アルビオンの剣
「き、きれい…」
光を反射し白銀に輝く機体を前に思わずリオの口から感嘆の声が漏れる。
「我が国の技術の全てを集めて開発した最新鋭機シュヴァンです。どうです素晴らしいでしょ〜!」
技術開発主任と紹介された若い男性が嬉しそうに答えた。年齢は20代だろうか。この年齢で技術開発主任を任されることはアルビオンでは珍しい。
「この機体を君に託したくてな。というのもこのばかが自分のやりたいように作ったせいで動かすことが出来る者がいなかったのだ。」
機動兵器部隊の団長と紹介してもらった壮年の大柄の男がリオに向けて話しかける。
「そんなひどいですよぉ〜!わたしなりにこの子のために愛情を注いで作っただけなんてすからぁ〜!ちょっとオーバースペックになりすぎちゃったんですははは!」
「笑い事では無いわ…リオ殿が見つかったからいいものの…」
「ここまで読んでましたぁ〜ははは!」
リオそっちのけで話が進んでいる。
どうやら整理すると、この純白の機体シュヴァンはこの軽薄な若い技術開発主任の愛(?)によって、天才の技術を全て惜しみなく投じて作られた機体であるものの、反面膨大な魔力量を必要としこの国の誰にも動かせなかったというのだ。そんな中アルビオン王国は莫大な魔力量を保有するリオに目を付け国の全力をもって手に入れたということらしい。
「あの。私はどうすれば…」
「ふふふふ〜私のシュヴァンはとってもいい子なのですーぐに慣れると思いますよぉ!なんたって思う通りに動くんですからぁ!」
「シュヴァンは魔力回路接続を利用して、神経と機体の制御を擬似的に接続することができるのだ。これによって、自分の体を動かすように機体を操縦する事が可能となっている。もちろん最低限の操縦は覚えて貰う必要かあるが、慣れるのも極めて早いだろう。」
団長が補足してくれる。
「分かりました…でも私これで戦うのは…」
「もちろん今すぐに行けとは言わん。部隊には同じ悩みを抱えた事がある年齢の近い同僚が他にもいるから色々話を聞いてみるといい。」
「分かりました…」
「後でレイチェルに部隊のパイロットを紹介させよう。今日はこれで戻って貰って構わんぞ。」
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「こちらが所属の部隊になります。左から隊長のアデル、副隊長のオドリオ、隊員のヨーゼフとクレアです。」
ヨーゼフは30代くらいのサングラスをかけた金髪のイケメンで、オドリオはもう少し年齢が下だろうか。ヨーゼフは同年代くらいの活発な少年で、クレアは大人しそうな栗色のウェーブの髪を持つ少女だ。
「隊長のアデルだ。よろしく頼む。」
「ねえねえ!魔力量が10000オーバーってほんと?!」
ヨーゼフが無邪気に話しかけてくる。
「あ、はい…そう聞いています…」
「すっげー!俺でも3000だし隊長も5000だぜ!」
「こら、ヨーゼフ。だめでしょ。私クレア。女同士よろしくね。」
「ありがとう、ございます…」
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その後クレアとヨーゼフとずっと話していた。お互いの身の上話をした。クレアは私より2歳年上で軍歴は4年、ヨーゼフは年下でなんと中学生だった。
「その…戦争するのが怖かったりしないの…」
「んー別にぃ。俺才能あるし!」
「リオだめだよ、こいつは参考にならないから。私は怖いよ…でも敵は待ってくれないし躊躇ったら家族を失ってしまうから…」
「家族…」
私は何のために戦うんだろう。




