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覚醒

「……ん、ここは……?」


 目が覚め起き上がりあたりを確認したところ知らないベットにおりここが部屋で自分は建物の中にいるのが分かったのだが壁に木目が広がっていた。


「確か……わたし……いや……俺は……崖から……違う……トラックに轢かれて……あれ?」


 記憶が二つあることに気づきまだ頭が冴えないのようで整理しようにも混乱してしまい状況が分からなくなってしまった。そんな状態の中に部屋の扉が開き、そこから高身長の男性がたくさんの赤い何かを持って入ってきた。


「目覚めたか、神の子よ。……なるほど、これはかなり混乱しておるな。ほれ、俺が採って果物でも食って落ち着け」


 男は今の状況を理解し落ち着かせるようリンゴのような赤く丸い果物を渡してきた。このことに困惑してしまったが自分がこの人に助けてもらったことはわかった。


「えっと……あの……ここは……? あと……あなたは?」

「ここは俺の家だ。俺はお前を回収するよう言われてお前を回収した。そういえば自己紹介がまだだったな。俺の名はシルビア、神によって作られた……そうだな、お前たちが言う『神獣』だ。ほら、果実をお食べ」


 自分が今の状況で聞けることを聞こうと男に質問をしたのだが『神獣』と言葉を聞いた瞬間、一気に恐怖へと変わってしまった。


「では……あなたは……食べるの……ですか?」

「何を?」

「わ……わた……」


 動揺しうまく喋ることができず、記憶が二つあることで話し方に迷ってしまっているのだ。そんな慌ただしい姿を見てシルビアは笑ったのであった。


「あはははは! 俺がお前を食うと! 誰がそんなことを言ったのだ! はははは!」

「???」


 目を大きく見開きながら彼を見た。ちまちまと果物を渡していたのは自分をもっとおいしく食べるためのものだと思っていてまさかの予想外な返答に困惑してしまった。


「ふふふ……いや~笑った笑った。俺は言ったはずだ。お前を回収するよう頼まれたと。どおだ? 起きれそうなら飯でも食うか? 無理なら俺が採ってきた果物でも食ってくれ!」


 なぜか嬉しそうに果物を積み重ねていった。


(なん……だろう……この感覚……どこかで……会ったことある人みたい……)


 自分はどこか懐かしさを感じた。記憶が未だに整理できていない中なぜかこのような面白い人とどこかで会話したのだと。しかし安心してしまい果実を後にそのまま眠ってしまった。


 翌日の朝、小さな鳥たちが耳元でチュンチュンと自分の回りをはねながら泣いていた。


「うぅ……」


 小さな鳥たちの声にうっとうしいとかではなく、ただいつものように朝に弱い自分が唸っているだけである。そんな光景に部屋の扉が開きそれと同時においしそうなにおいが漂ってきた。


「お、起きたか神の子よ。朝飯ができておるぞ。ほら、そこから出てこい!」


 朝から大きな声を出すシルビアに自分は毛布に潜ってしまった。


「なるほど、潜ったか。では……よいしょっと」


 この男はどうしたものかと悩んだ末、毛布ごと持ち上げそのままダイニングルームへと運んだ。



「……おいしい」


 そう言葉をこぼした。彼のイメージはなんでも果物を切るなり皮をむくなりですべて果物料理を出してある思っていたのだけど運ばれている中で漂ってきていた匂いで違うとわかった。ふわふわの焼きたてのパンに温かいスープ、それら二つの料理に合うみずみずしい野菜。この食べ物はどこから来たのか不思議に思った。


「そうだろ! これはすべて俺が育てた食材で作ったものなのだ!」


 自慢するようにどや顔で話していたようだが食べることに集中していたので聞いていなかった。


「ごちそうさま……おいしかったです……」


 昨日のように途切れ途切れな話し方ではないないもののやはりどのように話せばいいのか迷ってしまっている。なにせ、つい最近まで女の子として過ごしていた自分に途中で男の子だった自分の記憶が入ってきたので受け入れようにも今自分はカナリアなのかそれとも日比谷真なのか。


 自分が誰なのかわからなく混乱し呼吸が荒くなり始めていた自分にシルビアは、


「お前は誰だ?」


 シルビアは自分の顔を抑えながら近づいてきた。急な質問に自分は戸惑ってしまったがまた繰り替えし、「もう一度聞く。お前は誰だ?」と尋ねられた。


 その時自分の心臓の鼓動がドクン跳ね上がり呼吸は落ち着き先ほどまでの迷いがどこか飛んで行ったように心の雲が晴れたような気がしそして、


「私はカナリアであり日比谷真。俺は死んでこの世界に転生し神からもらったこの宿命とともに生きる人間だ!」


 迷いは吹っ切れ自分が何者で自分が誰なのかをようやく整理ができ落ち着くことができた。


「ふむ、先ほどのよわよわしかった目つきはなくなったな。では、お前はどうしたい?」


 そんなこと、もう決まっている。そう覚悟を決めた顔で、「もちろん強くなって自分の役割を、自分のやるべきことをやりたいことをやる」と答えた。


「決まったな、ではついてこい!」


 シルビアは覚悟を決めた自分についてくるよう言った。


「これからお前は強くなるための特訓をしてもらう、容赦はしない。強くなるその心がなくならない限り俺はお前を全力でサポートするぞ! それはそうとお前の名は?」


 ものすごく燃えているお方がいるがそれは無視をし少し考えこんでしまったが、


「この時はカナリアと呼んでくれ」


 狐姿の時はカナリアと呼ぶよう指示をした。

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