明かされる真実
「ねえ、どうしたの?かなしいの?」
ロゼが俺の様子を察したのか声をかけてくる。
「ああ…大丈夫だよ。ちょっと疲れただけなんだ。ロゼも大丈夫だったかい?」
「うん。ハルトがまもってくれる。」
ロゼが無邪気に抱きついてくる。
そうだ。俺はこの世界でひとりでは生きていけないし、ロゼも同じだ。二人で支え合っていかないといけないし、どちらが欠けてもいけない…
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
左右にズラっと並ぶ長机には権威のありそうな男達が複数座っており、机の間には1人の若い男が立っている。
「パイロットの身元を表すものと思われるカードですが、白稲高校の城ヶ崎真琴とありました。それが…」
「それがどうした!続けろ!」
「は、はぃ…それがどうやらこの前の異世界人取引でスフェン国がサンデー交易国から購入した兵士のようでして…」
若い男が恫喝されながら言いにくそうに報告をしている。
「スフェンが?!なぜ?!」
スフェン国。ガリソン商業連合に属するボノニア国の近隣の中規模国家であり、金属の産地で有名で豊富な資金力を有している国家である。国力ではボノニア国とは比べ物にならない。
「あそこは同盟国のはずではなかったのか?!」
「これは明確な敵対行動だ!識別もない未確認機を使用していることからも!」
議論が白熱している。
「…いいかの?」
1人の老人が重々しく口を開き視線を集める。
「前ギルド長…」
「聞くところによると、スフェンは密かに兵力を増強しているらしい。また、同じく被害を被った周辺国家に対して同盟国としての援助という名の資金提供を行い、その利息で身動きを取れなくした上で自国に併合しようとしている動きが見られているようじゃ。」
前ギルド長と呼ばれた老人が口を開く。
「で、ですが…いかにスフェンといえども異世界人の兵士を購入し、更に極秘に機体を開発するというのは難しいのでは…報告によると迷彩機能まで付いていたようですし…」
「ふむ。それはそうじゃ。スフェン単体であればの?」
「そ、それはどういう…」
「考えてみろ。そんなのではこの国の未来が心配だわい。今回敵機を仕留めたのも流れ者の若者と聞くしのぅ。」
「ま、まさか…カエサリア帝国が…」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
カエサリア帝国。ガリソン商業連合に隣接する大陸中央を支配する大国であり、皇帝の統治下に置かれており、日々勢力を拡大せんと隣国と戦闘を繰り返している。
ガリソン商業連合は、独立自尊の志が強く、皇帝の支配が強い帝国とは全く反りが合わず、戦端を開いている。そしてボノニア国とスフェン国は双方ともに前線からほど近くに位置している。
「執政官。どうやらスフェンの連中はしくじったようです。例の機体が撃墜されたと…」
「なんだと?!あれにはこの前購入した異世界人を載せたのではないのか?!周辺諸国にその能力があるとはとても思えん!」
「そのはずですが…どうやらボノニア国付近で撃墜されたことは確かなようです。あの国には資金力、パイロットともに手練がいるとは聞いておりませんが…」
「…。我々の関与が分かるような証拠は残しておらんな?」
「はい。スフェン国が自ら購入したパイロットと自ら開発した機体ですので…提供したデータ及び資金の証跡も既にこちらの手の者が抹消済みです。」
「ならばよい。性能評価試験も出来たことだしな。スフェンの関係者はもれなく消しておけ。」
「はっ。承知しました。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
俺は敵機に心当たりがあるか質問されたが、異世界人であることが判明し、いろいろ追求されても厄介なので特に知らないと答えた。それに、パイロットは…
クラスメイトを斬った感覚は今でも鮮明に残っている。
覚悟はしていたつもりだったが、これが戦争なのか…。だが、こうしないとこの世界で生きていけないのもまた事実だ。
彼がどこの国に購入されたのかは記憶していないが、この世界の歪みを正すには自分はあまりに無力すぎた…




