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外伝1 『サブカルチャー研究会部室にて』 (SIDE:桜夜)

第一章『エピローグ』の別視点での続き。



【キャラクター】

(たちばな) 桜夜(さくや)

鼓の先輩。二年生。

サブカルチャー研究会の部長。

このエピソードは桜夜の視点で書いています。


中大(なかだい) (つづみ)

《Tale Gift Online》の主人公。

桜夜からは『つーちゃん』の愛称で呼ばれている。


 「あぁぁ!暇だー!」

 つーちゃんが行ってしまった。遊び相手がいなくなってしまった。だから暇だ。

 そうなら、ゲームをやればいいじゃないか。

 「でも、これをやるのは……」

 今、この手に持っているゲームパッケージはいわゆる――エロゲーだ。しかも凌辱モノだ。

 うぅむ……やはりこれを学校の一室で、女子が『ぐへへ』などと呟きながらプレイするのは、いろいろとアウトだろう……。

 ならば、他のゲームはどうだろうか。

 そういえば、まだクリアしていないRPGゲームがあったような……。


 

 「あれ……終わってる……」

 あぁ……また暇になってしまった。

 RPGゲームを起動したところ、誰かがすでにクリアしてしまっていた。

 しかも、隠しダンジョンも小ネタも含めて。つまり、全クリである。

 「誰だよまったく……、つーちゃんか?」

 ――いや、それはないな。つーちゃんなら、こんなレトロゲームより、あのVRゲームに時間を使うだろう。

 「そんなにおもしろいのかなー、TGOって……」

 おもしろいんだろうなぁ……。だって、つーちゃんは口を開けばいつもその話ばかりだし。

 私もやってみようかな……。でも、ADダイバー高いからなぁ……。

 「はぁ……、やっぱりバイトするしかないか……」

 


 「ほう、バイトを探しているのか」

 聞き慣れた声に振り向くと、男子生徒が部屋に入っていた。

 「部長、おかえり!」

 「ああ、ちょうど戻ってきたところでね。それと――」

 男子生徒は苦笑しながら付け加える。

 「僕は元部長だ。今の部長はお前だろ、桜夜(さくや)

 この男子生徒のは私とつーちゃんが所属する非公認同好会『サブカルチャー研究会』の元部長である。

 三年生で、今は就職活動中なので、最近はあまり顔を出さなくなっている。

 「そうだっけ。てか、サブカル研は非公認だし」

 「それもそうだけどな……」

 元部長は荷物を置くと、椅子に腰かけた。

 「でもさ、桜夜ならこの部活を校内一の部活にしてくれると思ったんだよ」

 「そ、そうかな……」 

 ――いやいやいや。何かいい笑顔で言ってるけどさ、この部活は遊んでいるだけだぞ……。



 「そう、桜夜には部長の才能があるんだ。今年なんて新入部員をゲットしてきたからな」

 「あのコ、なかなか入ってくれなかったんだよなぁ」

 あのコ――つーちゃんこと、『中大(なかだい) (つづみ)』。一年生だ。

 《Tale Gift(テイルギフト) Online(オンライン)》というゲームに熱中していて。それを理由になかなか入部してくれなかった。

 ちなみに、私のハトコだ。そして、小さくてかわいい。たまにイジワルだけど。

 「それを入部させたんだ。もっと誇ってもいいだぜ?」

 「ああ、うん」

 「そうだ、素直が一番だぞ、桜夜。……そういえば、今日は鼓はいないのか」

 元部長は室内を見回して言った。

 「うん、用事があるからって帰っちゃったんだよ」

 「そうか。またTGO関係かな」

 「ううん、誰かに会いに行くみたいだよ」

 ――そういえば、その誰かは男か?と訊いたら否定はしなかったな……。

 「彼氏でも出来たのかもな」

 ――やっぱり元部長もそう思うか。

 「今度、跡をつけていこうかな」

 「それは面白そうだな。実行するなら僕も参加するぜ」

 ここに、『鼓追跡ミッション』の計画が立ち上がった。

 


 「それはそうと、桜夜。バイトをするとか言ってたよな」

 「ああ、聞いてたのか」

 ただの独り言で、実際は働くつもりは無いのだが……。だって、めんどくさいじゃん。

 「そこで、良い話があるんだよなぁ……、聞きたいか?」

 「いや、実のところ、バイトなんてめんどくさいし……」

 「そう言うと思ったぜ。そんな面倒くさがりな桜夜でも出来るバイトがあるんだ」

 そう言って、元部長は荷物から一枚のチラシを取り出した。

 それに大きく書かれていた文字は――『コスプレ喫茶』。

 「あの……元部長……」

 「珍しいだろ?俺も驚いたぜ、コスプレ喫茶なんて僕らの親がガキの頃の産物だぞ。今じゃなかなか見ないだろ」

 「そうだけど……確かに珍しいけど……」

 「まぁまぁ、怪しい店じゃないぜ。俺の知り合いが経営しているからな」

 そして元部長は「とりあえずここを見ろ」とチラシの一部分を指す。

 「えーっと、なになに……えええぇっ!?」

 ――時給五千円だとぅ!?

 


 「ぶぶぶ部長っ!!これってマジなんすか!?本当だったらかなり怪しいぞ!」

 「だから怪しくないって。知り合いの資産家が道楽で作ったんだ。あと、俺は元部長だ」

 うーむ、道楽でやっているなら儲けはどうでもいい。だからこんなに時給が高い、そう言われれば納得できないことも無い。

 それにしても、元部長の人脈は良くわからないなぁ……。夏休みなんて、世界的に有名な冒険家と無人島に行ってたし……。

 ちなみに、冬休みはオーストラリアの友人に会いに行くそうだ。

 「時給は魅力的だな……」

 「だろ?なんならもっと上げてくれるように頼むこともできるぜ」

 「むぅ……でもなぁ、でもなぁ……」

 「大丈夫だって。桜夜の容姿ならきっとオーナーも気にいるぜ。その乱暴な言葉遣いも、ギャップ萌えとかなんとかでプラスになるかもな」

 「ううぅ……」

 「シフトは自由に入れていいそうだ。僕や鼓がいない日に行けば退屈しなくていいだろ」

 「……じゃぁ、やってみようか」

 ここまでの条件を出されたら断れなかった。まぁ、怪しいのには変わりないけど。

 「そうと決まれば、さっそく連絡しておくぜ」

 元部長は携帯端末を取り出し、その店のオーナーに連絡をする。


 

 「うーむ、バイトか……」

 まぁ、冬休みは特に予定もないし。つーちゃんと遊べないのなら、バイトをして過ごすものいいかもな。

 そうだ、私もADダイバーを買ってTGOを始めよう!

 そうすれば、つーちゃんと遊べる時間が増えるじゃないか。

 待ってろ、つーちゃん。私も仮想世界とやらに行くぞ!

 だから向こうでも……、一緒に遊ぼうぜ!!


 

 


 

 


 

 

 




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