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少年と少女
この物語は啼く鳥より早くに考えていたものです。なので、啼く鳥の自己紹介文を読んだ人は分かると思いますが、妙に説明が詳しい(?)です。
「どうして…」
雨が激しく降る中で、少年は自らの腕に凭れて目を閉じている少女に呟いた。
「どうして…」
少年は何度も少女に向かって呟く。しかし、少女は相変わらず目を閉じたままだった。
地に座り込む少年に容赦なく叩き付ける雨。俯く少年の表情は見えない。
そして、身動きしない少女。閉じられた瞼はもう開くことはないだろう。
そんな少女の背中からは血が流れ、彼女を抱き締める少年の膝を赤く染まらせる。
流れる血が投げ出された少女の白い手にまで広がった時、少年は空を仰いだ。
「神様……どうしてこの力を俺に授けたのですか。何一つ守ることができないのに……」
少年の目尻から滴が流れる。
そして、
戦場となったこの地で少年は叫び続けた。