政戦そして
「先日、我が国の領域付近で、所属不明機に襲撃されたのですが、どういうことか説明していただけますかな?」
「な、なんのことだか…」
「とぼけるな!パイロットの遺留品からそちらの国が先日サンデーより買われたパイロットの識別カードが確認されているんだ。言い逃れが出来るわけないだろう。」
画面越しにボノニア国の市長がスフェン国の市長を怒鳴りつけている。
「こちらはこの件を既に連合に持っていっている。然るべき報いを受けさせてやる。」
そう言い残して市長は通話を一方的に切った。
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「ど、どうすれば…連合からの責任追求は避けられない…元はと言えばお前があんなことを!」
青い顔をしているのは先程怒鳴りつけられていたスフェン国の市長だ。
「はて?市長が決めたことではありませんか。」
ここ最近秘書となった男がすました顔で答える。とある有力者から推挙され、秘書にしたがその時から全てが狂ったのだ。帝国からの支援と隣国への攻撃を提案してきたこの男は、今思えば帝国からの回し者だったのだろう…そしてその推薦してきた有力者は最近消息を絶っているのだ。
「わ、わしはどうすれば…どうすればいいのだ頼む…」
「さぁ?市長はどうされたいので?」
秘書は表情を崩さず淡々と答える。
「し、死にたくないんだ。たのむ。何とかしてくれ…」
「あなたを助けてくれる所がありますかね?」
「…帝国に連絡を取ってくれ…この国の全てを委ねるので増援を求めると…」
「承知いたしました♪」
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「もはや衝突は避けられない!至急軍拡を!」
「だ、だか、スフェンに加えて帝国まで噛んでいるとなると我々の損害がどのくらいまで膨らむか分からんぞ…」
「何を及び腰を!連合に救援を要請すれば良いだろう!」
「だが、人は失ったらそう簡単に戻らないのだぞ。」
会議室の中では激論が繰り広げられている。軍拡を主張するのは軍部の高官で、反対の態度を取っているのは財務大臣だ。
「一挙こちらから打って出て敵を撃滅すべきだ!スフェン国を地図から消してくれよう!」
「そうだそうだ!やられたままでいられるか!」
「ま、まて、こちらから出ていくなど無謀な。いくら金がかかると思っている?!人も金も無限ではないぞ…」
そうしてしばらく議論がかわされていたが、結論は出ず、次第にみんなの視線は市長に向けられる。市長は可もなく不可もなくという人物とのもっぱらの評判だが、このような一大事を決めるのにはややカリスマ性が欠ける。
「ううむ。しかし、放っておけないのもまた事実だ。ここは評議会全員の投票としよう。」
そうして投票の結果…
「侵攻に賛成7、反対4。」
「なぜ分からんのだ…」
財務大臣の口から言葉にならない言葉がこぼれる。
「な、少将はなぜ反対を?!」
賛成に票を投じた軍務大臣が反対に投じた少将に驚きの声をあげる。
「軍部だからといって、必ずしも侵攻に賛成という訳ではないということ、そして私が反対したということは覚えておいていただこう。だが決められた仕事はする。」
11月6日、ボノニア国は連合に支援を要請した上でスフェン国へ侵攻する議案が可決された。
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その後、軍部は慌ただしく動いていた。指揮官として投票にて反対を投じたヴァルケン少将が選任され、ヴァルケン少将の下で部隊が編成される。
ボノニア国が現在所有する機動兵器は20機程度であり、その全てが戦線に投入される事となった。
その他にも近隣国及びガリソン商業連合からも増援を呼び、総勢は100を超える大部隊となる。
俺とイーサンも遠征舞台へと拝命し、俺も小隊長として部下を預かることになった。
第9歩兵部隊が結成された瞬間である。




