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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第四話 授業2

今日は二話分更新予定です。

次は二十時になると思います。



 シャルが水晶の前で手を当てるとその水晶が青く光り輝いた。

 

 俺はシャルに連れられて魔法の属性を調べに来ていた。

 人には得意な属性があり、それを調べるには特殊な水晶に魔力を流す事で判断することができるらしい。


「それではシャル君と同じようにやってみなさい。

 言葉通じているよね?」


 水晶を挟み反対側にいる教師と思われる大人の男性が話し掛ける。

 確かレーレンという先生だったと思う。

 主にAクラスを担当している優秀な教師という事だ。


「ギャウギャウ!」


 俺は人では無いと思うのだが判定できるのだろうか?

 俺の心配は杞憂に終わる。

 そもそも魔力を流せなかったのだ。

 俺は首をかしげることしかできなかった。


「ドラゴンなのに魔力が無いのかしら?」

 

 シャルが不思議そうに話した。


魔物(モンスター)には魔力が大抵あります。

 空を飛ぶ事や火を吐くのにも魔力を使っていると考えられていますね。

 まだうまく扱えないのでしょう。

 容姿からもまだ幼い印象を感じますしね」


 レーレン先生がそう言ってシャルを納得させた。


「そうね、空も飛べないし火も吐けないものね」

「ギャゥー……」


 俺は落ち込んだ声を上げた。


「ドラゴン君は落ち込んでいるのかい?

 そう焦らずともいいし、君だけで如何こうできる物でも無いのかもしれない」

「というと?」


 シャルが何か魔法を使う切っ掛けが掴めるかもしれないと答えを求める。


「使い魔は主人の力によって強くなる事がある。

 シャル君が成長する事によっても魔法が使えるようになるかもしれないね」

「わ、私のせいなの……」


 今度はシャルが落ち込んでしまった。


「いや、そういう意味では無いよ。

 君たちはまだ若いのだから一緒に成長して行けばいいのだよ。

 授業でも教えたと思うが主人と使い魔は言葉の上では主従の関係かもしれない。

 だが対等なパートナーだ。

 お互いを信頼しあう事でも力が強くなる。

 勿論、個人でも強くなることもできるね。

 だから焦らずにお互いを分かり合う事から始めてはどうだろうかな?」


 俺達は出会って間もない。

 契約はできたのだからきっと相性は悪くないのだろうとレーレン先生は付け足していた。




◇◇◇




 俺とシャルはなるべく行動を共にした。

 分かり合うには一緒にいるのが良いというシャルの考えだった。

 俺的には他にする事も無いというか出来る事が無かった。

 どんな授業も一緒に受ける。

 この世界の事をよく知らない俺にとっては魔法の関係ない一般的な授業も疎かに出来ない。

 と言っても人であった時の知識があるので眠くなる物も多かった。

 この世界の文明は人であった時の世界より少し遅れているようだ。

 その分魔法という物で優れてはいる。


 この世界では機械の代わりに魔道具があり電気の代わりに魔石を使う。

 魔石は魔物(モンスター)の体の中にあり魔力の源とされている。

 体から取り出してしまった魔石は魔力が回復する事は無い。

 魔力を使い果たすと砕け散って砂のようになり、最後は消えてしまう。


 人は魔力はあるが魔石が無い。

 人はどこから魔力を引き出しているのかは……解明されていない。

 ドラゴンには魔石があるそうだ。

 それを聞いた時、何か……ぽっかり大きな穴が開いたような気がした。




◇◇◇




 そして数か月がたった。

 俺に変化は……無い。

 シャルは魔力が多くなり強力な魔法を使えるようになった。

 肉体的にも強くなったと言っているが、それは外見では分からない。

 本人がそう言っているのならそうなのだろう。

 だが元々が優秀では無かったのでシャル自身の周りからの評価は変わっていない。

 いや別の事で変わっていた。

 俺が無力すぎるという事で……。


「ドラゴンってもっとこう強い物だと思っていたよねー」

「主人が弱いと使い魔も弱いのかもね」

「まぁ見た目は珍しいから観賞用とか?」

「ああ、売り払うとか言ってたし餌だけ与えてるんじゃない」

「太らせてから売るって?」

「さすがにそれは酷いわー」


 シャルは何も言い返さない。

 雑音として聞き流しているのだろう。

 あ、でも眉の所がピクピクしていたので気にはしているようだ。


 シャルは俺を傷つけた事など無い。

 飢えさせる事も無い。

 俺を人と同じように思い、獣のように扱う事も無い。


 シャルは俺に何も求めない。

 俺もシャルに何も求めない。


 ご飯は食べさせて貰っているがな……。




◇◇◇




 最近授業で習った事で、寮の部屋に帰った後も自主的に練習してる事がある。

 念話(テレパシー)である。

 これが出来る事が使い魔の一つの目安になっている。

 これが出来れば一人前の主人と使い魔であると。

 難しい言葉のやり取りが出来るのはまれだ。

 ほとんどの場合がどう思っているかどう感じているか、などの簡単な感情が分かる程度らしい。

 慣れれば遠く離れていても思いが伝わるらしい。

 俺達は未だ一度も成功した事は無い。


「ねぇ、まだ会話を出来てないのかしら?」

念話(テレパシー)だろ?」

「強力な魔物(モンスター)なら人のように普通に話せるって聞いたけど?」

念話(テレパシー)も出来ないのに言葉は話せないだろ」

「ドラゴンが強力な魔物(モンスター)じゃ無かったら何がそうなんだろうな」


 周囲の雑音が煩い。


「ちゃんと主人の言う事を聞いてるのかしら」

「間違って襲われたら大変ね」

「いあいあ、返り討ちで素材をゲットだろ!」

「ああ、討伐できたら倒した人の物よね」

「むしろあんな弱い奴には主人の言う事を聞かずに襲って欲しいくらいだな」

 

 本当に襲ってやろうかと思ったがシャルに止められた。

 俺が話してる奴らを睨んで唸っていたようだ。

 一瞬、念話(テレパシー)が出来たのかと喜んでしまった自分を許せない。


 落ち込む俺をシャルは優しく撫でてくれただけだった。




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