24 ラストスパートと酔っぱらい
「よく食べるわね~。気に入った?」
麗華はビール片手に聞いた
「はい!!肉も野菜も旨いです!!こんなに旨いの初めて食べました!!追加で特上牛4特上豚4と柑橘系のたれの替えを···よし出来た」
笑顔で答えて、パネルを操作する影司
最初はたどたどしく操作していたが、今ではスイスイと操作している。
影司は学習能力は高いのだ
この店の食べ放題は、肉の注文は1度に一人2皿までとなっている
客の食べ残しを減らす為だ。
影司は麗華の分まで利用させてもらい、毎回4皿で頼む
かなりの量を頼んでいるが、ペースは落ちない。
何故なら麗華もビールを飲むのが早く、お代わりは影司が取りに行っている為、それなりに時間もかかる
そしてビールを持って来ると肉が届いている
肉を食う→注文する→ビールのお代わりを取りに行く(野菜も追加)→肉が到着→肉を食う···を繰り返されている。
しかも、影司は特上肉ばかり頼んでいるわけではない
この特上コースは特上肉の他に上肉·普通肉も選べるコースだ。なので上肉·普通肉も頼み、途切れずかつ、飽きずに食べられる
そして残り30分になったので、店員がラストオーダーを聞きに来た。
「ラストオーダーになります。追加はいかがいたしますか?」
「上牛肉2皿と上豚肉2皿の4皿で、飲み物は大丈夫でしたよね?」
「上牛肉2皿、上豚肉2皿の4皿ですね。畏まりました。飲み物は時間いっぱいまで大丈夫です。では、失礼します。」
店員は注文を聞くと素早く去って行った。
そして最後の4皿が到着。
全て影司が食べてしゃぶしゃぶは終了。
そして麗華のラストスパートに付き合い、2人は時間いっぱい食事を楽しんだ。
会計を済ませて外に出ると、少し風が冷たい
風邪を引くといけないので、2人は足早に帰り道を歩いてゆく
駅前の道を歩いていると、前から酔っぱらいらしき3人組が近づいて来る
少し警戒しつつ、麗華を隠す様に立つが、隠しきれずに3人組に見つかった
「おぉ?こんな所に綺麗なおねぇちゃんがいるぞ~」
「本当だ。綺麗なおねぇちゃんだなぁ~しかもでかいじゃあねぇか~俺らと飲みに行かないか~?奢っちゃうよ~」
「ん~···男連れじゃん。お前らやめとけ。って!?こいつ顔恐いな!!絶対ヤバいって!!酔いさめたわ!!下手したら●されるぞ!!」
麗華を見ていた2人も、影司の顔を見ると震えだし、3人はすぐに土下座をした!
「「「すんませんでした!!命だけはお助けを!!」」」
大勢の注目を一身に集める影司の顔は···怖かった。
別に怒っている訳ではない。麗華さんが絡まれるのも、予想は出来てた。
なので、少し警戒をしていただけだ。
なのに···この有り様である。
男3人は今も土下座をして震えている
そして周りは結果を見届けようと注目し、中には「警察に連絡だ」とか言っている奴もいる···
隣の麗華はオロオロしている
影司はため息を吐いてしゃがみ、男3人に声をかけた
「お前ら、顔あげな···。うちのお嬢にちょっかいかけようとしたのは···止めに入ったそこの兄ちゃんに免じて、今回は不問にしてやる。」
そう聞いた3人の震えは止まったが、顔はあげない···というか、影司が怖くてあげられない。
「酒は楽しく飲むもんだ。だがな、飲み過ぎて迷惑かけるようじゃいけねぇや···。そこんとこ気ぃつけて飲めや···わかったらもう行きな。」
そう言って立ち上がり、麗華に「お待たせしました。行きましょう」と言って麗華を連れてその場を離れた。
その場から動けなかった3人は、この時から酒を飲む事をやめた。
お酒は楽しく飲みましょう
次回『飲み直し』




