44 相談と歌の練習
皆に相談します
「ありがとうございました。」
カラオケ居酒屋を出た2人は夜道を歩く···
あとは帰るだけなので、影司が麗華を送って行くところだ
「今日は色々と収穫もあったし、明日は皆で話し合いね」
「そうですね。カラオケ機器の設置が出来れば、また新たなお客様も来るかもしれませんね」
2人は明日の相談内容を確認しながら帰って行った
次の日の閉店後、4人はキッチンで飲み物を飲みながら話をしていた
「と言う事をしようと思うの。影司君は賛成しているけど、2人はどうかな?」
昨日の『カラオケ機器設置案』を東次郎と聖人に話す麗華と、それを静かに見守る影司
「······。俺は賛成しかねます。」
最初に口を開いたのは東次郎だった。
「お嬢がやりたい事は、新しい事に挑戦するって事だ。それ自体は良いが、この喫茶店の根本を忘れてないか?」
東次郎の問いに聖人も続いて口を開いた
「そうだね。この喫茶店は『訪れたお客様に癒しの一時を楽しんでもらう』だよね?それを話した時店長は言ってたよね」
『お客様の癒しはそれぞれ違う。しかし、現代に疲れた人達は、ゆったりした時間を過ごすのは難しいと思う。そんな人達に、一時でもゆったりとした時間を過ごしてもらいたい』
「カラオケが悪い訳じゃないんだよ。ただ、この喫茶店に合っているかな?」
確かにそうだ。この喫茶店は『静かに珈琲を楽しんでもらい、癒しの一時を過ごしてもらう』がコンセプトだった
忘れてはいけないものを忘れていた···
結局カラオケ機器の設置は白紙になり、今までの様に営業していく方針となった。
しかし、歌の練習はする事になった。
「せっかくのいい歌声を聴けないのはさみしいので、時々で良いからカラオケで歌って欲しい」
と麗華がお願いしたのだ。
次回『喫茶日向』




