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ご主人様は真っ黒  作者: pinfu
第一章 幼生
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第十五話 迷宮

今日は二話分更新予定です。

次は二十時になると思います。



「準備は良い? 行くわよ!」


 シャルはいつになく張り切っていた。

 そしてその目は真剣だ……金貨のマークになっているが。

 それもそのはずついに迷宮へと出発するのだ。

 シャルがこの学園での目標はお金儲けなのだから当たり前ではある。


「今回は初の迷宮だしお試しで三階までだからな。

 そんな力まなくても……」

「何言ってるの!

 これからの事を決める大事な初陣よ!

 完璧に攻略するんだからね!」


 完璧って……。

 三階にあらかじめ待機している先輩学生から到達証明を貰うだけなんだがな。

 そこまでの地図もあり迷う事も無いので楽勝のはずだ。


「君達なら余裕だろうが油断はしないようにね。

 それでは頑張ってくるんだよ」


 ベアイレ先生が入口で見送ってくれる。

 初めてという事もあり迷宮内には複数の人数で行く事になった。

 俺、シャル、キルシュ、キルシュの使い魔、マルメラ、ショコラである。

 まぁいつもの知り合いばかりだ。


「前衛はキルシュと騎竜でお願いね。

 その後にマルメラとショコラ。

 最後尾は私とアンタよ!」

「了解だ。

 僕とトルテに任せてくれ!」


 騎竜の名前はトルテというらしい……今初めて知ったとは言えないな。


「了解だよー」

「出番……無いと良い……」

「俺のブレスが火を噴くぜ!」


 やる気に差はあるが皆揃って迷宮内を進んでいく。

 

「アンタは周囲の警戒だけで良いのよ」

「え!? 俺の魔法は中々の物だと……」

「炎の中を進むのは遠慮したいわ。

 それに私は氷属性なのよ?

 ……相性は最悪ね!」


 主人と使い魔なのに相性が最悪って……。

 言われてみれば確かにそうだが。


「ははは、君達の出番は無いよ!

 僕とトルテで十分だろう」

「そういえばキルシュとトルテの属性って何なんだ?」


 マルメラは白の治癒属性。

 ショコラは赤の炎属性だったはずだ。

 俺はキルシュ達の属性をまだ知らなかった。


「トルテは黄の地属性だね。

 大地を味方に付け疾風の如く駆ける事ができるんだよ」


 いあ地属性で疾風? とか言われても。


「そして僕は黒……時空属性さ!

 黒は珍しいんだよ!」


 本当に珍しいのかよ!

 まさかの被りだよ!


「俺も黒だし……キルシュは時空の魔法って何か使えるのか?」

「今使える魔術は収納(マジックボックス)くらいだね」


 便利そうなのを使えるじゃないか!


「今度その魔法を教えてくれないか!」

「んー、魔法だと現実的に収納(マジックボックス)は使うのは厳しいと思うよ。

 それでも良いのなら今度教えてあげよう。

 シャルさんには剣の相手をして貰っているしそのお礼も兼ねてね!」

「アンタ達いい加減にしなさいよね!

 油断しないでよ!

 そしてアンタは後方の警戒だっていってるでしょう!!!」


 指示を忘れて前衛のキルシュの隣にいた俺に容赦のない拳が振って来た。

 ドラゴンの皮膚は大抵の攻撃からダメージを受けない。

 なのにシャルの鉄拳はとんでもなく痛い。

 一体シャルの皮膚は何で出来ているんだ?




◇◇◇




 迷宮内を警戒しながら進む。

 その通路は広く全員が横一列に並んでも余裕があった。

 高さも十メートル以上あり本当に地下なのかも信じられなくなる。

 そして周囲は驚くほど明るい。

 証明など無いのにだ。

 迷宮の壁や床、天井自体が光を帯びているかのようだ。


「学園の地下にこんな迷宮があるなんて未だに信じられないなー」

「何言ってるの違うわよ。

 入口は確かに学園の地下かもしれないけどここはどこか別の空間。

 厳密には学園の地下とは言えないのよ。

 授業で習ってでしょうが……」


 そうだった。

 迷宮自体が魔力を帯びており、明らかにおかしい構造になっていたんだった。

 迷宮の深い階層には森や湖、そして空に太陽すらあるらしい。

 摩訶不思議ファンタジーワールドだった。


「普通ならもう魔物(モンスター)に襲われてるはずなんだよー」

「出なくて……いいから……」


 確かに少しおかしい。

 迷宮は浅い階層とはいえもっと魔物が出ると聞いていた。

 深ければ深いほど強力な魔物と価値のある宝がある。

 だが浅い階層と魔物の出現数自体はほとんど差が無いと。


 そしてそれはその後すぐに現れた。


「待って! 前方に何かいるぞ!」


 俺はそう叫んだ。


「やぁ、二年生Eクラスの生徒達かな?

 無事三階の目的地までたどり着けたようだね。

 これが証明の証だよ!」


 そう言って小さな魔石を俺達に差し出した。

 先輩学生がだ。


「どうやら僕達は魔物に会わずにここまできてしまったようだね」

「まぁこんな事もあるのかもだよー」

「楽で……良い……」


 そして帰りの道中でも魔物に会う事は無かった。




◇◇◇




「さすがだね。

 まさかこんなに速く戻ってくるとは!」


 戻って来た俺達をベアイレ先生はべた褒めだった。

 シャルだけは魔物から魔石を取れず儲からなかった事で不貞腐れていたが。


「あまり有意義な物では無かったわ……」

「また今度来ればいいじゃないか!」

「そうね、今度は一人で来る事にするわ」

「さすがシャル! 強気だね。

 シャルならきっと一人でも攻略できる。

 ……頑張ってね!」

「アンタも一緒に決まってるでしょうが!」


 適当な感じで答えてたら殴られた。

 きっと儲からなかった事の八つ当たりだな……。




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