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異世界冒険録  作者: Alpha
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第9話 またダンジョン

ついに念願のダンジョンへ足を踏み入れた一行。

だが――序盤の階層は、あまりにも手応えがなさすぎた。

「……なんか、つまんない」

「……ね」

リュミエルとガルムが声を揃えて不満を言う。かつてのリアならここで言い返していたが、彼女も旅の間に成長していた。ガルムの結界がなくとも、序盤の階層は易々と突破できる。


「仕方ないですね……。でもここは八十階層まであるんです。前みたいにポンポン進んでいたら、痛い目に遭いますよ? 二人が強いと言っても、ダンジョン内の魔物はずる賢いんですから。……とりあえず十階層まで飛ばしてあげます。あっ、でも結界はかけてくださいね?」


「十階層って、フロアボス層じゃないの?」

リュミエルが疑問を投げかける。フロアボス層は必ず通らなければならない階層だ。だがリアは問題ないとばかりに頷いた。

「まぁ、それは絶対ですけど……ガルムなら楽勝ですよ」

いきなりの丸投げ発言にガルムは言葉を失う。だがリュミエルは「確かにそうね」と頷くと、興味なさそうに先を急ぎ始めた。彼女は正直、ダンジョンにそれほど興味がないのだ。


「みんなひどい……」

不平を漏らしながらも、ガルムは仕方なくフロアボスと対峙することになった。相手はC級魔物のコーコス。転生者の話によると、見た目はヘラジカそのものらしい。

結果は言うまでもなかった。ガルムはコーコスを瞬殺した。ドロップ品として、立派なツノが残された。


こうして十一階層から、本格的な攻略が再開された。


十一〜二十階層では、リアは絶好調だった。敵がB級程度だったのが大きい。


二十一〜三十階層では、少しずつ調子を落とし始める。B+級の魔物が増え始めたからだ。


三十一〜四十階層では、完全に調子を崩した。A級魔物が増加したためである。


四十一〜五十階層では、リアはガルムの結界に完全に頼るようになった。この辺りから敵はA級ばかりになっていた。


五十一〜六十階層では、逆にガルムとリュミエルが調子を上げ始めた。A+級魔物が増えてきたためだ。


六十一〜七十階層では、ガルムが調子に乗りすぎてリアに叱られた。この階層ではA+級魔物しか出現しない。


七十一〜七十九階層では、三人の連携もすっかり洗練されていた。


これまでのフロアボスは、オークキングやヒュージタラテクトばかりだった。だが、八十階層のボスは別格だ。


――ドラゴン。

リアは長期戦になると覚悟した。四十階層以降、ずっと後方支援やドロップ品回収を担当していたリアだったが、今回は自分も頑張ろうと思っていた。


__


しかし、リアの心配は杞憂に終わる。


なぜなら――リュミエルとガルムが、ドラゴンすら瞬殺してしまったからだ。

強すぎでしょ……と思いながらも、リアはダンジョンボス撃破後に現れた宝箱を開け、ドロップ品を回収する。中に入っていたのは宝石類と、一本の魔剣だった。


正直リアにはやることがほとんどなかったが、四十階層まで自力で頑張った功績もあり、彼女はついにB級冒険者へと昇格した。

ダンジョンを出ると、やはり衛兵たちに騒がれ、そのままギルドへと連れて行かれる。


ギルドでは、トーラが魔剣を前にしていた。ドワーフの血が騒ぐのか、激しく興奮している様子だ。もっとも、表情がほとんど変わらないので、リアには少し分かりづらかったが。

「あんた、すごいね。そもそもあのダンジョンを走破したのはあんたが初めてだ。魔剣を手に入れたのも初めて。それに……この魔剣は間違いなく本物だ。世界に五本しかないと言われている魔剣――ガンラーツだね。……流石にこれは買い取れない。あんたが持っておきな」


こうして、リアは魔剣ガンラーツを返された。もっとも、宝石類はしっかり買い取ってもらえたが。

宝石の売却で財布がずっしり重くなり、リアはすっかりご機嫌だった。

一方ガルムは疲れ果てて眠り込み、情けない姿のままリュミエルに引きずられている。


「ねぇ、リア。今さらだけど、ダンジョンってどんな構造なの?」

またしても、リュミエルの“なぜなぜ?”が始まった。リアは疲れていたが、潤沢な資金のおかげで機嫌が良い。素直に答えてあげることにした。


「リュミエルちゃんは本当になんでも気になりますね。でも教えてあげます。大体のダンジョンは十階層から八十階層くらいまであります。

前半はE〜B級魔物が多く、中盤はA級魔物が増えてきます。そして後半になると、A〜S級魔物が出てくることが多いですね。

……それはリュミエルちゃんも見ていたと思います」


実のところ、リアの知識はそれだけだった。

リュミエルは少し物足りなさそうにしながらも、「教えてくれてありがとう」と礼を言い、宿へ向かっていく。

リアはその後を追いながら、静かに決意した。

(リュミエルちゃんをガッカリさせないように、これからもっと勉強しなきゃ!)


――そんな決意は結局、夜にガルムが引き起こしたトラブルによって、あっさり有耶無耶になるのだった。


__



さて、三人がわちゃわちゃしている頃。アルバニア王国の王都クルメラでは、ルイエス王国からの使者が訪れていた。聖霊騎士団を引き連れて。

議題はもちろん、エクソリスで起きた事件についてだ。

だが、話し合いは早々に決裂する。

互いに一歩も引かず、主張は真っ向から対立。結果として――両国は戦争へと突入することになった。


……もっとも、それはリア、リュミエル、ガルムの三人にはまったく関係のない話である。

そして三人がフェールノを出て、別の街へ移動している間に、戦争はあっさりと終結した。


この戦争で特に名を上げたのはローグだった。前線で目覚ましい活躍を見せた彼は、戦況を大きく有利に導いたと言われている。

その結果、彼に惚れ直したエレナと無事ゴールインすることになるのだが――それはまた別の話。


戦争の結末として、ルイエス王国は政権が崩壊。聖霊騎士団も壊滅的な打撃を受け、王国は事実上解体されることとなった。

また、エクソリスでの事件についても、戦後の交渉によって整理が行われた。

ルイエス王国によって街にかけられた呪いは解呪され、都市の自治権も正式に認められる形で決着がつく。

こうして一連の騒動は、表向きにはすべて解決したのだった。


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