謎の敵機
報奨金 +500,000
修理費 -780,000
ギルドからの借金 280,000
新しい都市での生活は借金まみれから始まった。
俺が戦闘でめちゃくちゃにした修理費は報奨金では賄いきれなかったらしい。確かに片腕は原型を留めていないし攻撃を受け止めたからかもう片腕も上手く動かなかった。
それにしても17歳にして数百万の借金を背負うなんてハードだ…
ギルドの担当者にボノニアについての話を聞く。
ボノニア国は人口20万人ほどの小さな国のようで、主に軍とギルドが力を持っているようだ。隣国には恵まれ、小競り合い程度はあるものの戦争の経験は久しくないらしい。
戦闘や哨戒などの対外的な行為は軍が行い、建築、運搬などをギルドが行うという分担らしい。
ギルドには現在操縦士は数人しかおらず、また高年齢化してきているため俺に白羽の矢が立ったようだ。
とはいえ、実は俺魔力0なんだけどね…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そうしてしばらくすると、機体の修理が終わったとの連絡があり様子を見に行く。
修理に際して、操縦席を改造してもらい、従来までの横2人から縦2人に変更して貰ったのでロゼも操縦の際に邪魔にならないように無理なく乗れるようになった。
そして要望して新たな武器も制作して貰った。強度の高いこの世界の鋼で制作したショートサーベルだ。まぁ戦争をする訳では無いから使わないのが1番なのだが、前回みたいな盗賊の捜索等もギルドが行う事があるため武器はあった方がいいらしい。
そして何より今までは整備が行き届いていなかったのか、修理されて驚くほど動きが良くなった。
と、機体を受領したその日から仕事があると告げられる。内容としては国の外壁工事だ。この間ギルドのシュミレーターも使わせてもらい操縦の感覚は掴んだつもりだが、人使いが荒い。でも日々の生活費ですら払えない債務者なので何も言えない。
もちろん操縦するためにはロゼが必要だが、それを納得させるのになかなか苦労した。魔力0に対する差別を考えたら真実を明かすことはできず、ロゼが盲目のため俺が傍に居ないと何も出来ないこと、また精神的に落ち着かないところがあるということで、同乗することの許可は得ている。
しかし、ロゼはなんでこんな魔力を保有しているんだろう。魔力量が多ければ貧民であっても取り立てられることは珍しくない。盲目であることが影響していたのだろうか。
外壁の補修工事を行っていると、城門から2機の機体が出撃していくのが見える。
こちらに気が付くと合図をしていたので恐らくイーサンなのだろう。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そうしてしばらく仕事をして休憩時間にさしかかろうとした時、城門付近が慌ただしくなっている。重武装の機動兵器が集まっており、その他にも城壁の上でも兵士たちが何か作業をしている。
「ギルドの操縦士、緊急事態だ。規則に従い我々の指揮下で動いていただく。」
この国では軍とギルドは別組織だが、有事の際には軍に指揮権が移譲すると初日に説明を受けていた。
「何があったんです?」
「哨戒に出た我々の機体が正体不明の敵勢力と接触した。現在損害を受け退却中との事でその支援に向かう。」
「い、いや、俺たちは小型の機動兵器ですよ?!役に立てるとは…」
「こちらも現在動かせる機体が少ないんだ。後発組の護衛を任せたい。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
先発の機体に続き俺たち後発組も出撃する。
イーサンは無事だろうか…
しばらく進んだところで、先発組から通信が入る。
「こちら先発隊、僚機のシグナルを確認した。撤退している模様。敵機は…」
肝心なところで通信が途切れる。
後発組の指揮官に聞いたが同じで、妨害電波が発せられているようだ。緊張感が増していく。
前方から砂埃が迫ってくる。
ボノニア国のカラーリングの機体だ。合計2機のようだ。おかしい、朝出撃した2機と救援に向かった1機合計3機いたはずだ…
1機は重武装の救援機でもう1機はかなり損傷しているようだ。
そう思った矢先、重武装の救援に向かった一機が後ろを振り返り銃を構える。
その刹那、何か黒い影が救援機の近くで動き、次の瞬間、崩れ落ち爆炎を上げる。
「ど、どうなっている?!」
後発組の指揮官が驚きの声を上げている。
撤退していた1機がこちらの方まで来る。
「ハルトか…今すぐ逃げろあいつはやばい。」
イーサンの声だ。
「ど、どういうことですか?!」
「いいから急げ。こっちは2機もやられた。クソッ。」
爆炎の中から、真っ黒なスリムな機体に長い爪を持った機体が姿を表した。兜のような顔の奥から不気味に光る赤い光が姿をのぞかせていた。
瞬間的に冷や汗が吹き出る。獲物を睨みつける蛇のような威圧感。もう逃げられない…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
機動兵器コレクション
ガリソン商業連合、ボノニア国 機動兵器
トレッカーⅡ重装備換装
全長:15.2m
本体重量:80.5t
トレッカーⅡにミサイルランチャーと実体盾を装備した重装備仕様。機動力は低下するものの火力と防御力は向上している。
高い攻撃力から具体的な攻撃対象がいる場合に出撃する事が多い。
が、見せ場なく撃墜される。




