第四十二話 七月
本日二回目の投稿です。
俺は成功した。
シャルからケーゼとメッサーの事を聞くことに!
シャル自身が実は誰かに話したかったみたいだった。
まぁこういうのは人に話したくなるよね!
学園に来る前からメッサーはケーゼの事を知っていた。
許嫁なのだから当たり前かもしれないが。
だが特別な感情はあまり無かったと言う。
貴族なのだから当たり前の事だと受け入れていたらしい。
シャルとはやっぱ違うな。
意識したのは遠征の時だったらしい。
撤退を繰り返しもう駄目だと何度も思った時、ケーゼが立ち上がった。
みんなが諦める中、檄を飛ばし指示を出し絶対的な困難を覆して見せた。
その時本当の意味で受け入れたいと思ったそうだ。
……俺のお陰じゃね?
そしてケーゼとどこまで行ったかというと……。
リア充死ね! とだけ言っておこう。
シャルはもうケーゼと対立しないと言っていた(からかうくらいはするらしい)。
だが俺はケーゼとは仲良く出来そうも無い!
そしてシャルはケーゼの事以外も少しずつ変わっていった。
なんていうか余裕のような物が出来た気がする。
殺風景な部屋に小物が増えて行き女の子らしい部屋になっていった。
無駄な物は買わない、いや必要な物すらも切り詰めていたからな。
これはきっと良い傾向なのだろう。
最近は料理に凝っているのか、何に使うのか分からない調理器具なんかもキルシュ達に買って来て貰っていた。
いやキルシュが訳も分からずに買ったのかもしれないが。
ショコラはもうすっかり元に戻っていた。
休日にはまたキルシュと迷宮に行くんだよーとか言ってたな。
まぁショコラの事もあるが俺は少し気になる事があった。
「キルシュってもしかして偉い人とかなの?」
「何よ、急に?」
「いやーよく家がどうのとかいってるなぁって。
そう言えば遠征の時も何かそんな事言って無かった?」
「んー、確か遠縁だけど王族の血を引いてるとかなんとか」
「それって偉いの?」
「偉いかどうか分からないけどそれなり地位があるんじゃないかしら?」
「ケーゼよりも?」
ケーゼは公爵の息子だ。
知り合いの中では一番の地位だろう。
あ、エレクトが居たわ。
でもあの人は地位とはまた別の偉さかもしれないが。
「ケーゼよりは下になるのかしら?
でも地位だけならトートもケーゼに負けていないわよ」
「そうなの?」
「トートも王族の血筋で現国王の弟の次男か三男だったはず。
つまり大公爵様って事に……いや長男じゃないから違うのかしら?
まぁ王族とか貴族は血筋がどうのって煩いし、結構複雑でうろ覚えだけどね」
トートって結構凄いんだな。
飛び級なんて実力だけじゃ無理なのかも知れないしな。
それが望んでの事か望まない事かの違いはあるだろうがな。
「……シャルはどうなの?」
ここでふとシャルの事が気になった。
シャルの家はどこかの領地は持っているらしいとは聞いているが。
「私はなんていうか貴族もどきって感じ?
家は五百人くらいしか住んでいない片田舎の領主よ。
それに家を継ぐ事も出来ないし、もう身売り先まで決まってる。
私なんて魔術だけが取り柄の最下層の貴族ね」
「まずは借金を返さないと貴族ですら無い?」
「そう言う事!」
貴族もどき、良い得て妙だがその通りなのだろう。
そしてまた迷宮へと出かける事になる。
もどきでは無くなる為に。
◇◇◇
二十六階の探索はもう作業だった。
行って拾って帰ってくる。
これだけだ。
「今回は二百三十万ギルになります」
これだけでこの儲け。
シャルが多少の贅沢をしても良いだろう。
いやまだまだ普通より良い生活とは言えないが。
このまま普通の生活を送りたいと思った。
……思っただけだった。
「シャル……ショコラが……」
マルメラが慌てた様子でシャルを呼びに来た。
魔術学園で普通の生活をするにはお金だけでは足りないのかもしれない。
「どうしたの?」
「迷宮でキルシュが……上級生達に襲われた……」
そしてショコラが怒り狂って上級生たちの所に乗り込んで行ったと。
聞けば十階でキルシュ、ショコラそして一緒にいたトートが襲われたらしい。
トートはシャルとの迷宮探索は特殊過ぎたのでもう一度キルシュに付き合ってくれるよう頼んだと。
上級生はまた四年生らしい。
キルシュ達はそれなりに成果を上げているし、派手に売り買いもしている。
行動のしにくいシャルの分もあるからな……。
それに下級生で人数も少ない、狙われる理由は十分か?
トートが足元をすくわれ、キルシュが人質になり、ショコラは何も出来なかったらしい。
ショコラに怪我は無く、トートは軽傷だ。
だがキルシュは怪我の手当てが終わってもまだ動けないらしい。
女性と子供には配慮したのかキルシュだけが重症だったのだろうか。
金品はすぐに渡したらしいがキルシュは手酷くやられたようだ。
きっとキルシュは正論を振りかざし、ショコラとトートには抵抗しないようにと言ったに違いない。
これはシャルに対する間接的な報復とも取れる。
シャルを襲った奴では無い……と思う。
シャルには手出しが出来ないから同じ学年のキルシュ達を狙ったとも考えられるか?
実際は違ってもこの際関係なかった。
「マルメラ、ショコラの所に案内して!」
シャルはすぐにショコラの所へ走った。
「ファーストはキルシュに着いて居てあげて。
ショコラが負けるとは思えないけど、キルシュを盾にされたら面倒だわ」
上級生達は複数だ。
キルシュをまた襲う可能性はあった。
ショコラの相手は務まらないだろうからな。
実際迷宮でもそうだったのだろう。
俺はシャルの指示通り、キルシュのいる医務室へと急いだ。
◇◇◇
医務室に行くとそこには二人いた。
キルシュと……トートだ。
「キルシュさん……大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ。
まだ動けないが痛みなども無いよ。
だから気にしなくて良いからね!」
トートが足元をすくわれたせいでキルシュが人質になったと聞く。
それをトートは気にしているのだろう。
俺はキルシュ達に声を掛けようと……。
「気にしますよ。
だって……僕が薬を盛ったのですから」
声を掛けるのは少しだけ待った方が良さそうだった。
+16,072,087 前回残高
.. -15,642 十日分の食糧(ファースト、シャルの分)
... -3,701 雑貨(調理器具、小物など)
. +2,300,000 財宝の売上(剣や槍など二十本)
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+18,352,744 一千八百三十五万二千七百四十四ギル




