特訓② 適性修行
「まずはこの世界の魔法の常識、発動条件を説明する必要がある。最初に魔法の歴史から……」
長くなるのでお約束の分かりやすく省略をすることにした。魔法は魔力を他のものに例え顕現することから始まったのだ。今シルビアがした火を起こすことができたのは魔力を火に変換し顕現させたのである。魔力は大昔に空から降ってきた大量の隕石がこの星に落下し様々な所で隕石がこの星と融合し大気に大量の魔力の素である魔素が放出、それを大昔の人類たちが吸ったことにより魔力を持つことができその分岐となる獣人や様々な人種、動物にも魔力を持つことができるようになった。ただし、動物は魔力の影響が大きすぎたため魔物に変貌してしまった。今でも魔素は出ているが昔よりは薄く身体に影響はなくなった。魔法の発動条件は魔法陣を描きながら詠唱を唱えることで発動可能である。シルビアは無詠唱ができるためカナリアもできるよう鍛え上げられる予定である。魔法の種類は基本5つあり、火、水、風、雷、土でありそのほかにも魔法の派生として多く存在するためこの5つを基準としている。
「では早速魔法を使うようになるために魔法陣を描いてもらうか。はじめっから無詠唱で魔法を発動は無理だからな!」
そういってシルビアは魔法陣を描きこれを真似して描いてみろと言われたがさっそく難題にぶつかった。
「どうやって描くのだ?」
「え?」
「は?」
シルビアはそんな質問が来るとは予想していなかったようで愕然している。
「これは魔力制御で魔力をうまく使い魔法陣を描かないと発動しないぞ? まさか……そこから? じゃあお前はどこまで魔力を出せるか見せてみろ」
魔力が扱える前提で話が進んでいたらしくシルビアも少し申し訳ないように顔を下に向けた。
今回はシルビアも同行だがやはり自分の力で見つけて出す必要があるみたいだ。カナリアはまず魔力がどのようなものなのか思い返してみた。森の中でちらほら見た光……紫の石を触れたときに感じた暖かな感覚を再現しようと全身に集中させ何か暖かいのもが全身に巡っているのを感じた。次の瞬間「ゲボッ」と急激にその感覚を巡らせたせいで嘔吐してしまった。
「初めての魔力を制御するのだ、そんな急激に魔力を巡らすと吐いてしまうぞ」
「ゲホゲホ、先に言ってほしかった……」
この感覚が魔力だとわかったカナリアはしばらくして落ち着き今度はゆっくりと魔力を巡らせ全身にいきわたったような体に暖かな感覚がカナリアを包んだ。
「よし、正直できないと思っていたがお前を舐めていたようだな。では次に魔法を発動させるためにまずは魔法の基準である5つを使えるように身体を適性にするための修行をしてもらう」
今度は修行だといい指を鳴らした瞬間、火の海に飛ばされた。
「あっつ!!」
全身溶けてしまうほどの熱さの中、火の真ん中にぽつりと立っている。
「魔力をまとっている状態で頑張って火に慣れろ。それができたら自動的に次の空間に転送されるからがんばれよ。」
そう言い残しどこかへ消えてた。たぶんあの魔法が転移魔法なのだろうと思いながらも今は目の前のことに集中するため手を火に近づけさせ火の感覚をつかもうとした。
「熱い……けど……!」
カナリアはこの熱さに耐えながら火の感覚をつかもうとただ火に手を伸ばし続け長い間ずっと立っていたせいなのか急に目の前が真っ暗になり倒れてしまった。
◇
(……ここはどこだろう……冷たい……そして……苦しい!!)
カナリアが目覚めた自分がいた場所は水の中であった。呼吸が苦しく水面へもがくも水中は冷たくそして重たくそのまま沈んでいってしまった。
◇
(……)
自分は今、円を描くように風を感じており竜巻の中にいることが分かった。
(すごく風が強く風の勢いに体が切りかかっているのか全身がいた――うわぁぁぁぁぁぁ!!)
風に攻撃されていると思っていると風がカナリアの体を持ち上げ上へと飛ばしてしまった。
(グゥゥゥゥゥ……ッグハ)
竜巻により天にあげられたカナリアは雲の上に背中から落ちてしまった。
(い……痛い……! それにさっきからあたりがチカリだ――)
かなりの高さから墜落したカナリアが雲なのに痛みを感じている時、彼女の周りにバチバチと青い何かがまとわりついた。その瞬間、カナリアの頭上に雷が落ちてしまいまた気を失ってしまった。
「……い? 大丈夫か? おーい」
シルビアが寝ているカナリアの頬ぺちぺち叩きながら返事をうかがっている。
「いたい……ゲホ」
シルビアの返事に答えたカナリアではあるが先ほどまで行っていた修行?のせいでかなり体力を使ってしまっていて起き上がることができなかった。
「それにしてもすごいなお前。本当に俺が思っている以上の成果をだすよな。これでも羽織っていろ。あとはこれでも食って元気出せ。」
やはりシルビアは自分が本当にここまでやってくるとは思っていないらしく毎回カナリアのことに驚いている。それとは別で5つの魔法特性を習得するためその環境の中にいたためカナリアが来ていた服などがボロボロになって肌があちこちはだけていたため大きい布を被せてくれた。あとはやはり彼は果物が好きなのかカナリアのおなかにどんどん黄色い果物『レモン』を乗っけていった。
「これでお前は無詠唱でも魔法を発動することができるぞ。ではその状態で何か魔法を出してみよ」
そんな無茶苦茶なことを言われて「はい、どうぞ」と火をどんと出せるわけ――
「あ、できた」
できてしまった。火を想像し魔力で火を再現したら見事火を発動することができたのであった。そこでカナリアは疑問というか矛盾が発生してしまった。
「なあ、魔法陣は?」
カナリアの無詠唱は頭の中に魔法陣を形成し詠唱なしでも詠唱以上の火力を出しその上でちょっとカッコイイ技名を言い放つようなものだと思っていたのだが魔法陣を頭の中に描かなくても火を出してしまったことで魔法陣要素が消えてしまった。そんな疑問にシルビアはやはり魔法陣を描くことを忘れていたような顔でこちらを見ていた。
「……」
「……」
真顔で二人は見つめあい時間がただ過ぎていったのであった。
その後無詠唱について聞いたが、魔法陣を頭の中で描くのだがシルビアは長生きているため魔法陣を描かなくても無意識で魔法を出すことができるのである。それを今カナリアもやり遂げたのであった。
ちなみに土に関しては地中の中に埋まっていたため気づかない間に終わっていたのであった。