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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第三十話 迷宮3

「どうしてよ! どうしてモンスターに遭遇しないのよ!」


 俺達は迷宮に籠って三時間。

 五階に到達した所だが、まだモンスターには遭遇していない。


「なんでだろ? キルシュは戦えたって言ってたのにな」


 そう、同じ条件のキルシュはすでにモンスターを倒している。

 それも大量に。


「……アンタが魔力の波動を抑えていないから、とか?」

「そんなのすぐにどうすれば良いかとか分からないよ!」


 レーレン先生の注意を覚えてはいたが……。

 キルシュが大丈夫だったから俺達も大丈夫と安易に考えてしまった。

 碌に訓練もせずにすぐ迷宮に挑んだのはやはり早計だったか。


「五階は前回の時に広範囲に渡って回ってしまったわ。

 キルシュがモンスターを倒しつくしてしまったのかもしれない。

 それにこの時期は五年生が本格的に迷宮を攻略している」


 五年生は学園の迷宮に籠る最後のチャンスだ。

 また卒業の課題に迷宮攻略みたいなのがあったような気がする。


「……奥に進みましょうか。

 ただ知能あるモンスターが群れで襲ってくる可能性があるわ。

 アンタも索敵には気を付けてよね!」

「了解!」


 二年生は迷宮の五階までしか進めないのが暗黙の了解だ。

 だがもうすぐ三年、それにシャルは強い。

 碌な武器も持っていないが何とかなるのだろうか。


「モンスターに遭遇したら、最悪戦わずに逃げても良いわ。

 とにかくモンスターと戦えるという事だけでも確認しましょう」


 それにシャルは無謀でも無い。

 今回は収益を諦め事実確認だけにするようだ。




◇◇◇




「ここで十七階よ。いつまで遭遇できないのかしら……」

「シャル、これ以上はヤバくないか?」


 俺達は未だにモンスターと遭遇していない。

 それにどんどん危険な可能性が上がっている。

 特に十階などはボスと遭遇しないか細心の注意で探索した。


「そうね、二十階に降りるのは止めましょう。

 十九階まで探索してそれでもモンスターと遭遇しなかったら……諦めるわ」

「だな、それにモンスターと遭遇せずに財宝だけを持ち帰る。

 これはこれで有りなような気もするしな!」


 普通はモンスターを倒し、魔石を採取して収益を得る。

 財宝は数が少なく、おまけというか副産物的な感じなのだ。

 だがここまでモンスターに遭遇しないのならそっちをメインに考えるという方法もある。

 これは今後どうするか考える必要があるかもな。

 そしてここで変化があった。


「……シャル、前方から気配がする。

 でもこれは人間だな、四人いる。

 どうする? 回り道するかこのまま進むか……」

「んー、会って話をしてみましょうか。

 モンスターの事を何か聞けるかも知れないわ」


 そのまましばらく進むと相手は学園に戻る途中なのかすぐに会う事になった。


「ん? 学園の生徒か。

 一人とは大胆だな、それに下級生か?」

「おいおい二年生って、こんな所まで来て大丈夫なのかよ」

「俺達が道中は綺麗に掃除したからな。

 モンスターが少なかったのかもしれんな」

「変わった使い魔を連れているようだが、こんな所まで来るのは無謀だな」


 上級生の男が四人。やはり体格は大きく、その装備も立派な物に見える。


「道中モンスターが少なく、こんな所まで来てしまいました。

 この先もモンスターは居ないのでしょうか?

 それならばご忠告通りあまり探索せずに戻ろうと思います」


 シャルは丁寧に説明した。

 モンスターが少なくと言ったのは、まったくだと怪しまれると思ったからかもしれない。

 こんな所で余計な面倒事は避けたいしな。


「俺達は学園での最後の探索でね。

 二十階のボスを倒そうとしたが会えなかった。

 まったくついてない事だ」


 ボスの発生周期は決まっていない。

 それこそ運に頼るしかないのだ。

 遭遇出来たとして運が良いか悪いかは何とも言えないが。


「地図で分かる道は俺達がモンスターを倒した。

 だが大人しく帰るのが得策だろうよ。

 こんな所から一人で無事に帰れるならだがな」

「なんなら俺達が外まで送ってやるか」

「ハハハッ、護衛の代金でも貰うってか?」

「そんなの払えるわけないだろ」


 どうやらここはたった一人(俺もいるが)で来る場所では無いようだ。

 そしてそれは自己責任なのだろう。

 年下の下級生を守りながら戻るつもりはこいつらには無いと思えた。


「そうですか、もうしばらく探索したら戻る事にします。

 ご忠告有難うございました」


 シャルもそれを感じ取ったのかこの感じの悪い上級生から早く離れようとした。


「おいおい待てよ。ここは頭下げて外まで送って下さいって頼む所だろうが!」

「礼儀のなっていない下級生だな」

「交渉次第で送ってやるっていってるんだよ」

「それともここがどれだけ危険か分かっていないのか?」


 分かっていないのはこいつらだろう。

 こんな所まで来るのにいったいどれだけ掛かると思っているんだ。

 授業がもうあまり無く、時間に余裕があるお前たちとは違う。

 連休の五日間でここまで来るのは普通不可能だ。

 それがここにいるって事は特別が何かがあるって気づきそうなものだがな……。


「いえ、お構いなく。自分の力でなんとかしてみます」


 シャルはもうこの場を立ち去る事にしてその場を離れた。

 だがこいつらはシャルを取り囲み、なおも話を続ける。


「まだ話は終わっていない。

 ……道中の荷物持ちをすれば安全に外まで送ってやるよ。

 後はそうだな、食事の準備くらいか。

 食糧はこっちが用意した物をお前も食べて良い。

 あくまで料理だけだ。

 女ならそれくらい出来るだろう?」


 言い方は気に入らないが、一応助けるつもりがあるのか。


「本当に大丈夫です。これで失礼しますね!」


 シャルは無理矢理にでもその場を離れようと歩き出した。


「良いから黙って言う事を聞け!」


 そこへ上級生の一人が剣を振り上げる。

 それをシャルは寸でのところで回避する。

 それだけではなくもう一人がシャルの後から剣を振るう。

 俺はそいつに目がけて体当たりでぶつかりシャルを守る。


「何をするの!?」


 だがそこまでだった。

 三人目が剣でシャルを叩き伏せた。


「キャッ!」

「おいおい、こんだけ動けるとか本当に二年生かよ!」

「その使い魔のドラゴンにも気を付けとけ!」

「……大丈夫だ、俺が抑えてる」


 俺は体当たりした奴に捕まれ身動きが取れないでいた。

 シャルは倒れたダメージからか立ち上がれず、更に上から抑え込まれる。

 そして俺と同じように身動きが取れない。


「……一体どうしようっていうの!?」

「大人しく言う事を聞いていれば良いんだよ。

 ……ただ俺達はボスに会えなくて少しイラついていただけさ」

「そうだ、機嫌が悪いんだよ」

「女なら慰めてくれるだろう?」

「それくらいはしてくれても良いかもな」


 ああ、そういう事か。

 まったく反吐が出る。


「そんな事するわけないでしょう!

 ……放しなさいよ!」

「言う事を聞けって言ってるだろ!」


 一人の上級生がシャルの腹の辺りを蹴り、迷宮の壁際へとシャルは吹き飛ばされた。

 小さな女の子だ、簡単に吹き飛ぶ。


「かはっ!」

「身の程を弁えろよな!」


 別の上級生がシャルの髪を掴み頭を壁に叩き付けた。


「おいおい、まだあんまり傷つけるなよ!

 お楽しみはこれからだろう?」


 下卑た笑いを上げながら男達は醜い顔を愉悦に歪めている。

 俺は動けなかった。

 多少の力はあるとはいえこの小さな体では体格が違いすぎる。

 またシャルの方は魔法を使うに使えなかった。

 上級生達はアンチマジックフィールドのような物を互いに使っていた。

 そして魔法が使えない状態をこの場に作り出していた。


『……アンタは隙を見て逃げなさい。

 用があるのは私だけよ、きっと隙が出来るわ』

『そんな事出来る訳無いだろう!』

『このままではいずれ私達は殺されるわ。

 こんな事が外に知れたらただでは済まないもの。

 そして私はしばらくは生かされる。

 アンタだけが頼りなのよ!』


 この場に俺を拘束する都合の良い物は無い。

 上級生の一人が俺を抑えているだけだ。

 隙を見て逃げ出すという事は可能かもしれない。

 だがその後はどうなる?

 外へ出て助けを呼び戻って来たとしてどれだけの時間が掛かると思っているんだ。

 たとえそれが出来たとしてもシャルはそれまで生きては居まい。

 上級生達を罰するにしてもモンスターの俺の証言だけで信用されるのか?

 迷宮で起きた事に証拠なんて残るはずもないし、消す事だって簡単だ。

 例えば全てが上手く行ったとしよう。

 上級生達が考えるよりも早く俺が戻って来て、シャルがまだ生きていたとしよう。

 それでもシャルは無事では無い。

 痛めつけられ、辱められ一生治らない傷が残るに決まっている!


 俺は考えながらも上級生を何とか振りほどこうと暴れる事を止めなかった。


「くそ、お前も大人しくしろ!」

「何やってるんだ!」

「使い魔が暴れるんだよ!」

「はぁ、こいつも馬鹿か。

 お前が暴れたらご主人様がどうなるか分かってないようだな!」

「キャァ!」


 そういって上級生はシャルを壁に叩き付ける。

 シャルの頭からは血が流れていた。

 俺が覚えているのここまでだった。




◇◇◇




「GYAUUU!!!」


 ドラゴンの口からは今まで発した事の無いモンスターの声が叫ばれていた。

 そしてその目は今までのつぶらな瞳では無く、鋭く見開かれ血走っていた。


「ぎゃああああ!」


 押さえつけていた上級生の腕を咬み千切った。

 その傷口を上級生はもう片方の手で押さえ悲鳴を上げる。

 次はその上級生の首の肉を咬み千切る。

 傷ついた腕を構う事無く、ドラゴンを両手で引き剥がそうとするがもう遅い。

 上級生は地面に倒れ、その周りに血が広がった。

 しばらく動いていたがやがて動かなくなって……死んだ。


「何しやがる!」


 二人目の上級生が剣を抜き、ドラゴンを叩き斬った。

 だが剣はドラゴンよりも脆く、刃が欠けただけだった。

 ドラゴンは二人目も首の肉を咬み千切り……殺した。


「くそが、何だっていうんだ!」


 三人目は魔術で攻撃してきた。

 魔法の使えない状態はなぜか解除されていた。

 何人か死んだせいかどうかは分からない。

 その魔術は当たらない方が多かったが当たった魔術も一つや二つでは無かった。

 地の魔術、アースアローが何本も俺に命中した。

 だがアンチマジックフィールドを使うまでも無い。

 俺にはそんなもの効かなかった。


 信じられないという顔をしている三人目を襲う。

 そいつは首元を腕で守って来た。

 だがその腕を手を指を咬み千切っていく。

 やがて三人目は守る腕が無くなった。

 そして最後に首の肉を咬み千切った……嬲り殺しだった。


「た、助けてくれ!」


 四人目はもう戦う勇気が無いのか腰を抜かし地を這いつくばっていた。

 それはただの醜い肉の塊だった。

 そこでドラゴンは何かを思い出したかのように止まった。

 そして四人目の足を咬み千切った。

 いや喰い千切って飲み込んだ。

 食べるという事を思い出したのだった。

 次は腕を喰い、腹を喰い裂き、内臓を喰い散らかす。


 この四人目は不幸だった。

 白の治癒属性だったのだろうか、自らを治していた。

 そして治した場所もドラゴンに喰われる。

 四人目は悲鳴を上げながら、それでも必死に魔術で自らを治す。

 また喰われるだけだがそれでも止める事は出来ないだろう。


 四人目の魔力が尽きるまでそれは続くかに思われた。


『もう止めなさい!』


 シャルがドラゴンを後ろから抱きしめた。

 だがドラゴンはその口を押えている腕を咬み千切った。


『んーーー! も……う、大丈夫だか、ら』


 シャルは痛みに耐えながらドラゴンを抑えていた。

 シャルの腕から血が流れる。

 これまで上級生達から受けたどの傷よりもそれは酷かった。




 それでも()は止まらない。

 その小さな体を最大限に使いながら俺は暴れる。


『大丈夫だよ……私は怖くないよ!』


 誰も止める事が出来ない()が何を恐れると言うのだろうか。

 シャルだけはそれが分かったのかもしれない。

 俺は動きを止め答える。


『……れは……俺はシャルを傷つけた……』

『助けようとしてくれたんでしょう?』

『違う! 俺は何も考えていない!

 ただ目の前のモノを壊そうと、襲おうとしただけだ!』

『それでも私を助けてくれた』

『そうじゃない、俺はモンスターなんだ……。

 どうしようもなくモンスターなんだよ。

 この事実からは逃れられない!』


 俺はまだドラゴンになる前、人間だった時の事だ。

 些細な事で怒り、とっさに振り上げだ手で周りの者を傷つけてしまった。

 一瞬だ、その時は一瞬の事だったが俺は我を忘れていた。

 傷は対した事の無い物だった。

 だが俺は自分が自分で無くなった事が怖かった。

 それこそ化け(モンスター)になってしまったのかと。

 そして俺は引き籠り……現実から逃げ出した。

 でも逃げ出せなかった。

 異世界に来て本物のモンスターになったとしてもだ。


『……でも心だけは人間でありたいと思った。

 それがこの結果だよ!

 俺は人を傷つけ喰らうモンスターなんだよ!』


 そこで俺は人を喰らった事を思い出し嘔吐した。

 それでもシャルは俺を放さない。


『それでも……人を傷つけても人でありたかったんでしょう?

 自らの行いを恥じ、そして恐れられると思った。

 だから正気を取り戻してすぐに……私から逃げようとした』


 俺は怖かった。

 こんな事をしてしまう自分自身が。

 ……そしてシャルに、人にモンスターだと思われるのが怖かった。


『大丈夫、こんな傷すぐに治るわ。

 それに使い魔と主人がお互いを恐れると思う?

 私はアンタの事なんて全然怖くないわよ!』

『俺は怖い。自分もシャルも人も……全てが怖い』

『そうね……本当の事を言うと私も怖かった。

 上級生に囲まれていきなり襲われて怖かった。

 ……だけどアンタが助けてくれた。

 アンタが居てくれたから恐怖なんて吹き飛んでいったわ』


 シャルにも怖いって思う事があるのか……。


『でも俺はシャルを傷つけた……』

『言ったでしょ、すぐ治るって!

 失敗しない人間なんて居ない……ドラゴンは失敗しないのかもしれないけどね』


 シャルは冗談のように軽い口調で言う。

 実際冗談なのだろう、釣られて気分も晴れてくる気がする。


『でもアンタは失敗した。

 それはアンタが人間(・・)らしいって事じゃない?

 失敗したら私が何とかしてあげるし、暴れたら止めてあげる。

 逆にアンタも同じ事をすれば良い。

 私が危なかったら助けるし、失敗したら何とかしてくれるんでしょう?』


 俺はシャルといつの間にか目を合わせていた。

 そして思い出す。

 俺はずっと前からシャルを助けると決めていたと。


『それに傷つける事は時に必要なのよ……。

 それが当事者に関係がある時もあるし……無い時もある』


 こいつらには生きている価値は無いだろう。

 ならどうするかだ。

 そこには四人目が嗚咽のような声を上げながら横たわっていた。

 もう魔力が尽きて傷を治せないのだろう。

 そしてこのままではすぐに死んでしまいそうだった。

 その四人目の首元にシャルは氷の魔術で作り上げた剣、アイスソードを突き付けた。


『私の力だけでは足りなさそうね……手を貸してくれるかしら?』

『ああ、了解だ……』


「た、頼む! 俺が悪かった! た、助けてくれ!」


 四人目は今更無駄だと言うのが分からないのか命乞いをしていた。

 構わずに俺とシャルはアイスソードに力を入れた。


「「そう かんけいないね」」


 シャルは自分に責任があると思っているのだろう。

 迷宮の探索を強行してしまった事をきっと悔いている。

 そして俺は危険があると分かっていたのに安易にそれを了承した。

 守る力も無いのにだ……俺はそれを悔いていた。


 俺達はこの事を忘れない。

 もしかしたらこの安易な行動が上級生達を悲しい結果に導いたのかもしれない事を。

 薄暗い路地裏に警戒する事も無く入り込む。

 襲われるに決まっているじゃないか。

 それが迷宮と言われる場所なら尚更だ。


 俺達はその手に忘れない思いを刻んだ。

 自らを傷つける事で……。




◇◇◇




 レーレン先生への迷宮探索の報告は十階まで行ったという事にした。

 本当の事を話しても、もう誰も得をしない。

 傷の事もあり珍しく小言を言われたが。

 傷は学園専属の治癒魔術師に治して貰った。

 マルメラ、知り合いには……今は頼みづらかった。

 幸い傷は浅く、しばらく安静にするだけで良かった。


 そして寮へと帰りすぐに休んだ。

 シャルは無理な治癒での疲労よりも精神的な疲労が濃いようだった。

 俺も疲れていた。

 体は何とも無いはずだが精神的に疲れているのだろうか。


 シャルに抱かれ俺はベッドで眠る。


「疲れたわね」

「ああ」

「ドラゴンでも疲れるのね」

「そうみたいだよ」

「それとも人間の心があるからかしら?」

「そうだと……良いな……」

「そうね、私が人の心を教えてあげるわ……」

「じゃあ、俺はモンスターの心を教えるよ」

「そんなの、教えなくて良いわよ……

 もう、本当に疲れる……わね……」

「ああ、そう……だな……」


 俺達は微睡の中にいつの間にか沈んだ。

 痛みも何も感じない俺がその暖かさだけはハッキリ感じながら。


 目覚めた時その暖かさは小さくなっていた。

 包み込まれるようなそれが今は俺の腕の中に納まるほどしかない。

 シャルに抱かれいた俺はいつの間にかシャルを抱いていた(・・・・・)。


「……どうなっているのよ」

「俺にもわからない……」


俺は今までよりも大きくそしてより黒くて鋼のように硬くなっていた。


「なんでそんなに、その……おおきいの?」

「いつの間にか大人になっちゃったのかな?」


 ベッドには赤い染みが付いていた。

 俺達は二人で大人へのステップを……。


「急に大きくなるから傷が開いちゃったじゃない!」

「ごめんって! いつの間にか成体になってたんだよ!」


 そんな訳無かった。

 いやそんな訳あったのか。

 俺は体が大きく、二メートル近くあるんじゃないだろうか、これは。

 シャルを逆に抱き抱えれる程に俺は大きくなっていた。

 シャルは傷を包帯やガーゼのような物で塞ぎながら言う。


「はぁ……まったくもう急なんだから!

 んー、でもこういう時はおめでとうっていうのかしら?」

「ありがとう?」

「なんで疑問形なのよ……まぁ良いわ。

 今日は……お赤飯かしら?」

「やめて! なんか恥ずかしいから本当にやめて!」


 異世界でも赤飯とかあるのかよ!

 ご飯とか見た事ねぇぞ!

 それとも異世界の風習がどこかから伝わったのか?

 そんな事よりも他に考える事があるだろうに。


 シャルは今まで見た事の無いくらいの笑顔で笑っていた。

 それ以上に大切な事なんて……この世界には無い。




◇◇◇




 そしてその日はシャルの手によって豪勢な食事が用意された……。


「だから肉は食べれないって……」


 でも肉はやっぱり食べれなかった。

 しかし出来るようになった事の方が多い。


 俺はこの日よりドラゴンの成体として生きていく。

 そして今まで以上の困難に見舞われるのだろう。

 だがそれを乗り越える力はもう手に入れた……はずだ!




 ねんがんの アイスソード(ドラゴンの力)をてにいれたぞ!


 第一章はあと一話、閑話を挟んで終わりになります。


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