33 古着屋の革ジャン
お腹いっぱいになった2人は腹ごなしに少し歩く事にした。
知らない道を通ったり、途中で見つけた公園で休んだりと、楽しく時間を過ごす
そして暫く歩いていると、小さな古着屋を見つけた
影司は何故か引かれるものを感じ、麗華に聞いてみたが、麗華はその古着屋には気が付かなかったと言う
「こんな所に古着屋があったんだ···知らなかったわ···」
「麗華さんが知らないって事は新しくオープンしたのでは?しかし、何故か気になります···」
「そうね···試しに入ってみましょう。お宝があるかも知れないわ」
2人は古着屋に入ってみる事にした。
扉を開けて中を見ると、古着がずらっと並んでいる。
壁側には鞄等もあり、古着専門ではなく、古着を多く扱うリサイクルショップみたいな感じのようだ
「あら?これは結構人気の鞄じゃない···随分安いわね?傷もないし、壊れてる所もない···。
贋作でもないわね···少し古いってだけで、根強い人気があるのに···。あぁ、最近生産終了したのね?でも逆に値段上がると思うけど···」
1つの鞄を見ていた麗華がそう呟く
鞄はさっぱりなので、古着を見てみる事にした
普段着やド派手な服が、ごちゃ混ぜに並んでいる
その中に1着の革ジャンを見つけた。
手に取り、全体を見てみる···どこも傷んでいない新品のようだ。
「うーん···サイズが少し大きく、革ジャンにしては少し重いくらい?だな」
試しに着てみると、体にぴったりと合う···いや、少しゆとりがあるので、動き難いと感じない···。
しかも丈夫な革と生地で出来ていて、デザインも落ち着いている。
「これは···値段次第では欲しいな···」
値札を見てみると5千円と書いてある
「これで5千円か···」
「あら?いい革ジャンじゃない。しかもデザインもいいわね~。似合ってるわよ?これから寒くなるからいいかもね~」
麗華は見ていた鞄を手に、革ジャンの感想を言う
ふむ···麗華さんから見てもいい物なのか···買いだな。
革製品は長く使えば、革がやわらかくなり、いい味を出すから長く愛用されるのだ。
一度脱いで、着ていた上着を着ていると、麗華が革ジャンを持って観察していた
「少し重いけど、いい革と生地を使っているわね。
しかも熱を逃がし難いから冬は活躍するわ···。
雪の中でも暖かいかも···。」
「(う~ん···この革ジャンは既製品じゃなくて、オーダーメイドかも···。それだと···最低でも4万円はするわね。)···思ったより重いから長く着れなくて手放したのかしら?」
「(それで値段は?···5千円!?)他の買い手がいなかったから、この値段になったのかしら?」
「(でも、影司君なら着れるわね!!)これはお宝よ!!即買いだわ!!早速一緒に会計しちゃいましょう!!会計何処かしら!?」
麗華はさっさと店の奥へと歩いてゆく
影司はあとをついて行き、財布を出すが麗華に「後でね(私が出す)」と言われ、渋々しまう
そして鞄と革ジャンを別にしてもらい店を出る。
近くの公園で買った革ジャンを着て、着ていた上着を袋に入れて再びぶらぶらと2人は歩き出した。
次回『バッティングセンター』




