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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第二十六話 迷宮2

今日は二話分更新予定です。

次は二十時になると思います。


「準備は良い? 行くわよ!!」


 またいつになくシャルは気合が入っていた。

 今度こそ必ずや儲けて見せると。


「目標は五階ね。

 普通なら二日もあれば往復できるはずよ。

 でも今回はモンスターを多く狩るのが目的。

 だから休日の五日間ずっと籠るわ」


 学園の休日は変わって? いる。

 十日間授業がありその後五日間休日になる。

 このサイクルが二回で一ヶ月だ。

 遠征などの日数が掛かる授業が多くなり、また休日に迷宮に籠りやすくする為だ。

 お金が厳しい生徒はシャル以外にも結構いるようだ。


「今回こそ、僕の実力を見せてあげるよ!」

「ええ、十分に期待してるわ!

 大量のモンスターを狩って魔石を大量に取るのよ!」

「私も魔石……お金が欲しい……」


 マルメラは新しいジャムを作る為の研究資金が欲しいそうだ。


「それじゃあ行くんだよー」


 ショコラもなぜかやる気だ。

 ただ面白そうだからと言う理由らしい。


 今回も地図がある。

 生徒達が迷宮に入った際、道中の地図や倒したモンスター、そして入手した財宝を報告する事になっている。

 入手した魔石や財宝は学園の業者が買い取ってくれる。

 ただ相場は少し安いらしいが。

 学園外で売っても良いがそれは自己責任だ。


 俺はキルシュの使い魔のお陰で荷物を持たなくて済んだ。

 それほどきつい事にはなりそうに無いな。




◇◇◇




「……今何階だったかしら?」

「五階だね」

「軽く十時間以上掛かるはずなんだよー」

「また……楽勝……」


 今は入ってから三時間も立っていない。

 大体階層と同じ時間、一階なら一時間、二階なら二時間というのが目安になるらしい。

 普通なら五階まで十五時間ほど掛かるという事だ。

 ここまで速いのは地図があった事とモンスターに遭遇していないからだ。

 またしても……だ!


「これあきらかにおかしいわよね。

 ……誰か呪われてるんじゃないかしら?

 キルシュ心当たり無い?」

「僕!? 確かにモンスターを倒したいとは思っているけど……。

 遭遇しないのは関係ないと思う……」


 キルシュもなんだか歯切れが悪い。

 一度ならず二度もこんな事が続いていたらなおさらだ。


「地図がある場所だからー、誰か別の人が倒したとかー」

「それは……あるかも……」

「確かにそうね。

 少し危ないかもしれないけど地図が埋まっていない場所を探索してみましょうか」


 シャル達は相談してそう決めた。

 地図が埋まってないとはいえ同じ五階を探索する事にした。

 これ以上先の階は二年生で行くのは暗黙の了解で禁じられている。

 三年生で十階、四年生で十五階、五年生で二十階と言う風にだ。

 ただ十階以降にはあまり生徒達は行かない。

 十階には特殊なモンスター、ボスと呼ばれる存在が出現する事があり危険なのだ。

 ただ一度倒されてしまえばしばらくは出現しない。

 出現が決まっているのは復活祭の時に迷宮が変更される……その時だけだ。

 時間的な事もあり授業があまり無い五年生以外は、まず行かないという事だ。

 階層は進むごとにモンスターも強くなるしな。




◇◇◇




「ねぇ、気味が悪いのだけど」

「敵……いない……」


 その後丸一日ほど探索したがモンスターと出会う事は無かった。

 今は後退で見張りをしながら休息を取っている所だ。

 俺、シャル、マルメラ組とキルシュ、ショコラ、使い魔のトルテ組の二班に分かれた。


「一応宝箱からいくつか財宝を手に入れられたから良いんだけどね」

「高い物では……なさそう……」


 迷宮には宝箱が出現する。

 これもボスと同じような感じで出現するがどの階層からも出現する。

 この宝箱がある事からも他者がモンスターを倒してしまったとは考えにくい。


「こうなったら宝箱全てを開けるくらいの勢いで迷宮を回ってやるわ!」

「目が……金貨になってる……」




◇◇◇




 結局またしても最後までモンスターを遭遇する事は無かった。

 だがその手には前回と違い大量の財宝があった。

 財宝と言ってもあまり価値のなさそうな剣や槍、防具だが。


「これはまた大量に取って来たもんだね!

 二年生でこれ程持ってきたのは初めてだよ!」


 買取の業者さんが驚いていた。


「んー、あまり階層の深い所の物ではなさそうだね。

 どれもただの鉄くず同然だ。

 このまま使う人はまず居ないだろうね」

「そうなのですか。買取はして貰えないのでしょうか?」

「だけど、今は武器防具が人気商品でね。

 このままでは使えないがそれを作る材料として買い取らせて貰うよ」

「それで魔石は無いのかね?

 今は魔石が高騰しているから高く買い取らせて貰うよ?」

「いえ、それしかないのです」

「これだけ大量にあって魔石が無い?

 モンスターを倒したら魔石を取った方が良いよ。

 まぁ命あっての物種だ。無理にとは言えないがね」


 買い取り価格は総額五万ギルだった。

 それを四人で割って一人あたり……一万二千五百ギル。

 かなり稼いだと言えるだろう。

 この収入を加えてもまだ剣は買えそうにないがな。


「結構稼げたわね」

「僕は遠征と同じでまた戦えなかったよ……」

「宝箱をいっぱい開けたんだよー、結構楽しかったんだよー」

「収入……あって良かった……」


 俺はマルメラと同意見だ。

 収入が無かったらシャルがどんだけ暴れるか分かったもんじゃなかったからな。




◇◇◇




「これは凄いね。この短期間で探索したとは思えないほどの地図だね。

 さすが私の生徒だ。その探索速度を誇って良いよ!」


 ベアイレ先生はいつも通り速さを褒めてくれた。


「それでベアイレ先生、ご相談があるのですが……」

「なんだい?」

「五日も迷宮を探索したのにモンスターに一度も会わなかったんです。

 こんな事はあり得ないと思うのですがどうしてでしょうか?」

「んー、それは確かにおかしいね。

 原因については此方でも調べてみよう。

 だが対策ならある!

 迷宮にモンスターが居なくなった訳では無い。

 ならその場に居なくなる前に行けば良いのだよ」

「つまり?」


 もう答えは分かっている。いつも通りだ。


「つまり速さが足りない! より速さを極めれば良いだけの事さ」


 ……聞く相手を間違えたようだ。

 間違った答えでは無いのだがベアイレ先生以外には難しい回答だった。

 遠征中の頼り甲斐のある先生はどこへ行ってしまったのだろうか……。




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