うわべだけの風
あなたと最後に交わした言葉
「じゃあ……」
あとに続けられる言葉が見つからなかった
同時にあなたは運転席から何を言ったの?
冷たく扉を閉めた音に弱ったあなたの声は消されてしまった
どんどん弱ってゆくあなたを現実を支え抱きしめる勇気が私にはなかった
器が小さくてすぐに溢れてしまって
それは外へ流れるばかりで
あなたを見えない言葉で責め立て憎んで裏切りそして放棄した
ただ私が楽になりたかった
傲慢で冷たくて鬼畜
あなたから贈られたやさしさは
私の中に沁みついているはずなのに
私は大きな器をさがすこともせず
小さな器でいま
ぎりぎりでいる
あなたはいまどうしていますか
この風やこの日差しやこの温度を感じていますか
口約束覚えていますか
5年後に会おうと言ったこと
やっぱり私は大きな器をさがすべきだ