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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第十六話 授業5

本日二回目の投稿です。



「アンタ……分かっているわね!」

「はい! 必ずやものにして見せます!」


 俺は珍しくシャルに期待されていた。

 ある魔法を必ず習得するように厳命されて。


「この前も言ったけどあまりお勧めはしないよ」

「俺は必ず使えるようにならないといけないんだ!」

「まぁそこまで言うのなら一応説明するね」


 俺はキルシュに収納(マジックボックス)を必ず教わらねばならない。


「自分にとって都合の良い空間を魔力で作り出すんだ。

 ここではないどこかにね。

 まずはそれがイメージできるかどうかだね。

 これが中々難しくてね、見当もつかないって人が多いんだよ。

 ……君はドラゴンだから別なのかな?」


 俺はここではないどこかを想像する事は簡単だった。

 なんといっても異世界って奴を知っているのだから。


「それは多分大丈夫だと思う」

「普通は作った空間を維持し入口を閉じたり開いたりして移動させるんだけど……。

 君は魔術が使えないよね?

 そうなると維持するのにずっと魔力を出し続ける事になるね。

 そして入り口を閉じるのにも開くのにも魔力を使う。

 毎回その空間との入口を新たに作るんだ。

 そうすれば移動が出来なくても大丈夫なはずだよ」

「ずっと魔力を出し続けるって大変なんじゃ?」

「そうだね、魔術を使える僕でさえ剣を数本入れておく空間を作り出すだけで精いっぱいだよ。

 魔術で維持するのと魔法で無理矢理作り続けるのでは魔力の使用量も全然違うからね。

 普通の人間には無理だと思うよ」

「……取り敢えず試してみるよ」


 俺は普通の人間よりは魔力が多いらしい。

 やってできない事は無いはずだ。


 俺は魔力を使い空間を作り出す。

 これは成功だ、ただその空間はとても小さいがな。

 そしてその空間を作り続ける。

 俺の体から魔力がずっと減っていっているのが感じ取れた。

 だが俺は自分の魔力の底を知らない。

 人間なら疲労し魔力が出せなくなるらしい。

 俺は疲労すら感じたことが無い。

 その空間への入口を作り出す、これも成功した。


「……凄いね。

 後は中に何か入れて閉じてみるんだ」


 キルシュがポケットから銅貨を取り出した。

 これを入れてみろという事だろう。

 俺は銅貨を入口から空間へ入れ、それを閉じた。

 そして少し移動してから改めて入口を作り出し、銅貨を取り出して見せた。


「成功だね!

 あとは魔力がいつまで続くかとどれだけ空間を広げれるかだね」

「多分いつまででも作り続けれると思う。

 空間を広げるのはまた新たに作らないとだな」


 俺はもっと大きな空間を作り出してみようとする。

 魔法で威力を上げるには使用前に魔力を貯める、そしてそれを解放する感じだったな。

 先ほどの倍ほどの空間を作り出す事には成功した。

 だがその空間はガラスが割れるようにすぐに消えてしまった。


「駄目か……。

 魔力を貯めて大きな空間を作る事は出来る。

 だがそれと同じ魔力を出し続ける事が出来ない。

 だから空間がすぐに消えてしまう」

「貯めずにすぐに魔力を出せる量があまり多くないようだね。

 今出せる量に合わせた空間を作る事だね。

 今後……体が成長すればもっと大きな空間を作れるようになるかもしれないね!」


 その後も何度か試し、俺の作れる空間の限界の大きさが分かった。

 丁度、今の俺の体と同じくらいの空間ならずっと作り続ける事が出来そうだった。


「ドラゴン君は初めて見た時から全然大きさが変わらないね。

 ドラゴンって体の成長が遅いのかな?」


 もし魔力の放出量と体の大きさがイコールなら絶望的だな。

 そんな事は無いと信じたい……。




◇◇◇




「使えるようになったの!?

 でも体の大きさくらいの空間しかダメだった?

 そんなの全然問題じゃないわ!

 別の魔法を同時に使うのには問題は無いのね!

 凄い、凄いじゃない!!!」


 シャルは思いっきり喜んで俺を褒めてくれた。

 俺は高く持ち上げられ、シャルはそのままクルクル回ってベッドに倒れこんだ。


「魔力の量なんて成長すれば勝手に増えるわよ!

 ドラゴンって山よりも大きくなるんでしょう?

 もしそれだけの量が入れば凄いじゃない!!!」


 確かにドラゴンの両親はそれくらい大きかった。

 だがシャルには時間があまりないはずだ。

 期限は四年を切っている。

 それまでに俺が成長するとはとても思えなかった。

 だがそんな心配よりも先にもっと心配する事があった。


「やっぱり……肉よね。

 好き嫌いせず肉を食べましょうか!!!」


 俺は未だに肉が食べられないのだった……。 




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