングしていたが、今は重要人物である。
学園の中でしか行動の自由は無いそうだ。
この世界に飛行機は無い。
一応空を飛ぶ乗り物はあるらしいが安全性に問題があるとの事だ。
俺がもし空を飛ぶタイプのドラゴンだったとしたら……まぁ両親を見る限り空を飛ぶタイプなのだが、その価値は高い。
国全体を見れば人が操る事の出来る飛行タイプの魔物がいる事にはいる。
だがその数はそれほど多くない。
魔物は国の至る所に出現し、他国とはほんの数年前に戦争をしていたらしい。
俺とシャルは軍事的に期待されているということだろう。
俺はシャルがランニングしている間、皆の期待を一身に背負って飛行の訓練をしている。
人の身長ほどの高さにジャンプをし、パタパタと羽をはばたかせる。
落下速度が少しだけ落ちるがそれだけだ。
飛行は魔力を使うらしいのでこの訓練には疑問が残る。
しかし他に方法が無いのでとりあえずパタパタと今日も頑張っている。
シャルは最近ランニングだけでは物足らないのか軽く剣を振っている。
俺はその間火を吐こうと練習する。
何も出ないがな。
◇◇◇
朝のトレーニングが終わったらシャルは部屋に戻り汗を流す。
当然俺も一緒に汗を流す……役得である。
シャワーで汗を流すのだがそれにはホースが付いていない。
魔法で水を出現させそれをさらに温めシャワーをする。
コードレスシャワーである。
便利だが魔法を使うのでとても疲れるらしい。
だが最近は慣れてきたのかあまり疲れなくなったとはシャルの談だ。
俺は全身をシャルに洗ってもらっていた。
手が届かないんだよ。
不自由だが得した気分なのはなぜだろう。
◇◇◇
寮の食堂へ行くが朝食ではない。
ここでは朝昼晩と食堂で食事が出る。
シャルは昼は授業の為無理だが、朝と晩の食事の手伝いをしている。
もちろん給金がシャルに支払われる。
貴族は普通こんな事はしない。
逆に専属のメイドが豪華な食事を部屋まで運んでくれる者の方が多い。
お金に困っているのは本当の事なのだろう。
シャルは器用に食材の皮をむいたり切り分けたりしている。
実際の料理は専属のコックさんがしているようだ。
俺はその間……食事をしている。
食材の余った物を分けて貰えるのだ。
残飯などでは無く、純粋に余り物だ。
余り物が無い時は従業員用の賄い料理が貰える。
シャルは少しだけ申し訳なさそうだが、ちゃんと温めて貰えるし不満は無い。
肉も入っていないしな!
その後、シャルは他の生徒達と一緒に朝食となる。
俺は隣で見てるだけだがたまにシャルがご飯を分けてくれる。
もうお腹いっぱいなのだが好意は無下に出来ないので食べる。
少し苦い野菜ばかりなのは気にしないでおこう。
朝食が終わり、皆は授業へと向かう。
◇◇◇
授業は午後三時くらいまで行われる事が多い。
時計は身近には無く貴重品らしい。
教会が三時間ごとに鐘を鳴らしている。
この世界でも一日は二十四時間だ。
遠い昔に異世界から召喚された勇者が時計を作りそう定めたらしい。
たぶん俺と同じような世界から来たのだろう。
召喚の方法や逆に帰る方法、勇者がその後どうなったかなど知りたいとも思った。
だが今はそれ以上は分からなかった。
分かった事は三十日で一か月、十二か月で一年。
閏年の代わりに二年に一度、十日間の復活の日……復活祭という物がある。
俺にはこれくらいしか分からなかった。
授業が終わった後、大抵の生徒は午後のお茶を楽しんだり町へ遊びに行ったりしている。
だがシャルは違う。
図書館へ行き本を読むのだ。
その内容は授業に関係ない物も多く、魔法やこの世界の歴史についてが多かった。
勇者についても調べていて、時計の話はここから来ている。
俺が丁度知りたい事なので願ったり叶ったりだ。
◇◇◇
夕食の前に朝食と同じように準備の手伝いをする。
その後、同じように食事をする。
食事の後は寮の部屋に帰りシャワーをする。
湯船に浸かるという習慣もある。
だがそれほどのお湯を魔法で出すのはまだ難しいようだ。
ちなみに髪を乾かすのはこれまたコードレスのドライヤーである。
ドライヤーっぽいそれを通す必要性が俺には分からないがきっと重要な事なのだろう。
そしてシャルは早々と寝てしまう。
照明は自分で魔道具と魔石を準備しないといけない。
魔道具は一応あるが魔石は高価なのでシャルはあまり点けたがらない。
俺はベッドの隅で眠る。
一度シャルの懐に潜り込んでみたがゴツゴツして邪魔と言われてしまった。
正直なところ完全にアウトだと思うが文句だけで許された。
ドラゴン様様である。




