表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
35/176

閑話 ご主人様は真っ赤5

 人によっては好ましくない表現があるかもしれません。

 この場面は飛ばしても問題ありません。



 私は身動きが取れなかった。

 黒い大きな体をもったそれに抑え付けられていたからだ。


「GYAUUU!!!」


 そいつは理性を失っていた。

 乱暴に私の体を扱った。

 だが傷つける為では無い。

 いや同じ事か私を……犯していた。


 何が起こったのだろう。

 前兆も何も無い、まったく急の事だった。

 気が付いたら私の使い魔は理性を失っていた。


 そしてこの行為に没頭している。


「落ち、着きなさ、い……」


 私は言葉を発するのも厳しかった。

 少し前と違い体の大きさは逆転していた。

 私のその小さな体では受け止めきれない。


「くぅ、お願い、もう止めて……」


 もう限界だった。

 体が引き裂かれそうだった。

 そして体がバラバラになる前に私は気を失った。


「……ャル!

 シャル、ごめん!

 お願いだ……。

 目を覚ましてくれ!!!」


 私はまだ生きているようだ。

 体は痛いがまだ五体満足で居られたようだ。


「……大丈夫、よ。まだ生きてる……から」

「シャルすまない! 俺気が付いたらこんな事してて……」


 今のドラゴンは先ほどとは打って変わって小さく感じられた。


「何が起きたか覚えてる?」

「自分の中の黒い感情を止められなかった。

 ただその本能のままに動いてしまった……」


 モンスターと人間の感情で揺れているのだろうか?

 今は落ち着いたのか、私の傷を治す為に薬を使ったようだった。

 辺りは血で汚れていた。

 私が初めてだったという事だけでは無い。

 体格の差があるのだ。

 大人と子供どころか種族すら違うのだ。

 だが今これを責めてはいけない。


「……次はもう少し優しくしなさいよ」

「シャル……ごめん、分かったよ……。

 優しく出来るように頑張るよ……」


 本当は次なんて御免だが今すぐに如何こう出来る物では無いと思えた。




「だからシャル様……シャル様もお優しくして頂けたら……」


 今回はこのエロドラゴンが途中で気付き、先に謝って来た。

 私に見られているという事にだ。


 いや違うのだろう。

 今までずっとこの使い魔は意図的に見せようとしていた節がある。

 こんな事を続けても仕方ない。

 今日はとことん話し合おう。


 それにしても素直じゃない。

 いやまだこの使い魔は怖いのかもしれない。

 嫌われるのが、恐れられるのが、離れられるのが。


「アンタは一体何をそんなに恐れているの?」

「……分からない、解らない、解らないんだ!」


 わからない……か。

 私の思いはまだ伝わっていないのか。


「落ち着いて。何がわからないのか言える?

 たくさんの事がわからないのなら一つずつでも良いわ。

 言える事だけ、何でも良いから話してみない?」


 使い魔は消え入るような声でポツポツと話し出した。


「食欲、が無いんだ……。

 眠くも無い……。

 性欲も興味はあるけど、そう言うのも無いんだ」

 

 ドラゴンは完成された種族。

 欲と言う物自体が乏しいというか必要が無いのかもしれない。


「感覚は鋭いんだよ。

 でも感覚は有っても何も感じないんだ!

 目も耳も肌も味も匂いだって全てわかる。

 だけどそれはどこか別の自分が感じている事であって、どこかとても遠くにあるみたいなんだよ!」


 もし私にドラゴンの感覚があったら狂ってしまうだろう。

 それ程鋭い物だと聞いた事がある。

 使い魔はそれゆえに感覚が逆に鈍く思えるのかもしれない。

 もしくはそんな感覚はドラゴンにとって重要ではないか……。

 人間だって重要じゃ無い所は鈍い物だからね。


「そう……それで何も感じなくなって、自分が何をしているか分からない。

 より強い感覚を求めて暴れるかもしれないのが怖いの?」


 使い魔は自分が暴れてしまうかも知れないという事が怖いのかもしれない。

 いや暴れても何も感じないのが怖いのか。


「それもあると思う……。

 でも一つだけ他の感覚と違って少しだけ感じれる物があるんだ……」

「それはどういった感覚?」

「痛みだけは他の感覚と違う。

 それもシャルから受ける痛みだけは何か違うんだ」


 そういう事か。

 それで私をわざと怒らせていたのか。

 同時に自分がしてしまうかもしれない事を警告しながら。


「それなら大丈夫。アンタは大丈夫よ!」

「大丈夫……?」

「私が叩いたり蹴ったりしたのが痛いのは威力があるからじゃない。

 アンタの事を思ってやっている事だからよ。

 そしてアンタはそれを感じている……だから痛いのよ!」


 そう私の思いは伝わっていた。

 大丈夫、わからない事なんて無い。


「俺は感じている?」

「そうよ、人間の心があるから分かる事よ?

 アンタは本当にドラゴンなのかしらね?」


 私は笑いながら言えたと思う。

 そして使い魔も笑っていたと思う。


「でも間違っている事もあるわ」


 だがここできつく言っておかねばならない事もある。


「空想物語の様に私は甘くない。

 私を襲ったら、殺して売り払うわ……安心して死になさい」

「りょ、了解!」


 ああ一応わかっていると思うけど確認もしておかないとね。


「でも私に従う事なんて無いのよ?

 気に食わなかったら逆に殺してくれて構わないわ」

「そんな事、絶対に無い!」

「主人と使い魔は対等よ。

 せめて私が間違っていたら注意くらいはしてよね」

「それくらいなら言えるさ!」

「ま、アンタは私に注意されないようにまずはならないとね」


 モンスターと言葉を交わす。

 人間同士でも難しい事が本当に可能なのだろうか。

 だが今はこれで良い。

 きっと分かり合えたはずだから。


 でもあれはないわー。

 ドラゴンと人間があんなのをするっていうのは……。

 でも人間同士とはまた違った感覚がするのだろうか?

 なれだろうか……今までなら恥ずかしくて死にそうになる事を真剣に考えていた。

 顔は赤かったかもしれない。

 でも今までの赤とはまた違った感覚がありそうだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ