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第二話 質札


私はお茶をすすりながら回想しはじめた。


確か――

和菓子義煎で、あの日は喫茶室を利用した。

そしてレシートを受け取り、店を出るとき、

「今日は特別だから」と言って、店主は饅頭の入ったお土産をくれた。


そのあと、店の前のバス停の椅子に腰を下ろし、

一本、たばこを吸っていた。

ふと、足元に小さな紙切れが落ちているのに気づいた。


拾い上げると、質札だった。


店主の通称が書いてある。

見覚えのある字だった。


落とし物だと思い、閉店後に店へ戻り、

裏口のドアを叩いた。

だが、返事はなかった。


仕方なく、後日渡そうと思い、

質札を財布に入れた。

そのまま、忘れていた。


そして数日後、和菓子義煎の主人の親戚を名乗る人物から、

電話がかかってきたのだった。


茶碗を置き、改めて質札を見直した。


日付は、

「今日は特別だから」と饅頭を渡された日の、

前日だった。


預かり品の欄には、

品名らしきものは書かれていなかった。


整理しようとすると、話はどうしても奇妙な形になる。


店主は、誰かを饅頭で亡き者にする必要があったのかもしれない。

五人の常連のうち、私以外が標的だった可能性もあるし、

私自身が、その一人だった可能性もある。


だが、どれも腑に落ちない。

心当たりが、まったくないのだ。


あるいは――

饅頭は、店主ではない誰かが用意したのかもしれない。

あるいは、途中ですり替えられたのかもしれない。


その誰かは、

何かを探していたのかもしれない。


そう考えてみて、

「いや、それも違うな」と、声に出してみる。


声にすると、

どの考えも、少しずつ形を失っていった。


ただ、空白のままだった。

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