機動兵器が溢れる世界へ
いつものように繰り返す毎日、朝起きて登校して授業を真面目に受けて帰る、そんな毎日┈┈
「おはよーっす!陽斗今日も相変わらず元気ないねぇ〜」
教室に入るなり蓮が声をかけてくる。毎日毎日同じ事を言ってくるが、こいつはたまには違うことは言えないのかね…
「またかよ。朝教室に入るのに元気な奴がいるかよ。小学生じゃないんだから。」
「お前も毎日同じ返ししてるじゃんか」
そう言って蓮はケラケラ笑う。人当たりが良さそうなこいつはこう見えても俺と同じ帰宅部で親友だ。今日は学校が終わったら何して遊ぼうか。
「はーい、席に着いて〜出席取るわよ〜」
担任の前田先生が教室に入ってくる。今日は問題児の羽鳥も含めて珍しく全員出席している。
「朝比奈さん〜天城くん〜安藤くん〜神楽さん〜」
そんなことを考えているうちに俺が呼ばれる番だ…
と思って見上げた瞬間教室の真ん中で何かが激しく光り、目の前の視界が真っ白になる。
「な、なんだ?!」
「眩しい!!」
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「負荷がかかりすぎているんです。残念ながらこれまで通りに剣は握れないでしょう。しかし幸いながら日常生活には問題ありませんよ。」
「そ、そんな!!俺にはもうこれしかないのに…何とかなりませんか?おじいちゃんに約束したのに…」
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そこで目が覚める。久々に見たなこの夢…思い出したくないのに…それにしてもさっきの光はなんだったんだ…
目を開けると見知らぬ光景が広がっていた。石造りの床に柱、明らかに教室ではない。
「ここはどこ?!」
「どうなってるんだ?!」
「何が起きたの…!!」
周りでクラスメイトが騒ぐ声も聞こえる。ふと目を開けると梨桜と目が合い思わず目を逸らしてしまった。
落ち着いて周りを見回すと、隣に蓮が倒れていたのでとりあえず起こす。
「おい!蓮!起きろ!」
「んん?!まだもう少し」
「そんなこと言ってる場合か」
平手で蓮の頭を叩きながら無理やり起こす。
「な、なんだここは?!」
蓮が大声を上げる。その時扉の奥からガチャガチャとした金属音と共に人の3倍はあろうかというロボットが何体もが出てきた。
「ようこそ来てくれた。歓迎しよう。」
ロボットの掌の上に立つ白ひげを生やした威厳のある老人が言葉を発する。クラスメイトみんなの視線が集まっている。なんだこれは?!
「あなたたちは誰ですか?」
代表して前田先生が尋ねる。
「慌てるのも無理はない、ここはエアデ。説明するなら君たちの世界とはまた別の世界。」
「別の世界?!」「俺たち帰れなくなっちゃったのか?!」「ふざけるなよ!!」
周りで声が一斉に上がる。
ドンッ!!大きな音がして同級生たちの声が一斉に止む。見ると後ろに控えていたロボットが地面に拳を振り下ろしている。
「自己紹介がまだだったな。ワシはサンデー公国の公爵ユスダル。君たちはいわゆる異世界転生という形でこの世界にワシが召喚した。ここまでで何か質問のあるものはいるかね?」
突然の問いかけにあたりは静寂に包まれる。
「私たちはなぜこの世界に召喚されたの…?」
口を開いたのは学級委員の神楽天音だ。さすが真面目で優秀なだけあって冷静になるのが早い。
「いい質問だ…」
そうしてユスダルの説明が始まった。
この世界エアデは地球と似た星であること。エアデは、いわゆる地球の電気、ガス等のエネルギーでは明かり一つ灯せないこと。代わりにこの世界のエネルギー源は魔力と呼ばれる万能エネルギー源であること。魔力は誰もが持つもので、そのエネルギー量は圧倒的であるが、各人が有する魔力量には個体差があること。エアデ人は個体として魔力量が少ない傾向にあり、反対に地球人は多い傾向にあること。そしてサンデー公国は地球人を召喚してこの世界の各国に輸出する事で成り立っていること。
「つまり、私たちの魔力目当てで召喚したということ…?」
「その通りだ。いずれにせよ、元いた世界に変える方法はない。」
「そんな…!!お母さん…」
泣き崩れる声が複数聞こえる。
「そう悲しむでない。君たちはエアデの民からすれば救世主なのだよ。まぁ君たちの世界の人間にも魔力量に個体差はある。今日はひとまず食事を用意したので食べてもらった後はゆっくり休んでもらい明日魔力量の測定を行う。」
そう言ってユスダルとロボット一行は部屋から去っていく。入れ違いに若い人間が入ってきて僕達を案内した。
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救世主と言うだけあって食事は非常に豪華で、見た事もない量の美味しそうな食事が机いっぱいに並ぶ。食事に手を付けてる人は少数だったが。
「ほひ、こへおいひいほ。」
口いっぱいに肉をほうばりながら蓮が話しかけてくる。さすがこいつだ、全く動じていない。
「お前、地球に帰れなくなったんだぞ。何も思わないのか?」
「まあ救世主になるのも悪くないかなって。あ、でも家族にお別れ言えてないな…」
図太いのか繊細なのか…
そうして食事は終わり、男女毎に割り当てられた部屋に向かおうとしたその時。
「あの…」
呼び止める声が聞こえた。振り返ると、美しく長い黒髪、整った顔立ち。梨桜だ。幼少期にはおじいちゃんの剣道場で一緒に汗を流した仲だったが、おじいちゃんが亡くなり、その後立て続けに俺が怪我をして剣道から遠ざかったことをきっかけに次第に疎遠になってしまった。その後も梨桜は剣道を続け今や全国的に有名な選手になっている。
「なに?」
思わずぶっきらぼうな反応をしてしまう。
「あ、いや、その…」
「用がないならいくから…」
そう言い残し俺はその場を後にする。どうしても梨桜の前では素直になれない。あの頃を、一緒に楽しく剣道をしていた日々を思い出してしまうから。
クラスメイトには一人一人フカフカのベッドと個室が与えられていた。救世主というのも本当らしい。そうしてベッドに入り今日あったことを整理しているうちに気付いたら眠ってしまっていた。
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翌朝、同じく豪華な朝ごはんが用意され、その後大広間にクラスメイト全員が集められた。
ユスダルがまたあのロボットの手のひらに乗って現れる。
「それでは早速魔力量を計測しよう。一人一人そのキューブに手をかざすが良い。さすれば魔力量を計測してくれる。魔力量が多ければ貴族になる事も夢じゃなかろうて。」
「それで私たちは具体的に何をするんですか?魔力量を活かして電池のような役割をしろということですか?」
梨桜が問いかける。
「電池とな、そんな事には使われんよあらかたパイロットじゃろうな。」
「パイロット…?貴方が乗ってるロボットの?」
「かっかっか。おもしろいお嬢さんだ。こんな物はこっちの世界の人間でも動かせるわい。本当に必要なのはアレじゃ。」
そう指を指した先では地下から轟音を上げて鉄の塊が登場してくる。
「おお!!」
男子生徒を中心に感嘆の声があがる。
「あれは機動兵器。この世界の発展の根幹を支えるもの…」
緑色の体には金銀の豪華な装飾が加えられ、手には体よりも長い槍と盾を携えた15mはあろうかという巨大な人型ロボットの姿がそこにはあった…
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機動兵器コレクション
サンデー交易国 機動兵器
バルディアス近衛仕様
全長:15.6m
本体重量:66.8t
サンデー交易国にて量産されている機動兵器。
近衛仕様として装飾が施されているのが特徴で、王宮に配備されている。




