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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第二十七話 授業6

本日二回目の投稿です。



 場所は学園実習棟。

 一階しか無い建物でさらに屋根までない。

 中は少し広めの部屋がいくつも並んでいる。

 屋内での戦闘を訓練する為の場所だ。

 きちんとした数階建ての建物もあるが、今回はここで授業を受ける事になる。


「中には私が作り出した人型の土で出来た人形が置いてある。

 人形だけを素早く魔法で破壊し部屋の中を制圧する訓練だ。

 建物や周りに被害を出さないよう注意するように」


 講師はベアイレ先生とレーレン先生だ。

 遠征で生徒達が何人も亡くなってしまい全ての授業がクラス関係なく合同で行われている。


「部屋の中には私が人質役という事で伏せている。

 人形と間違って攻撃しないようお願いするよ」

「レーレン先生は死んでも大丈夫だがよく注意するように!」


 生徒達から笑いが起こる。

 いや本当に死んでも大丈夫だからね!

 適役という事だろう。

 もちろん殺す気なんてみんな無いからな?


 初めはケーゼからだった。

 これでも優秀で今では二年生達の中心人物と言っても良いだろう。

 他の生徒達は建物より高い場所で待機しており、また屋根が無いため中が見渡せる。

 ケーゼは入口のすぐ横に待機しておりその位置からでは中は確認できないだろう。

 人形と人質役の場所は毎回変更される。

 突入の一瞬で中を確認し制圧しなければならないという事だ。


「ではケーゼ君、突入しなさい!」


 ケーゼはまず入口から確認できる人形をウィンドアローで破壊した。

 次は部屋の中に入り、死角だった場所を確認する。


「フン! 楽勝だ」


 ケーゼは気取った感じで髪をかき上げる。


「人質役の確認はしましたか?

 それに魔術が強すぎたせいで周囲に被害が出ていますよ」

「痛たたた」


 人形を突き抜けた魔術が壁を壊しその破片が人質役にあたってしまっていた。


「ですが魔術は正確に当たっていますし、それ程の被害でも無い。

 まずまずと言った所でしょうか」


 次はAクラスでケーゼの取り巻きといった感じの生徒達が続いた。

 本来ならシャルも取り巻きの一人になるのが普通だったのだろうか。


「もう少し正確に狙うように!」


 狙いは少しずれていたがケーゼよりはうまく立ち回っているように見える。

 その後も生徒達は続けていく。


「キルシュ君は剣なのです。

 魔術以上の速さで動かなければ意味がありませんよ!」

「ショコラ君は炎の扱いが素晴らしいですね。後は速さがあれば尚良かった」

「マルメラ君は弓ですが魔法以上に上手く扱いますね」

「シャル君は威力が足りません。ただ速さは一番ですね」

「そして君は……」


 なぜか俺も参加していた。

 そしてその結果は酷い有様だった。


「モンスターらしいとも言えますが……お粗末な結果ですね」


 部屋全体が燃えてしまっていた。

 そうだよね、屋内で火とか使ったらこうなるよね!


「死ぬかと思ったよ……」


 レーレン先生は丸焼けになる所だった。


「シャル君、使い魔の責任は君にもあります。

 きちんと消火しておくように!」

「……はい」


 シャルは得意の水の魔法で火を消していた。

 その間、俺はシャルの足によって踏みつけられていた。


「属性の相性が悪いと思っていたけれど違ったようね!」


 最後には蹴飛ばされる。

 良いとこ見せようとして調子に乗った結果だった。

 本当にすいませんでした!


 その後も同じような訓練が続く。

 よく考えてみれば遠距離魔術が得意でない者は武器を使用していた。

 俺もそうするべきだったかもしれない。

 武器なんて持てないがな!

 炎だとどうしても時間が掛かる。

 焼くよりも斬ったり突いたりの方が速いからだ。

 俺の場合は咬みついたり爪で斬り裂く方が良いのかもしれない。

 でも人間や魔物に咬みつくとかちょっと抵抗あるが。

 これはこれからの課題として残った。




◇◇◇




「レーレン先生すいませんでした」

「いやいや全然大丈夫だよ。

 気にしなくて良いからね。

 初めはみんなこんなものだよ!」


 レーレン先生は軽い火傷を負っていたが魔術ですぐに治していた。

 火傷以外にも魔術の余波で結構傷ついたようだがすぐに治してしまう。


「私より……凄い……」

「一応先生なんだよー、今度教わってみるのも良いんだよー」

「一応っていうのは失礼でしょう。

 あと教わるにしても属性が合うのかしら?」


 女性陣が興味を持ったようだ。

 レーレン先生は凄いんだぞ。

 死んでも生き返るんだぞ?

 言っても信じて貰えないだろうから言わないけど。


「魔法でも出来る事は出来るのだが負荷が掛かりすぎる。

 普通に自然治癒した方がよっぽどましだよ。

 だから白の治癒属性で無いとこの魔術は使えないね」

「私は……白……」


 マルメラが答える。


「そうだったね。では今度教えてあげるよ。

 授業中は無理かもしれないが、時間のある時ならいつでもね!」


 まったくもって教師の鑑だな。

 だが別の何か如何わしい事をするのでは無いかと考えてしまう。

 俺は心が病んでいるのだろうか。


「あの別の件で私達に教えて欲しい事があるのですが」

「何だい?」


 な、複数でだと!?

 落ち着け、これは全然別件だ。


「迷宮でモンスターに遭遇しないのです。

 誰も通っていない場所に行っても財宝はあるのですがモンスターに遭遇しません」

「迷宮はむしろモンスターに遭遇しすぎて困るという相談が多いのだが……。

 ふーむ、いくつか考えられるが少し待って欲しい。

 普通ではあり得ない事だからきちんと確認してから話すよ」

「はい、分かりました。宜しくお願いします」


 迷宮攻略はもう少しだけ先になりそうだな。




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