第四話 『世界最強』でも恋する乙女
特攻まで、あと一週間。『上総』の乗組員は今日もまた、忙しそうに物資を載せていた。
そんな光景を見ながら、上総は申し訳なさそうな笑顔を作りながら言った。
『みんななんかごめんね。少しは休んでね?』
そう心配する上総の顔は、どこかお姉さんのようだった。すると、後ろから一人の青年が上総に近づいてきた。そして…
『上総見っけ!』
『うにゃ!?ち、ちょっと驚かさないでよ康太!びっくりするじゃない!』
『あはは、少しはその鈍感直した方がいいんじゃねぇのか?ってか、いつも一人とか寂しいやつだな』
『余計なお世話だよ!ってか、康太なんでここにいるの!?仕事やらないでいいの?』
『なーに言ってんだよ。休憩だよ。休憩取らないと死ぬわ!』
『……またサボりじゃないの?』
『サボりちゃうわ!こう見えても俺は働い…』
『乗組員の呼び出しをする!!井上康太大尉!井上康太大尉!大至急『上総』第一主砲塔前まで来たれ!!』
『ほーらやっぱりサボりじゃない!』
『うげ、バレた?まぁ行ってくるわ』
『とっとと行ってこい!!』
そう言って、上総は青年を追い出した。そしてため息をした。
『はぁー、まったくあのバカは』
上総と話してた青年ーーー井上康太は、今回『上総』に配属された兵である。まだ28歳だが、階級は中佐である。しかし、中佐にも関わらず、よく仕事をサボるのでよく叱られる。性格は大雑把で、座右の銘は『大胆不敵』。兵達の中でも珍しい艦魂が見える人物。
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ため息をしつつ、上総は微笑みながら言った。
『でも、それが康太らしいのよね』
なぜか顔をほんのり赤く染めて、上総は続けた。
『あの大胆な性格、引き締まった身体、なりよりあの爽やかな顔!すべて私のどストライク!』
『へー、そうだったんだー』
『ひゃ!え?な、な、なんで康太がいるのよ⁉呼出しは行ったの⁉』
『そんなの、とっくのとうに行って来たわ!ってか、さっきの言葉は本気か?』
『♪〜〜〜〜〜(口笛)』
『おーい』
『・・・・うん・・・・(ポッ)』
その後のことは怖くて言えません。ただ、その後康太が上総のことをからかい、上総が怒ってボコボコにしたことぐらいです。
かくして、運命の特攻まで、あと一週間。
今日も『上総』乗組員は忙しい。